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14 決断

 一週間が経ちローファスとの約束の時が訪れた。今いる場所はローファスと初めて出会った病室だ。アトスやジェシカも一緒に、セラの決断を見守っていた。


「今日で一週間ですが、どうでしたか?」

「たのしかったです。みなさんやさしくて、こんなにしあわせでいいのかとおもえるくらい……」

「何度も言っていますが幸せになってはいけない人など、この世にはいないのですよ。もちろん悪いことをすれば罰は下されますが、セラには当て嵌まりません。家族になりましょう?」

「……かぞくに、なりたいです。きぞくのしきたりとか……じしんがありませんががんばります。わたしなんかでよければ、かぞくにしてください。おねがいします」

「私なんかなんて言わないで下さい。こちらこそよろしくお願いします」


 自分の決断が不幸を招くのではないのか、この1週間ずっと考えていた。しかしローファスたちと楽しく過ごしていくうちに、自分が普通の生活をしても良いのだと思えるようになった。そう思える様になったのはアトスやジェシカ、ローファスたち使用人の人たち、ロティリアガーデンのディランのおかげでもあった。


「セラこれから忙しくなるかもしれんが、辛くなったらいつでもおいで。何も帰る場所がローファスの邸だけでは無いのだからの。儂が居る場所もセラの居場所じゃ。ジェシカも居るしの」

「そうよ?いつでも来てね」

「これからは普通の食事でも大丈夫じゃろう。今までは胃に優しいものだけじゃったが、もう脂っぽい食べ物も大丈夫じゃ。だが油断は禁物じゃ。少しでも気分が悪くなったら、遠慮なくちゃんと言わねばならんからの。約束じゃ」

「やくそくします」


 退院祝いでちょっとしたパーティーをした。パーティーといっても飾り付けなどは無く、花束と様々なお菓子が用意された。沢山の種類のお菓子を食べたが、それでも余ってしまったので残りは持ち帰りエディたちへのお土産として持ち帰ることにした。。


「おかし、ありがとうございました。おいしかったです。あの……またきます」

「いつでもおいで」


 病室を後にしたセラは、最初に見せていた怯えの表情は無かった。自分の足でローファスに手を引かれながら廊下を歩いた。途中、侍女たちとすれ違ったが堂々と歩くことが出来た。その様子をさり気なく見ていた侍女たちは自分の家族のように喜ばしく思った。毎日のようにローファスと一緒に登城していたセラは城に仕える人たちのから顔を覚えられていた。そして、優しく見守っていたのだ。日に日に顔色が良くなり、自信に満ち溢れている様は慈愛に満ちていた。


 自分の足で馬車まで行くとローファスに抱えられて馬車に乗り邸まで戻った。二人が戻って来たことにアデル、エディ、イアン、そして使用人たちも安堵した。セラが1週間の期限でこの屋敷に居ることは知っていたので、この後どうなるか分からなかった。もしかしたら、もう戻って来ないかもしれない。そう思う部分もあったが、セラが自分の意思で邸に戻ることを決断してくれたことにその場に居た全員喜んだ。


「セラお帰りなさい。退院おめでとう」

「おかえりなさい!ねえさま!これからずっといっしょだよね!」

「セラお帰りなさい」

「ただいまもどりました。かあさま、にいさま、イアン。えっと……これからもずっとよろしくおねがいします」


 セラの言葉に誰もが歓声を上げた。


「セラ。これからも沢山思い出を作っていきましょうね」

「セラ!良かった。もう一緒に居れ無いかと思いました」

「かあさま、にいさま」

「セラ様。これからずっと一緒に居られることを嬉しく思います」

「エリー……これからよろしくおねがいします」

 

 改めてノルディス家の一員になり、その夜はパーティーを開いた。使用人を交えて、料理を自分で取っていくスタイルで食べ始めた。セラの前には沢山の人が集まったが、エリーがサポートしてくれたおかげで動揺せずに話すことが出来た。セラが眠そうになったのを見てお開きになった。エリーがそのまま部屋へと案内をし、セラが眠りにつくまで傍に居続けた。




◇ ◇ ◇




 セラが城へ来て四週間、ノルディス家に来てからは四か月が経とうとしていた。その頃になると体調の問題も無くなり、激しい運動も出来るようになった。


「ローファス様、セラのことなのですけど……そろそろ……」

「あぁ、この間老師の元に行って確認して頂いたら大丈夫だそうです。その後何が起こるか分からないそうなので、今日は私も城に泊まりますので、エディたちのことよろしくお願いします」

「分かりました。セラのことよろしくお願いします」


 そう言うと二人はセラの下に向かった。


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