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15 解呪

 セラの下へ行くとイアンと一緒にアリスと遊んでいた。


「セラ」

「とうさま!かあさまも!みてください、つみきでおしろをつくったんですよ!」


 楽しそうに笑うセラは本当に笑顔が絶えなくなった。これから辛い目に合わせてしまうと思うと心が痛んだ。


「セラ。これから城へ行きますよ」

「しろへ?」

「あぁ。老師がもう大丈夫だと言っていました。その首輪を取り外せますよ」

「!!」

「今のセラなら耐えられるはずです」


 ローファスの言葉を聞いてそっと首元に触れた。あの日からずっと付いていた首輪は今も外れていない。本当ならすぐにでも外そうとしたのだが、セラの状態が非常に悪かった為外せないでいた。それがようやく体調も元通り健康な体へとなった。ズタズタだった魔力回路も正常に戻った為、安心して外せるまでになった。


「大丈夫です。老師も居ますし、魔術道具のエキスパートが揃っています。私も傍にずっと居るので外しに行きましょう」

「はい……」


 そうは言っても緊張はするもので、馬車に乗り込んでからはずっとローファスの傍を離れなかった。城へ着くと魔術用の部屋へと通された。少し薄暗いその部屋はセラが閉じ込められて居た部屋に似ていたことから委縮してしまった。


「や……ここ……いや……」


 恐怖が蘇ったのかローファスの裾をぎゅっと握りしめ傍へと寄った。


「セラ大丈夫ですよ」

「うーむ、やはりこの部屋はセラには辛かったの……」


 後ろからアトスが話しかけながらやって来た。その後ろには数人のローブを羽織った者たちが居た。


「トレア卿」

「ローファス、その嬢ちゃんか……あーあ、こんなに怯えちまって……部屋を明るくするか。雰囲気は大事だが、別に明るくても大丈夫だしな」


 そう言うとすぐに部屋を明るくした。薄暗い部屋から一気に明るくなったことで、一瞬目が眩んだがすぐに慣れはじめた。部屋を明るくしたことでセラは落ち着きを取り戻した。


「セラ、このくらいの明るさなら大丈夫でしょう」

「嬢ちゃん悪かったな。先に部屋を明るくしておくべきだった」

「だい……じょうぶ……」


 顔色は先程よりも良くなったが、やはりまだ怖いのだろう顔は強張ったまだだった。


「セラ、今から首輪を外すがその時痛みが生じる。凄まじい痛みだと思うが……耐えられるかの?もし駄目じゃったら日を改めることも出来る。どうする?」


 アトスがセラにそう聞くと頭を下げて考え込んだ。固唾を呑んで見守っていると、セラは意を決したように顔を上げて真っ直ぐ見つめて答えた。


「おねがい……します……はずしてください……」


 その顔は最初に出会った時の死んだような瞳、怯え切った姿はどこにも無かった。


「嬢ちゃんは強いな。早速だがこの台に仰向けで乗ってくれ。ローファス、お前は陣の外側で待っててくれ。本当は傍まで行かせてやりたいがこればかりはな……嬢ちゃんも少しの間だけ我慢だ。すぐに終わらせるように俺らも頑張るからな」


 こくんと頷くのを確認し台の上に乗せた。不安そうな顔をするセラに笑顔で頭を撫でた。


「大丈夫だ。ちゃんと外れるからな。ちょっとの間苦しいだろうが我慢してくれな」


 セラを囲むように円になって騎士たちが配置に着いた。そして一斉に魔力を徐々に開放していった。騎士たちの一人一人の足元に魔法陣が出現し中心に居るセラの下に集められた。


「うっ……」


 暫くすると首輪が反応しているのかセラを苦しみ始めた。


「セラ!もう少しの辛抱じゃ!」


 アトスが励ますとこちらを向いて力なく笑った。最後に魔力を一斉に開放する為、騎士たちが魔力を一気に上げた。


「あっ……あっ……うああああああああああああああああ!」


パキ……パキパキ、パリン!


 首輪が音を立てて壊れたのと同時にセラは意識を失った。


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