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26 学園へ

 あっと言う間に一年が過ぎて行った。一年の間にセラは随分と成長した。身長も邸に来た頃より伸びてきて顔付もふっくらした。その間にセラの気持ちも変わっていった。初めこそ学園には行きたくは無かったが、休みの日に友人となったソルトたちと遊ぶ事が増え楽しさを覚えたからだった。まだ人見知りは治ってはいないが前よりは初めての場所でも狼狽える事は無くなった。


「ねえさま、ほんとうにいってしまうのですか?」


 イアンは寂しそうにセラに言った。


「休みの日には帰って来ますね。あと沢山手紙も書きますよ」

「ぜったいですよ。ねえさま」

「えぇ約束です」


 二人で話しているとローファスがやって来た。


「セラそろそろ行きますよ?」

「あっ、はい義父さま。それじゃイアン行ってきますね。アリスの事宜しくお願いします」

「まかせてください!ねえさまいってらっしゃい」


 ローファスと一緒に馬車に乗り学園へと向かった。


「セラ今から学園へと行きますが本当に良いのですね?」

「はい。少し怖いですが魔法もきちんと学びたいですし何よりみなさんに会いたいので学園へ行きます」

「辛くなったらいつでも帰って来て下さい」


 ローファスは心配をしていたが杞憂だったようだった。


 暫くすると馬車は大きい門の前で止まった。どうやらここが魔法学園のようだ。


「セラ、ここが魔法学園のロスタリア学園です。この奥に全校生徒が入る事が出来る講堂がありそこで入学式をするんです。今日は学園で使う教科書の配布日なので入学式明日になります。入寮も明日になるので今日は近くの宿に泊まりますよ」

「分かりました」

「では教科書を取りに行きましょうか」


 そう言うと講堂へと向かった。講堂に行くともう既に沢山の貴族たちが居た。貴族たちは基本馬車を使い移動しているので平民たちよりも早く学園へ来ることが出来る。ここから徐々に平民たちがやってくる予定だ。


「あちらが受取所ですね。行きましょうか」

「はい」


 教科書を配布している所に向かうともう既に用意がされていた。そこでは若い女性が受付の前で待って居た。


「ご入学おめでとうございます。お名前をお教え下さい」

「セラ、名前を」

「えっと、セラ・ノルディスです」

「セラ・ノルディスですね。少々お待ち下さい」


 そう言うと女性は目の前にあった水晶に手を翳した。すると水晶が光を帯びた。


「お待たせ致しました。確認が取れました。こちらがセラさんの教科書と制服です。セラさんのクラスは三組となりますので間違えないようにお願いします。こちらは学生証です。失くされた場合はすぐに担任の教師か、直接事務化の方へお申しつけくださいね。そうでないと、身元証明が出来なくなってしまうので注意して下さい。詳細の方はこちらの本に記してありますので必ずお読み下さいね?この本を読まなかった事で問題になった生徒もいますからね」


 少し脅すように言っていたが本当の事なのだろう。宿に行ったら少しでも読んでおこうとセラは思った。教科書と制服を持ったセラは講堂から出ようとした。すると後ろから声をかけられた。


「ノルディス公爵!」

「おや?お久しぶりです。コーレイ伯爵」


 後ろからやって来た赤髪男性はコーレイと言うらしい。ローファスと知り合いらしく仲良さげに話していた。


「公爵の方も今年入学なのですね?」

「えぇ、まさか伯爵の方もご息女が入学する歳なのですね。月日が経つのは早いものですね」

「そうですね……ですがご息女は今年三歳になるのでは?隣のご息女は?」

「セラと言います。実は一昨年の夏頃に養女として迎え入れたんです。上の息子は昨年入学しましたが」

「そうだったんですね」


 話をして居ると、コーレイの後ろから走って来る赤髪の二つ結びをした可愛らしい少女が向かって来た。


「お父様!何をしているんですの!?私探しましたのよ!」

「あぁごめんエリー。知り合いを見かけて、こっちに来てしまったんだ」

「もぉ!今日はお父様の用事では無くて、私の入学の準備で来ましたのよ!しっかりして下さい!」


 元気の良い令嬢は父親に向かって怒っていた。


「私の娘のエリーです。妻に似てしっかり者になりました。エリー挨拶を」

「はっ!先程は失礼致しました。エーゼル・コーレイと言います。宜しくお願いします」


 エーゼルは赤い瞳をキラキラさせ期待に満ちた顔でこちらを見ていた。


「セラ」

「あっ……セ、セラと言います……あの……えっと……宜しくお願いします」


 ローファスに促され初めての人におどおどしながら言うとエーゼルが手を取って笑顔を向けた。


「宜しくね!セラ様!セラと呼び捨てにしても良い?私もエーゼルって呼んで欲しいな」

「ですが……」

「仲の良い友人はみんな呼び捨てにしているわ。私はセラと仲良くなりたい。……駄目?」

「私なんかで良ければ……宜しくお願いします。エーゼル……」


 初めての同年代の友人が出来てセラは顔を綻ばせた。


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