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52.5 断罪の裏側※オルフェ視点

セラとレイリーが来る数刻前、皆が集まり作戦の最終確認をしていた。


「全員分かっていると思うが、今日で全て終わりにする。セラにはまだ辛い目に合わせてしまうが……」

「オルフェ、セラは城で保護してくれる予定何ですよね?」

「あぁ、セラの罪が明らかになった時点で外で待機している俺の護衛に城へ連れて行ってくれる予定だ」


 皆オルフェの話を聞いて頷いた。そのあと、暫くしてからレイリーがやって来た。


「オルフェ様……あの、何か御用ですか。私……」


 レイリーが悲痛な顔で言って来たので、作戦を決行した。


「レイリー嬢、今何か困っている事はないか?」

「困ってる事なんて……」

「悪いが、全てわかっているんだ。君の口から説明して欲しい」

「オルフェ様……私……」

「お願いだ。教えてくれ。何があったんだ?」


 そう言うとレイリーは涙をいっぱいに浮かべて話し始めた。


「あ……の……大した事ではないんですが最近物がなくなったり、壊されたりしている事が多いです」

「昨日は階段から突き落とされて保健室へ行っていなかったか?」

「えっと、でもそれは私が足を踏み外した可能性があるので気のせいかと……」

「私があなたの事を見ていました」

「アナベル様!」

「レイリー様、今回の事は遣り過ぎですわ。見過ごす事は出来ません。ですから今日話し合いの場を設けました」


 アナベルがそう言うと驚いたように口元を手で覆ったが、その隙間からにやりと笑うのをオルフェは見過ごさなかった。


「えっ、えっ、ではこちらに?」

「えぇ、呼んでいます。もうすぐ来ると思います。その時は証言者としてはっきりと仰って下さいね?レイリー様の悪い様には致しません。ねぇ、皆さん?」

「勿論だ」

「レイリー様、心配にはいりません。私たちが付いています」

「心配する必要はないよ」

「たとえ、身内でもこればかりは擁護出来ないですから」


 皆それぞれ、レイリーに寄り添った言葉を述べた。腹の内ではレイリーの事を憎んでいたのに、それを我慢し顔には出さなかった。


「ありがとうございます。皆さん……私本当の事を言います!少し怖いですが……皆さんがいてくれるだけで心強いです!」


 レイリーは笑顔でそう言った。内心、皆の気持ちは冷え切っていた。話をしていると扉の叩く音が聞こえた。どうやらセラがやって来た様だった。




◇ ◇ ◇




「ごめんなさい……」


 セラがこちらを向いてそう言った。他の皆は聞こえていなかった様だが、オルフェには確かに聞こえた。セラが部屋から出て行き、足音が聞こえなくなったあと、レイリーに声をかけた。


「レイリー嬢、大丈夫かい?」

「オルフェ様……私、本当は怖かったんです……でも皆様に助けて頂いて本当に嬉しかったです。ありがとうございました」


 そう言ってレイリーは深々と頭を下げた。これから始まる本当の事実を明らかにするとも知らずに。


「レイリー嬢」

「はい!」

「嘘を付いたな?」

「えっ?」

「セラがお前を虐める筈がないだろう」

「そっ、そんな事はありません!証拠もあって……」

「証拠と言うのはこれの事か?」


 オルフェはそう言うと目の前にぼろぼろに壊された物をばらまいた。ガシャガシャと音を立て散らばったのはセラに指示を出し壊された物だ。


「そ、そうです!」

「これはセラに無理にやらせた物だろう」

「ちっ、違います!私は決してそんな事していません」

「ならこれは?」


 オルフェはポケットから紙の束を出してレイリーに見せた。そこにはセラに指示した事が書かれていた。


「こんな事書いていません!セラ様が私を陥れるために書いた物に違いありません!」


 頑なに自分はやっていないと言い張るレイリーに腹を立てた。こんな事の為にセラが傷つき悩んでいた事は知っていたため、自己中心的な考えのレイリーを許す事は出来なかった。


「言い訳は城で聞く。衛兵!この者を連れて行け!こいつは我が婚約者セラを貶めた!全ての罪を明らかにしろ!」

「「「「はっ!」」」」


 いつの間にかいた衛兵にレイリーは両脇を抱えられ連れて行かれた。その間もレイリーは自分は無実だ。信じてくれと言った。


「これでやっと終わった」


 オルフェの言葉を聞き、皆静かに頷いた。

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