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魔王種  作者: のんびりMUCC
序章
13/104

第13話 ドワーフ王がやって来た!

ドワーフ王御一行が村に到着した。


«グルナよ、予告通り来てやったぞ!»


「パーシス様、本日はようこそおいでくださいました!」


«今日同伴している警護の者は俺の直轄。お前の事は古くからの友人と紹介してある。気遣いは無用だ!わははは!»


「堅苦しいの苦手なんだ、助かるよ。立ち話もなんだし、俺とディーテの住んでいる家だが上がってくれ」


何も指示していないのに刹那はお茶を用意してくれている。流石だ。


部屋にはパーシスと部隊長。

部隊長はドワーフ国で伝言を伝えに来た兵士だ。

深い古傷が並では無い経歴を物語っている。

若いが優秀な戦士のようだ。


«しかし、まだまだこれからと言っていたが…美しい建物だらけではないか!»


「ありがとう。ギリシャのサントリーニ島を真似て、みんなで頑張って作ったんだ。ディーテも気に入ってくれている」


«店はまだ無いのか?»


「あぁ、その辺は手付かずだ。今は住居作りが一段落したとこでな」


«知性の無い魔物に何度か遭遇したが…敷地内は問題ない…

何より、この森はとても美しいな。そして美しい町並み。観光地にはうってつけだぞ»


«この先の精霊の湖を目指して年中人の往来はあるしな。その中継点としても需要はあるだろう»


「もしかして、外貨を稼ぐチャンスかな?」


«その通りだ!我が国からも毎年大勢の住人が湖に祈りを捧げに行っているのだ»


『言って解る魔物だけじゃないからなー。危険な森だと思われてるんだろ?』


«町は徐々に発展させればよい。課題は、旅人の安全と交通の便だな!»


「人間が魔物の森に疲れを癒しに来るのか。不思議な感じだな。ディーテはどう思う?」


『人間が此処に来るようになったら、みんなも人間の国に行けるのか?』


「そうだな…友好国なんかができれば、その国には行けるようになるかもな」


『ヴィエン王国に行けるようになったら、あの店の料理をみんなにも食べてもらいたいぞ。グルナ!方針は決まったな!』


「よし。じゃあその方向で村が発展していけるように頑張るよ」


『頼んだぞ!』


パーシスは思うのであった。

同じ日本人の転生者と言うだけでも特別だが、魔王の種を争いから遠ざけるよう導いている。

恐らく、魔王というのは脅威の対象として生み出された存在では無いだろう。

魔王種ディーテもそうだろうが、現魔王のパーシスに、この世界を支配したいなどという欲求は欠片も無いのだ。

脅威ではなく、秩序を保つ存在だとしたら…

もしかしたら、グルナ達なら…自分が未だ成し得ていない、種族間の”調和”を成し遂げるかも知れないと。


«今日はお前に紹介したい連中がいるんだ»


3名のドワーフがやって来た。


«鍛冶屋のフェレット、食品加工職人コルト、建築家のクラティスだ。皆、国宝級の優秀な職人だぞ!»


「おいおい、国宝級を3人も派遣してもらっていいのかよ!?

ドワーフ国の方は大丈夫なのか?」


«心配要らんぞ!弟子が育っておるのでな»


《《よろしくな!!》》

『よろしく頼むぞ!!』


こうして、俺達の村に優秀な技術者が派遣されたのであった。


«今日は泊まっていくぞ。部屋はあるか?»


「ちゃんと用意してあるぞ!いい物もな!まずは一風呂浴びて来てくれ」ニヤリ


«ん?»


甚平だ。


«おー!懐かしいな!まさかこの世界でコレを着る日が来ようとは!»


それだけではないのだ。

無事に帰って来た事を喜ぶ会の時、甚内が1人で1杯やっていたのを俺は見ていた。

1人だけ違う飲み物を飲んでいたのだ。その飲み物は、まさに日本酒。

甚内オリジナルなので、厳密には日本酒ではないのだが。


オーガの伝統料理も和食に近い。そんな料理と日本酒モドキ。酒が好きだと直感した俺は是非パーシスに振る舞いたかったのだ。


«!?…グルナ»


「ん?」


«このスーパー大吟醸は何処で手に入れたのだ!?出処を言うがいい!!»


余程驚いたのだろう、俺も甚内に少しもらって飲んだ時は驚いた。


「この酒は、オーガの長老がこっそり作ってた酒だよ。驚いたろ?」


«これは是非とも輸入したい…定期的に卸せるか?»


「甚内に聞いとくよ。手土産として幾らか用意してある。戻ってからも暫く楽しめるぞ」


お気に召した様だ。兵士達も和食の様な食事と日本酒モドキに興味津々だ。

その日はみんなで遅くまで盛り上がってしまったのだった。


翌日、パーシスは早めに帰路についた。

タイトなスケジュールを調整して視察に来てくれたようだ。

今回の視察で40名程が村に宿泊した訳だが、観光地として必要なものやイメージは少し掴めた気がした。

折角、技術者を派遣してもらったのだ。

しっかり発展させていこうと決意を新たにしたのであった。

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