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3 抵抗

 魔方陣を展開した上に作っておいた魔法薬を垂らしていく。透明になった魔法薬はキラキラと輝いていた。とてもじゃないが呪詛で使われるとは思わない。魔方陣の上にぷかぷかと魔法薬が浮かんでいる。その中にハンカチを吸い込ませる。ハンカチは徐々にどす黒い色へと変わっていく。全ての魔法薬がハンカチに吸い込まれると魔方陣に触れた。


「じゅんびはできた……あとは……」


 術を発動させる前に別な術式を組み込む。追跡と魔法を跳ね返す術式、それを時間差で発動するように複雑に組み込んでいく。複雑に組み込んでおけばマカロフにはバレない。組み込み終わると術式を発動させた。発動すると魔方陣の中のハンカチが黒い(もや)となり、壁や扉の隙間から出て行った。危惧していた首輪の発動は起こらなかった。


「うまくいくといいな……」


 セラはそんなことを思いながら部屋を出た。




◇ ◇ ◇




 三日後、セラは苦しんでいた。術式がきちんと作動したらしく呪詛が跳ね返ってきた。暗闇の中、檻の中で身を縮まらせて胸を押さえて苦しさを紛らわせていた。暫くして扉が開く音が聞こえた。苦しさに耐えながら体を起こす。マカロフに呪詛返しを知られれば、他の者があの綺麗な少年に呪詛をまたかけるかもしれない。そうなれば今度こそ必ず死んでしまう。絶対にそんなことはさせまいと、マカロフの前では平気な顔をしていた。


ガチャ


「起きていたか」

「はい」

「あいつは後どれくらいで死ぬ?」

「あといっしゅうかんはかかるとおもいます」

「くくく……そうか!ハハハハハ……あの王子は寝所で苦しんでいて、この三日間姿を現していない!あと少し……あと少しだ!これで私の願いも叶えられるものだ!あははははははは!」

「っ……」


 王子と聞いて叫ぶのをこらえた。


 ――おうじだったの!?ころすあいてって……


 下を向いて青ざめているとマカロフは次の仕事の内容を話し始めた。呪詛を受けた状態で魔術を使うと死を早めてしまう。マカロフの罪が暴かれるのが先か、自分の死が先かそれは分からないが、自分が死ぬまでに捕まえて欲しいと願うしかなかった。


 それから四日後、セラは起き上がれなくなり小さく丸くなって少しでも体力を温存していた。物音が聞こえ身体を起こすと同時に扉が開いた。


「今日の仕事だ。紙に書いてあるからその通りに従え」


 袋が投げ込まれ、その中には魔石が何個か入っていた。紙を読んでみると、どうやら呪具を作れという依頼だった。これを作るとなると魔力が相当いる。今の状態で作れば確実に死んでしまうだろう。マカロフはセラが袋の中を確認した後出て行った。そうするとまた暗闇が訪れる。小さな光を出して魔石の加工に取り掛かった。


 作業が終わる頃には手も足も動かせなくなっていた。呪具はあと一つで完成だ。指先だけを動かし、なんとか最後の一つを作ろうと魔石に手を伸ばした。右手に魔石を持ち左手の指先に魔力を込める。意識が朦朧とする中、ゆっくりと手を動かし最後の作業をしていると突然大きな音が聞こえてきた。


ドドドドドドドドドッ


 上のほうから今までに聞いたこともない音が聞こえてきた。作業していた手を止めて、眼だけで入口のほうを見る。するとバタバタと足音が近づいて来る音が聞こえてきた。


バンッ!


「くそっ!何でここが分かったんだ!このままじゃ計画も台無しだ!」


扉を勢いよく開けたマカロフは慌てたように入って来た。その様子からセラの計画が成功したことを告げていた。セラは静かに微笑んで安堵した。自分がしたことはギリギリだが間に合って良かったと思った。


「お前っ!そうか、お前か!お前が何かしたのだな!人形ばかりだと思っていたが、やってくれたな!小娘!」

「これ、で、おわりです。あ、なた、が……い、ままで……おか、したつみは、わたし、で、さい、ご……だれも、これいじょう……くる、し、ませ、た、り……しない!」


 最後の気力でマカロフに言った。すると首輪が反応しセラをさらに苦しませた。そんなセラを見下ろしながら、マカロフは牢を開けセラへと近づいて来た。


「……っ」

「ちっ、最後の足掻きか……くくっ……だが残念だったな。こんなこともあろうかと用意はしてあるんだよ。お前が今まで作っていた呪具を使えばな!」


 その言葉と同時に完成済みの袋を奪い取って、呪具に魔力を込め始めた。セラは何とか時間を稼ごうと手を伸ばすがマカロフには届かなかった。マカロフの体が透けていくのを黙って見ているしかないと思われた時呪具が弾け飛んだ。


「!」


 驚いたマカロフは袋を手放した。唖然としてその様子を見ていると周りに小さな光がいくつも飛び回っていた。それは暫くその姿を現していなかった光たちだった。

シリアスはあと少しで終わる……はず(-_-;)

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