11 再び城へ
眠りについた三時間後セラは目を覚ました。もう既に零時を回っている為邸は静まり返っていた。外からは月の光が差し込み何かの動物の鳴き声が響いていた。暫くごろごろとベッドの上で動いていたが、こんな清潔でふかふかしたベッドは初めてだったセラは居心地が悪かった。ベッドから降り毛布だけを取ってベッドの角のほうへ行くと、そこで丸まって毛布を被って再び眠りについた。ずっと小さい檻の中で過ごしていた為ベッドには慣れていなかった。病室にあったベッドはセラが動けるまで、そこにずっと寝ていたおかげもあり慣れがあった。このベッドで寝るにはもう少し時間がかかりそうだった。
◇ ◇ ◇
目が覚めると床で寝ていたはずが、いつの間にかベッドの上で眠っていた。傍にはローファスが椅子に座って本を読んでいた。そのままぼーっとして見ていると、セラが起きたことに気づいたローファスがにっこりと笑顔を向けた。
「おはようございます。よく寝られましたか?」
「おはようございます……えっと……ねられました……」
「それは良かった。床で寝ていましたがベッドに何か問題でもありましたか?」
「あっ……うっ……ごめんなさい」
「怒っているわけではありませんよ。ただベッドが気に入らないのかと思いまして……」
「ちがいます……すこしいわかんがあって……」
「そうですか……では、これから毎日私と一緒に寝ませんか?一緒に居ればその違和感も無くなるかもしれませんよ?」
「ほんとに?」
「えぇ」
「……あの、おねがいしてもいいですか?」
「もちろんです。今日から一緒に寝ましょう」
こうして今日の夜から一緒に寝ることになった。その後、手軽なピンクのワンピースを着て朝食を食べた。朝食はベーコンに卵、トースト一枚を食べ切ることが出来た。朝食を食べた後、ローファスの執務室へと向かった。
「食べたばかりなのにすみません。これからのことですが、午前中は私と一緒に登城して貰います」
「とうじょう?」
「城に出勤するということです。老師にも会えますよ」
「おしろからでたのに、またいっていいのですか?」
「もちろんです。きちんと手続きをすれば誰でも入ることが出来ますよ。これはセラの通行手形です。では一緒に行きましょうか」
そう言うと、セラと共に城へ向かう準備をし馬車へと向かう。馬車の中へ入ると前は無かったクッションが置いてあった。クッションに触ると、とても柔らかくて気に入った。ローファスに持っていても良いと言われ、クッションを抱え込むようにして城に着くまでずっと触っていた。城に着くとそのままローファスが仕事をしている執務室へと向かった。
「ここが私の仕事場です。セラはこのソファーで寛いでいて下さい。それとも本でも読みますか?この城には大きい図書室があるので様々な本がありますよ」
「ぜひよみたいです」
「では図書室で本を借りましょうか」
早速図書室へ向かうと見たことも無い本の量の多さにびっくりした。
「わぁ!このなかからえらんでいいのですか?」
「えぇ、構いません。この辺りの小説はどうですか?冒険もので面白いと思いますよ」
薦められた本を手に取り入口に居る図書を管理している司書に本を借りる手続きし、また執務室へと戻る。その途中様々な人と行き交ったが本に夢中だったセラは気づかなかった。執務室へ戻ると、早速持ってきた本を読み始める。分らない単語などがあったがローファスが一緒に辞典も借りていてくれていたのでそれを使い読んだ。
◇ ◇ ◇
「セラ、セラ……そろそろ休憩しましょうか。ずっと同じ姿勢でいると疲れてしまいますからね。休憩しましょう。息抜きに王宮の庭に行ってみませんか。夏の花々が見頃ですよ。どうですか?」
「いってみたいです。でもわたしなんかがいっても、だいじょうぶなのですか?」
「心配はいりません。許可は取ってありますので」
ソファーに座るセラを抱き抱えるとそのまま部屋を出た。王宮の庭はロティリアガーデンと呼ばれ、ヒュードレイン3世であるロティリア・ライト・ヒュードレインが作った庭園だ。ヒュードレイン国の初代女王でもあり、庭に力を入れてきた人物でもあった。自ら手入れするほど花々が好きであったが、その当時からしてみれば変わり者と呼ばれていた。そんな彼女だが様々な政策を考えだし、国を盛り上げた偉人でもあった。そんなロティリアガーデンの由来を話していると、衛兵が立つ小さい門の前まで来た。衛兵に軽く会釈をすると小さい門を潜り抜けた。




