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25 花飾り

 四人の様子を遠くから見つめながらユリアとセラは花飾りを作っていた。


「ユリアさまここはどうするのですか?」

「ここはさっきと同じように編み込んでいけば良いのよ」

「こうですか……?」

「そうそう、上手よ。慣れてきたわね」


 ユリアに教えて貰いながらどんどんお花を編み込んでいく。途中歪になりながらも夢中で作っていった。


「できた!」

「綺麗に出来たわね」


 お花をどんどん継ぎ足していった為大きめの輪となっていた。


「大きめになったから冠じゃなくて首飾りになってしまったわね」

「もっとつくります」


 セラは首飾りの他に腕輪や指輪なども作った。


「沢山作ったわね。これはどうするの?」

「にいさまたちにわたします」


 作ったものを両手いっぱいに抱えて持とうとしたセラをユリアは少し止めた。


「それじゃあお花が潰れちゃうわ。セラは指輪と腕輪を持って!私が冠と首飾りを持つから」


 そう言うとそっと花飾りを取り、桜の木の下で談笑している四人の許へと向かった。


「にいさま!」

「セラ二人で何を話してたんだい?」

「ないしょです」


 セラはユリアを見てふふふと笑いかけた。それに合わせてユリアもふふっといたずらっ子のような笑みを浮かべた。


「にいさま、はなかざりをつくったんです。もらってくれますか?」

「セラが作ったの?上手に作ったね」

「にいさまには、おはなのかんむりをあげます」

「みなさんにもつくったんです。どうぞ?」


 ソルトにはお花の腕輪をアヴァンにはお花の首飾りを渡した。


「ありがとう」

「大切にするな」


 二人がセラにお礼を言うとセラはニコッと笑った。


「あの……オルフェさまにはこちらをさしあげます」


 おずおずとオルフェに渡したのはオルフェの瞳と同じ青い花で作られた指輪だった。頬を染めて渡すセラに笑顔でオルフェは受け取った。オルフェが花の指輪を受け取るとセラはユリアの後ろに隠れてしまった。照れた顔を隠しているのだろうか、ユリアの背中に顔を押し付けていた。その様子を見てエディはオルフェを睨み、オルフェは指輪を見てにこにこし、ソルトとアヴァンはそんな二人を見てニヤニヤしていた。


「セラ、喜んで貰えて良かったですわね」

「は……い……」


 照れながらも笑顔で返事をしたセラにエディは何も言えなくなってしまった。その後風も少し冷たくなってきたのでノルディス家の邸へと戻る事になった。邸へと戻った後は学園での生活や学んでいる事など日常的な話を沢山した。途中でイアンも合流しボードゲームやカードゲームなどをして遊んだ。


「みなさんきょうはどうするのですか?」

「今日はここに泊まる予定だから大丈夫だよ」

「そうなのですか?」

「あぁだからまだ沢山話をしよう。みんな寝落ちるまで沢山話をしようと決めていたからね」

「わぁ」


 その日は夕食を食べた後エディの部屋に行き、床に沢山の毛布を敷き詰めて寝ながら雑談をした。疲れていたので、セラとまだ幼いイアンはすぐに眠りに着いてしまった。それを確認した五人は二人をエディのベッドに運び自分たちは客室へと行った。オルフェは名残惜しそうにセラを見つめていたが、エディに邪魔をされ部屋を出されてしまった。全員が客室へ行ったのを確認し、部屋の明かりを消し二人が眠るベッドに行き自分も横になった。


「セラが楽しんでくれるのは良いが、まだ義妹は渡さないよ。折角ここまで懐いてくれたんだ。早々に横からかっ攫われて行かれたんじゃ溜まったもんじゃないしね……」


 セラの頭を優しく撫でながらエディは静かに呟いた。


 その翌日、五人が学園へ戻る為に準備をしている所にセラがやって来て一緒に準備を手伝った。少しでも長く居られるように傍を離れる事はしなかった。準備が整い馬車に乗り込む五人を寂しそうにセラは眺めていた。その様子に気づいたオルフェがまた手紙を書くよと言い、ソルト、ユリア、アヴァンも同じように手紙を書くと言った。エディは渋い顔をしていたが同じように続けて言った。


 そして一年後、セラは学園に行くと決めた。大切な家族、大切な友人に会う為に……そして自分の……








 好きな人の下に近付く為に……


ここで奴隷処女編が完結です。次は魔法学園偏となります。




やっときた……

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