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36 卵

 卵を召喚してから一週間が経過したが生まれる様子は無かった。ベラから卵を入れる籠を受け取りその中に入れて温めていた。


「セラ持つの手伝おうか?」

「大丈夫です。それに私の荷物を持って貰っているんですから」

「それにしても大きい卵よね。何が生まれてくるのかしら?」


 教室に着きその隅に卵を置く。他の人にも言って置かして貰った。皆卵に興味津々で一緒に世話をしてくれた。世話と言っても卵が常に温かいように魔術で周りに置く毛布にかけていた。ベラにも了承を貰って魔術の授業の一環として取り組んでいた。


「では今日は使い魔を召喚して親交を深めましょう。使い魔との連携が取れる程優れた魔術師と言えます。セラさんはエーゼルさんと一緒に行って下さい。では召喚しましょう」


 ベラの掛け声と共にそれぞれ使い魔を呼び出した。エーゼルの使い魔は紅猫だ。その名の通り毛が紅色で火の属性を持つ。


「レトー今日はセラと一緒に遊ぼうね」

「レトー宜しくお願いします」

「ぐるるるるる」


 使い魔にする為にはまず名を付けて魂同士を結び付ける。そこで相性が良ければ繋がり悪ければ弾かれてしまう。このクラスにも弾かれた者が何人か居る。弾かれた者は再度召喚を行う。相性が良い者を見つけられるまで何度でも行う事が出来る。セラの使い魔はまだ卵である為誰かの使い魔と共に親睦を深める必要があった。


「さぁ校庭へ行きましょう」


 使い魔を呼び出した生徒たちは校庭へと向かった。セラも卵の入った籠を持ち校庭へ向かった。校庭に着くと皆それぞれ使い魔と遊んで居た。


「セラさん卵は私が見ていますので遊んで来て大丈夫ですよ」

「えっと……それではお願いします」


 セラはベラに卵を預けてエーゼルとレトーの元へ向かった。


「卵は大丈夫?」

「はい。先生に見て貰う事になりました。でも偶に様子を見に行っても良いですか?」

「えぇ。大丈夫よ!レトーも良いよね?」

「にゃー」


 二人に同意して貰い、卵の様子を見ながらレトーと遊んだ。それから暫くして授業の終わりを告げる鐘が鳴った。


「今日の授業は終わりです。明日はここで武術の授業を行いますので動きやすい服装を用意して置いて下さい」


 セラはベラの元に行き籠を受け取った。受け取った後は教室に戻り荷物を持ってエーゼルと共に中庭に行った。卵を召喚してから今後卵をどうしようかと悩んで居た所、エディに中庭で卵を日に当ててはどうかと提案された。確かに日の光はポカポカと温かく眠気を誘う為それを卵にも体感して貰うのは良い考えだと思いその次の日から中庭に行き日向ぼっこさせるのが日課となった。そして卵を持ったセラが中庭で日向ぼっこをしているのを聞きつけた他の生徒たちが日々見に来るようになった。卵を召喚する者は過去には居たがここ数百年は居なかった為物珍しそうに毎日のように訪れていた。


「あの卵を撫でても良いですか?」

「はいどうぞ」

「まだ何が生まれるか分かってないの?」

「私も先生方に相談しながら本で調べてはいるんですがまだ分かってないんです」

「そうなんだ……」

「それだったら私たちでも調べてみない?」

「それは良いわね!」


 セラに代わる代わる生徒たちが質問をして行くのだが毎回同じ質問を受けていた。学園全体で卵は何なのかと議論の対象になった。使い魔は元は野生の魔物で人とは相容れ無い者たちだ。魔物の生態を研究している者も居るが、殆どの魔物はその生態は分かっていない。なので卵が見つかりそこから孵る事は研究者にとって大発見になる為、学園の先生たちは無事に卵が孵るように全力を尽くしていた。


「今日はいつもより暖かくて良かったね」


 今の季節は秋であった為寒い日もある。今日は比較的暖かかった。


「そうですね。卵の方も心成しか嬉しそうな気がします」

「本当!そんな事まで分かるのね!」

「あっ!確実じゃないですよ。何となくです」

「それでも凄いわ」


 卵を見ながらそう言った。その後エディたちも合流し一緒にお茶をした。


 その翌日もほぼ毎日中庭に居たが生まれる様子は無かった。季節は冬になり十二月になった。雪が降り始め学園も冬休みに突入した。


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