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20 お茶会

 三か月後、アレーナが戻って来たと知らせを受けたアデルは早速セラのお茶会の準備を始めた。


「どの服装が良いかしら?」

「母上、こちらはどうですか?殿下はシンプルで清楚な服装が好きなので髪色に合わせて薄いピンクのワンピースはどうですか?」

「にいさま!それなら、こんいろのワンピースもあいそうですよ」

「そうねぇ……」


 三人が悩んでいる間セラはポカンとしながら座って様子を見ていた。


「セラは何か希望ある?」

「えっと……よくわからないので、おまかせしてもいいですか?」

「初めてですものね。私たちで決めましょうか」

「それならこちらもどうですか!奥様」


 使用人も含めたセラのお茶会用の服は数時間の話し合いの末、白を基調にした水色のラインが入ったフリルのワンピースに決まった。その他にもワンピースが用意されていたが、それはまた別の機会に着ることになった。


「とても綺麗よ」

「見立ては完璧ですね」

「ねえさま、きれいです」

「……ありがとうございます」


 今回お茶会に参加するのはアデルとアディでの三人だ。顔合わせという名目なのでアランはお留守番だ。アランは最後までごねていたが、アデルの説得により我慢することにした。


「つぎはぜったいつれていってください!」

「えぇ、約束です。では良い子で邸で待って居るのですよ」

「わかりました。セラねえさま、きをつけていってきてください」

「ありがとうございます。いってきます」


 馬車に乗り込むと三人は城へと向かった。




◇ ◇ ◇




「ようこそいらっしゃいました。王妃様がロティリアガーデンでお待ちして居ります。どうぞこちらへ」


 アレーナの侍女の一人が城門の前に立って居り、そのままロティリアガーデンに案内された。ロティリアガーデンの入り口まで来ると、前に来た時よりも衛兵の人数が増えていた。


「通行証です。お願いします」


 門番が通行証を受け取ると注意深く確認するとそのまま頷き通行証を返した。今回の通行証は特別製で名前と顔写真が描かれており、それを確認することそこに書かれている人物全員を通すことが出来た。


「確認しました。どうぞお通り下さい」


 門番に通され侍女の案内で進んで行くと、開けた場所に出た。そこには屋根が付いておりその中央にはテーブルと椅子が置いてあった。その場所には女性と男の子が座って居た。


「アデル!待って居たわ!」

「王妃様、ご無沙汰しております」

「もう、いつも通り呼び捨てで構わないわ」

「ふふ、相変わらずね。アレーナ紹介するわね。エディには会ったことがあるわよね?この子が手紙に書いていたセラよ。セラ、この方がこの国の王妃アレーナ様よ」

「はじめまして。セラです」


 綺麗なカーテシーを見せたセラにアレーナは驚きを見せた。短い期間の間にこれだけ出来るとは思っていなかった。


「ふふ、可愛らしいカーテシーね。将来がとても楽しみだわ!これからよろしくね、セラちゃん」

「よろしくおねがいします」

「で、こっちが私の息子の」

「オルフェ・ライト・ヒュードレイン。はじめまして、セラ嬢」

「っ……はじめ……まして……」


 傍に居る男の子が王太子であることは分かっていたが、改めて紹介されるとやはり緊張する。緊張しながらも綺麗なカーテシーをしたセラを見てオルフェは微笑んだ。


「そんなに緊張しなくても良いよって言っても難しいか……私のことはオルフェと名前で呼んで欲しいな」

「そんな!おそれおおいです」

「私が良いって言っているんだ。是非ともセラ嬢には名前で呼んで貰いたい」

「でんか……ですが……」

「オルフェ」

「で……」

「オ・ル・フェ」

「オルフェさ、ま……」

「うん」


 名前で呼ばれ満足したのかオルフェはうんうんと頷いた。そこにエディがオルフェの脇腹を殴った。


「オルフェ。義妹(いもうと)にこれ以上近づかないで欲しいね」

「エディ……」

「セラ、無理に名前を呼ばなくて良いからね」

「おいっ!」

「二人ともいい加減になさい。セラちゃんが困っているでしょ」


 二人のやり取りをハラハラしながら見ているとアレーナが二人を(たしな)めた。


「すみません、母上……セラ嬢もすみません……」

「王妃様、すみません。セラもごめんね……」

「いえ……お二人は仲が良いのですね。びっくりしました」

「産まれた時から共に過ごしているからね」

「良い友人だよ」


 二人の息もぴったりでセラは少し羨ましいと思った。挨拶も済み、それぞれ紅茶とお菓子を食べて飲み、他愛ない話をして楽しんだ。


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