16 真相
目が覚めるとふかふかのベットで寝かされていた。頭がぼうっとし、何も考えることが出来なかった。
「うっ……あっ……」
声を出してみようとしたが、声が掠れていて言葉にはならなかった。
「おぉセラ目を覚ましたか。よう頑張ったの、無事に首輪は取り外せたから安心せい。……ふむ、やはり熱がまだ高いの。声も掠れておるし今日は泊まったほうが良いの」
「あっ……?」
「ん?あぁローファスなら陛下に報告しに行っとるよ。もう少しで帰って来るからの」
セラはアトスから薬湯を貰いそれを飲み干した。苦くて渋かったが呑まないと、治らないことを知っていた為、我慢して飲み干した。飲み終わった頃にローファスが病室に入って来てセラの頭を撫でた。
「良く頑張りましたね。ゆっくり休んで下さい。」
ローファスに撫でて貰い、気持ち良くなったセラはまた深い眠りに入った。
◇ ◇ ◇
「よう寝ておるの」
「えぇ、無理をさせてしまいました」
セラが眠りに入った後、ローファスとアトスが静かに話し始めた。
「陛下は何と言っておった?」
「無事に首輪が外せたことに安堵しておりました。セラの体調が良くなったら、お会いするそうです」
「やはり会うことになったか」
「えぇ、ですが悪いようにはしないと仰っていたので大丈夫かと」
「まぁセラもずっと気にかけていたからの」
アトスとローファスが話しているところにトレアが入って来た。
「おやおや、これは団長サマ」
「老師、止めてくれ。体が痒くなる」
「ほほ、たまには良いじゃろ」
「本当に止めてくれ」
「トレア卿、ここへ来たということは何か分かったのですか?」
「あぁ、今からそれを説明する」
説明というのは首輪のことだった。取り外すに至るまで、アトスがセラの体調を診ながら首輪についても調べていた。そこで明らかになったのは、首輪はつい最近作られたものだった。
「嬢ちゃんが起きたら確認するしかないが、あの首輪は最近のものだ。しかも奴が絡んでいる」
「あ奴が絡んでいるとなると首輪の出所が掴めんぞ」
「あの人はそう簡単に見つからないですからね……」
奴とは十年程前に魔法医療団に所属していた、ジンジャー・ニールセンのことだ。ジンジャーは優秀な医療師だったが、ある任務で捕らえた罪人から驚くべきことが伝えられた。背後関係を調べていく中でジンジャーの名が上がったのだ。そして密かに調べていく中でジンジャーの余罪がいくつも出てきた。しかし罪が分かった所でジンジャーの姿はもう既に無かった。それからというもの、度々罪人の中で話は聞くが未だに捕らえることが出来なかった。
「騎士団に居てもおかしくない奴じゃったからの。隠形に関してはピカイチじゃ」
「あぁ。嬢ちゃんに付いていた首輪も、痕跡を残さないように粉々になるようにしていたしな。一応破片でも残せればと思って頑張ったんだがな……やはり駄目だった」
「仕方ありません。ですが少しでも分かっただけでも成果ですよ」
マカロフにも聴取しようとしたが、三日後突如苦しみだし、何も言わずに死んでしまったのだ。苦しむまでずっと「私はやってない。あのガキが勝手にやったことだ」などとずっと叫び続けていた。
「マカロフも死んじまったし。俺らはここまでだな……」
「仕方ありません。陛下には伝えておきます」
「あぁ、頼んだ」
「それにしてもセラの首輪が無事に取れて良かったわい」
その通りだと三人は顔を見合わせ頷いた。
◇ ◇ ◇
「また失敗ですか……」
ある薄暗い邸の中で男が呟いた。彼こそ騎士団が血眼になって探しているジンジャー・ニールセンだ。
「ですが、成果も見られましたし、良しとしましょう。ここも騎士団に見つかりそうなので、また邸を替えなければなりませんね」
そう言うとジンジャーは、新たな邸へと向かう為、魔道具を展開させた。ジンジャーが去った後に残されていたのはある実験をした痕跡だった。ジンジャーはワザと痕跡を残し騎士団を嘲笑うように姿を消したのだった。




