30 授業
ホームルームが終わり少し休憩をした後廊下に並んだ。そこから一階から順に先生から説明を受けながら教室を一つずつ回って行った。一階の教室は生徒たち全員の教室となっており一年生、二年生、三年生の教室になっている。その上の教室は美術室や化学室、魔術室、研究室といった部屋がいくつもあった。一日では回り切れないほど沢山の教室があった。自分たちが使う教室は二階までなので重点的に教えて貰ったが、三階から六階までは教師や二・三年の生徒が使う教室だったので軽く説明をしただけに終わった。教室の案内だけで午前中は終わり、今度は地下一階へと向かった。地下一階は食堂となっており様々なメニューが揃っていた。
「ここでは好きにメニューを選び食べる事が出来ます。午後からは先程案内した魔法室で授業を行いますので一時に集合して下さい。それでは解散」
そう言うと先生は食堂から出て行った。周りを見ると他のクラスの生徒たちも集まって居た。
「セラ早くご飯食べて。中庭に出てみない?」
「良いですね。行ってみましょう」
二人で学食のカウンターまで行きメニューを選んだ。セラはサラダとたまごサンド。エーゼルは季節のフルーツとシーフードパスタを頼んだ。
「ここの料理も美味しい」
「野菜も新鮮で美味しいですよ」
食事を楽しんだ二人は講堂を出て中庭の方へ向かった。中庭には様々な花が咲き乱れ、食事が出来るテーブルやベンチなども置いてあった。
「ここで昼食を食べるのも良いかもしれないね」
「そうですね。学食の人に事前に頼んだらお弁当も作って貰えるかも知れません」
授業が始まるまで春の風に吹かれながらベンチで休み、授業開始十分前になり案内された魔法室へ向かった。教室に入るとみんな好きな席に座り待って居た。後ろの席は既に埋まっていたので前の方に座った。すると後ろの方から騒がしい声が聞こえてきた。
「なぁ、ここって空いてる?」
声を掛けてきたのは入学式の時に女の子たちに囲まれていた三人の一人のベンジャミンだった。
「はい。空いてますよ」
「ありがとう」
そう言うとベンジャミンの他にエイベルとクリスも座って来た。その周りには取り巻き?の女の子も座った。
「何か、騒がしい人たちが近くになっちゃったね」
「エーゼル、そんな事言ってはいけないですよ……でもあまり拘わらない方が良いかもしれないですね」
「そうだね」
二人でひそひそと聞こえないように話しているとベラ先生が入って来た。
「それでは授業を始めます。今から魔法学を勉強していきますが、まだみなさん属性について分かっていない人が多いと思いますので今日は自分の属性を調べて行きましょう。自分の属性を知る前にまず属性について教えますね」
属性は大きく分けて五つある。火・水・土・風・無がある。無属性は身体能力強化や結界などの魔法がこれに分類される。属性は自分の基準となり魔法を使えるようになる。しかしだからと言ってその属性しか使えないと言ったら嘘になる。自分の属性よりは威力は弱くなってしまうが訓練次第では他の属性も使えるようになる。殆どの人は二つ属性を持っているが過去には五つの属性全て持つ者も出てきて居る。
「では属性を調べて行きましょう。では呼ばれた人から順に来て下さい。この水晶に手を翳すと水晶が属性ごとに色づきます」
一人ずつ名前を呼ばれ教卓の前に行き水晶に手を翳していった。
「では次エーゼル」
「はい」
エーゼルは席を立ちセラにウインクしてから教卓の前に行った。エーゼルが手を翳すと水晶は赤色と水色が混ざった色をしていた。
「最初から二つの色が出ているのはすごいわ!赤色が強く出ているから属性の基準は火ね。そこにほんのり水色が混じっているから水属性もあるわね。でもまずは火属性でやって行きましょう」
「はい」
エーゼルが席に戻るとセラはすぐに話しかけた。
「凄いですね。二つも属性があるなんて」
「私の両親が火と水が属性だからかな。魔力が強いと属性が二つ出てくる子供は多く居るのよ」
「そうなんですね」
そんな話をするとセラの番へとなった。
「それじゃあ最後にセラ」
「はい」
「セラ大丈夫!」
「はい」
エーゼルと言葉を交わして教卓の前に行った。
「ではセラこの水晶に手を翳して下さい」
「はい」
ベラに言われ水晶に手を翳すと水晶は光輝いた。しかし光り輝くだけで属性を示す色は出なかった。
「これは……多分無属性ね……ごめんなさいね。無属性の色は初めて見るから後で職員室に来て貰えるかしら」
「分かりました」
「魔力は十分備わっているから属性はちゃんとあるわ。さっき説明した通り訓練次第で他の属性も使えるから安心しなさい」
セラの属性が分かった所で授業の終わりの鐘が鳴った。
「魔法学の授業は今日はおしまいです。次は三組で授業をしますので時間までに移動をお願いします」
そう言うとベラは教室から出て行った。




