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魔王種  作者: のんびりMUCC
序章
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第10話 ドワーフの国

森を出発し3日目の朝、俺達はドワーフの国に到着した。勿論、ディーテが魔王種という事は極秘だ。


【永世中立国カタフィギス】


ヴィエン王国も立派な城門があったが、此方も壮観だ。

入口には受付と兵士。

武器を預かっている様だ、受付で渡した武器は東京駅の様な大量のロッカーがある部屋へ運ばれる。

魔法で番号の書いた札を渡され出国する時、札を渡せば武器を返してもらえるようだ。

空間収納については特に何も言われる事は無い。実はチートスキルのようだ。


最後尾に行き順番を待つ。


«おいおい、オーガとハイエルフだぜ!»

«人間の方もいい女じゃねぇか!»


「……………」

『……………』

《……………》

«おい!銀髪の兄ちゃん!羽振りがいいじゃねぇか!その魔物は幾らで買ったんだ?俺達が金貨5枚で再買取してやるぜ?»


「大人しく並んでろ。俺はお前達の様なカスの相手をしている暇は無い」


«…上等じゃねぇか、ちょっとツラ貸せ»


めんどくせぇな。田舎のヤンキーか?

どの国の冒険者か知らんが、この手の人種はどこの世界にもいる様だ。

しかし、もう少しで入国出来るのだ。こんな所で問題を起こして出禁になる訳にはいかない。我慢だ。


《無礼者め…我らが主の…腹心のグルナ様に対してその様な口を利くとは…!》


「ちょ…刹那さん?…」


《痴れ者共よ!覚悟するがいい!処刑執行!(エグゼキュト!)!》


«…ツツツツ!!?»


ん?田舎ヤンキーの動きが止まったぞ?

動きが止まる→失禁→列から離れ城壁に靠れる←今ココ。


「刹那?アイツらに何したんだ?」


『お仕置に軽い幻覚をプレゼントして差し上げました♡』


後で聞いたが、刹那が発動したのは、格下の相手に幻覚を見せる幻術だそうだ。

軽い精神攻撃らしいが、その内容は金縛りにあった状態で眉間割り。

剣のみがスローで動き、激痛を感じながら身体が徐々に真っ二つになるというもの。

軽い精神攻撃?冗談じゃない、残酷物語だ。

しかし、気になるのは幾らで買ったとか言ってたアレだ…

人身売買ならぬ魔身売買が行われているのだろうか。


陣内の言っていた通り亜人・人間・魔物、様々な種族が居る。

赤系の髪に、若干色黒なのがドワーフだ。別に小柄ではなかった。

城下町には多くの店が並び、服や食料品、酒、宝石などが売られているが武具は見当たらない。

警備の兵士に聞くと、武具は地下に専用のフロアがあり、そこで販売されているそうだ。

行ってみると、若干薄暗いが広々した空間に市場の様に店が並んでいる。

ガラの悪い客層、薄暗い空間、地下…戦いを生業とする者はさぞ購買意欲を刺激される事だろう。


地上に戻り、加工品を販売している店を探そう。今回の目的は食品加工のプロをスカウトする事で武具の優先度はその次なのだ。

ドワーフの店以外にも他の亜人の店や魔物の経営している店もある。


上半身は人間、下半身は蛇の魔物が運営している飲食店があった。この魔物はラミア族だそうだ。

味付けはタイ料理の様な酸っぱ辛いものやハーブや香草を使った独特の香りのもの、野菜も多く使われていてヘルシーだ。ベトナム料理にも近いかも知れない。


『…初めての味だ…でも美味しいな!』


ディーテは喜んで食べている。

森にもラミア族のテリトリーがあるらしいので、いつか行ってみよう。


「専門店が多いから、どの店に声を掛けるか悩むな!」

『どの店もハズレはなさそうだぞ!手当り次第勧誘してみるか?』


«失礼ですが、グルナ様でいらっしゃいますか?»


「ん?そうだけど?」


ドワーフの兵士が声を掛けてきた。


«ドワーフ王が面会を希望されております。お急ぎでなければ、本日の晩餐に招待したいと…»


「……………」


晩餐か…この世界でも晩餐が親睦を深める意味合いがあるなら問題無いのだが…

冒険者登録証を提示したので誰が滞在しているのか把握出来るのは納得だが、問題は何故、俺の名前を知っているかだ。

疑問は尽きないが。ディーテを魔王にするにあたって、ドワーフ王国の様なオープンな国との関係は非常に重要なのだ。

折角の招待を無下に断って機嫌を損ねるのは良くないな。


「一般人の俺が招待されるなんて光栄だ。晩餐会、是非出席させていただきたい」


«出席の御返事ありがとうございます。王もお喜びになるでしょう。では後程、城までお越しください»


「あ、他の者が同席しても大丈夫なのか?」


«勿論でございます。是非お揃いでお越しください»


『グルナ、晩餐会って何だ?』


「んー、食事をしながら色々な話をするんだ。他国の王族でもない俺達が王様に直接会う機会なんて…しかも晩餐会に呼ばれるなんて、この先無いだろう。きっと美味しい晩ご飯食べれるぞ!」


『おー!王様が食べてる料理を私達も食べれるのか!?』


俺は料理よりも、呼ばれた理由が気になって仕方無い。


気になるが、今いくら考えても無駄なのだ。

夕方、俺達は晩餐会に出席する為、城に向かった。

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