10 晩餐会
夕食をみんなで食べることになり、セラはドレスに着替えることになった。セラの侍女となったエリーにドレスを選んで貰った。今まで着ていたのは真っ白なシンプルなワンピースで簡易なものだった。エリーが出してきたドレスは薄いピンク色のレースがふんだんに使われた可愛らしいものだった。
「セラ様。これに着替えましょうね。絶対似合いますよ!」
「かわいい。でも、きていいんですか?」
「もちろんですよ!ここにあるものは全てセラ様の為に用意されたものです。邸のみなで選んだんですよ?」
改めて周りを見渡してみると女の子らしい可愛い小物や家具が確かに置いてある。これら全てが自分のものだということに驚きを隠せなかった。
エリーが選んでくれたドレスを着るため準備を始めた。時間が無い為、お風呂に入るのは夕食後となった。髪に香油を塗ってもらい艶を出す。次にドレスを着るのだが、どこから着ればいいのか分からず、ぐるぐると回していたがエリーがそれを見て着方をエリーに教わりながら時間をかけて着た。
「準備も出来ましたし、行きましょうか」
「おそくなっちゃった……」
「大丈夫ですよ。全く遅くなっていませんから」
本当のことをいうと、いつも食べている夕食の時間よりもとても遅い時間となっている。だがセラの準備に時間がかかると分かっていたので、気を遣わせない為に食べる時間をいつもよりも遅く設定していた。セラの手をゆっくり引いて食堂へと向かう。大きな扉を開けるとローファスたちが椅子に座って待っていた。
「セラ。そのドレスとっても似合っていますよ。アデルに頼んで正解でしたね。私の隣に来て下さい。今日はセラの為に料理人が腕によりをかけて作ったそうです。きっと気に入りますよ」
ローファスに呼ばれて隣に座った。目の前にはスプーン以外の見たこともない食器が並んでいる。
「セラ様、どうぞお召し上がり下さい」
最初に出されたのは前菜と呼ばれるものらしい。みずみずしい葉物野菜が置いてある。
「セラ。今日はマナーを気にせず食べなさい。これはフォークといってこうして刺して食べるんですよ。これからゆっくりマナーを覚えていけば良いですよ。今日のところは使ったことのあるフォークとスプーンだけで良いですよ」
「はっ……はい!」
食べ始めると、とてもおいしかった。野菜はシャキシャキしており、次に出てきたスープはあっさりしており食べやすく魚料理は脂がのっている。お肉料理も柔らかくジューシーでとても美味しい。最後に出てきたデザートもつるんと食べられるフルーツの果汁を使ったゼリーだった。セラは気づいていなかったが、全部食べ切れるようにローファスたちよりも少なめに盛り付けられていた。お腹にも優しく重くなり過ぎないように工夫がされていた。
「おいしかった……」
いつもより沢山食べたセラは椅子の上でウトウトし始めた。それに気づいたローファスは立ち上がりセラを抱えた。
「旦那様……私が……」
「いや、大丈夫だ。後は頼む。セラ部屋に行きましょうか。今日は色々ありましたからね」
「セラ、おやすみなさい。また、明日」
「ねえさま、あしたいっぱいあそびましょうね!」
「おやすみなさい……」
挨拶をした後、目を擦りながらローファスに身体を預けた。ゆったりとしたスピードは眠気をさらに誘った。
「今日は楽しかったですか?」
「はい……」
「明日もありますから、今日はゆっくり休んで下さい」
部屋に着くとエリーが先に来ており寝る準備をしていた。
「お風呂はまだ止めていたほうが良いと老師が言っていたので浄化の魔法をかけますね」
「旦那様……浄化魔法なら私が……」
「いや今日は私がかける。エリーは着替えを頼む」
浄化の魔法で身体を綺麗にして貰った後、ドレスからパジャマに着替えさせて貰いベットに運んで貰った。ベットの上に上がると直ぐに眠りに着いた。
仕事が忙しくしばらく更新できません。すみません。
3か月くらい空きます。楽しみにしている方お待ちください。




