62 話し合い
その次の日もセラは目覚める事は無かった。心配したオルフェたちはセラを城へと連れて行った。
「老師、セラが目覚めるまでの間よろしくお願いします」
「あぁ、任されるよ。ジェシカ、お茶でも出してあげなさい」
「はーい」
「あぁ、お茶は大丈夫です。すぐに出て行きますんで」
「そうか?まぁ儂が診ておるから心配しなさんな」
「老師、分かっていると思いますが……」
「分かっとるよ。目が覚めたら知らせてあげるから、さっさと行きなさい」
オルフェはセラをアトスに託したあと、父である陛下に会いに行った。
トントン
「陛下、オルフェです」
「入れ」
「失礼します」
中に入るとアーレンは政務をしていた。
「そこのソファで座って待っていろ。これが終わったら話を聞く」
「分かりました」
アーレンが政務を終えるまでオルフェは静かにソファで待った。暫くすると政務を終えたアーレンがオルフェの元へ来た。
「待たせたな。こちらから呼んでおいて」
「忙しいのは、分かってましたから平気ですよ。父上」
「ふっ……そうか」
そして、二人はセラの事について話し始めた。精霊については一旦置いとき、セラが使った力について話し合った。
「なるほどな、それでセラ嬢が精霊の力を……」
「一緒にいた者は私たちの信頼する者たちなので、他に知る者はいません」
「そうか、お前が言うなら間違いないだろう」
「それとは別に精霊について何ですが……」
「あぁ、それならすでに本を集めて貰っている。もう少しだけ待て……と言いたいところだが、手元に数冊精霊についての本がある。持っていくか?」
「良いんですが?」
「構わない。但しここで読む事だ。一応機密事項だからな」
「分かりました」
そして一週間、精霊の本を読んだ。その間もセラは眠り続けていたが、漸く目を覚ました。
◇ ◇ ◇
「セラ、おはよう」
「……老師?」
「気分はどうじゃ?」
「何ともありません。私は……何故……」
「精霊に頼まれたと言う、指輪を見つけた後魔獣に襲われたじゃろ?その時魔力を使い過ぎて、ずっと眠りに着いていたんじゃよ?」
「寝ていた……」
「一週間じゃな」
「えぇ!いっ一週間も寝ていたんですか!?」
セラは一週間眠ってしまっていた事に驚きを隠せなかった。
「どっ……どうしよう……授業が……」
「それなら大丈夫じゃ。病欠扱いになっとるからな。さて、今秋まではゆっくり休む様に!皆、心配しとる。儂が知らせて来るから、ゆっくりしてくれ」
「でも……」
「良いから、ゆっくりしとれ」
そう言うとアトスは部屋を出て行った。その後ジェシカが入って来て、自分が眠ってしまった後の事を聞いた。そして午後、皆が来てくれ、魔獣がどうなったかを話をした。セラは自分が無意識のうちに魔獣を倒していた事に驚いた。精霊の愛し子についてはまだ話さない方が良いという事でセラには言葉を濁して話をした。




