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54 新たな出来事

 16歳になりセラの身長も高くなった。綺麗に成長したセラに他の令息もアプローチをしようとするがエディとオルフェが間に立ち、邪な者を排除していった。


「オルフェ様、見て下さい。とても綺麗ですよ」

「立派に咲いてるね」


 セラたちが今いる場所は学園の庭園だ。今は見頃である薔薇を見ていた。様々な品種があり研究している。セラたちが見ている薔薇は青色だった。最近栽培に成功し、売り出す予定でもある。庭園を二人で歩き楽しんでいると声が聞こえてきた。


『ふふふ』

『くすくす』


 セラは笑い声が聞こえたため辺りを見渡したが誰もいなかった。


「?」


 不思議に思いきょろきょろとしているとオルフェがどうしたのかと声をかけた。


「オルフェ様……声が聞こえませんか」

「声?」

「小さな笑い声が聞こえるんです。あっほらまた……」


 セラが声の聞こえる方に向いていたが姿は見えなかった。オルフェも声を聴くため耳を澄ませてみたが全く聞こえなかった。しかし、セラの様子を見るとずっと笑い声が聞こえているみたいだった。


「あのオルフェ様、あちらの方に行ってみても良いですか?」

「あぁ良いよ。俺も気になるし、行ってみようか」


 声が聞こえたという場所まで行ってみた。暫く辺りを見渡したが誰もいなかった。しかし、頭上から気配を感じ上を向くと、そこには小さな虫の様な物が飛んでいた。


『あっ!』

『みつかっちゃった』

『くすくす』


 セラが驚いて口を開けぽかんとしているとその小さな虫の様な者はセラに話しかけた。


『あしたのゆうがた~』

『もういちど~』

『ここに~』

『きてみて~』

『まってるよ~』

『でも~』

『だれにも~』

『はなさないで~』

『ひとりできてね~』


 そう言うと姿を消してしまった。唖然としてそのまま固まっているとオルフェから声をかけられた。


「セラ?どうした?そこに何かいるのか?」


 セラを心配し声をかけたオルフェには先程の事は見えてはいなかった様だった。


「いえ、何でもありません。そろそろ戻りましょうか」

「もう良いのか?声の正体についてもっと詳しく辺りを探しても良いんだぞ?」

「それもそうなんですが……遅くなると心配させてしまいますので……」

「そうか……それなら別に良いが……また何か気づいた事があれば知らせてくれ」

「はい!勿論です」


 そうして二人で寮へと戻って行った。オルフェに部屋まで送って貰ったあと、部屋の机に座り先程の出来事を考えていた。


(あれは絶対に気のせい……ではないわよね……もしかして、あれが妖精……なのかしら?明日夕方に来てくれって言っていたわよね……危なくはないとは言い切れないけど、でも……)


 セラは少し考えたが、危なくないと判断した。明日もう一度会い、それからオルフェたちにこの事を伝えようと判断した。あとで怒られてしまうが、それでもあの小さな虫が一人で来てくれと言ったのには訳があると思い、怒られるのを覚悟で皆には伝えずに一人で会いに行こうと決心した。


 考えがまとまる頃にはエーゼルも部屋に戻って来た。手にはお菓子の入った紙袋が握られていた。今日は侍女と共に街へと出かけ買い物などを楽しんだそうだ。お菓子はそのお土産だと言った。


夜も更け、眠る頃になると明日の事で頭がいっぱいだったセラはなかなか寝付けなかった。外の月明かりを見ながら明日の事をずっと考えていた。


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