2話 始まりは人助け
「はっ!」
一瞬視界が真っ白になった後、周りには信じられない光景が広がっていた。
まず、昼だった。
俺が帰ってきた4時頃にはは冬ということもあって、夕日が出ていた。
それなのに今はすごく日差しが眩しい。
そしてすごく暑い。
「夏並みに暑いな…」
流石に暑いので俺は冬の制服を脱いだ。
「それにしても、どうなってんだこれ…。作りもんでもないよな…」
犬の顔をした人や猫耳が頭からじかに生えてる人とかが歩いている。
建物はレンガ造りの家が多く、雰囲気はイギリスっぽい?
イギリス行ったことないけど。
そもそも作りものであっても俺がここにいる説明がつかない。
突っ立っていても仕方ないので、人間みたいな人(顔とか体が人間だから多分人間)に話かけてみた。
「あのー…ここってどこですか?」
言ってから後悔した。自分のいる場所も知らないって正真正銘の馬鹿じゃねぇーか。
「ここはベリストロ王国の王都だよ。いやー、自分のいる場所くらい把握しとけよー。」
うん、ごもっともなんだがそもそも俺を連れてきた奴のせいだろ、これ。
俺を連れてきたやつとかいないの?まじで。
若干の腹立ちを抑えつつ、ありがとうございますと言ってその場を離れた。
まず、状況整理しよう。
俺は4時頃帰ってきた。そして母とテキトーな会話を交わして、スマホを手に取った。
そしたら謎のアプリがあって…
「やめて!お金なら払うわ!」
「お金なんていくらでも貰えるぜ」
「てめぇさえ捕まえればな!」
俺まだ状況整理終わってないんだけど。
街中でなにやってんのよお兄ちゃん達。
「グハァ!お前何すんだ!」
「関係者じゃねぇーか?」
俺は助走をつけて女性の胸ぐらを掴んでいる男に飛び蹴りしていた。
「関係があるかないかで言えば全くないな。ただ俺の正義感が恐怖に勝っちゃったみたいだ。」
普段そんなこともちろんしないが、この時はなぜか体が勝手に動いたんだ。
そしてよくよく考えると馬鹿みたいな発言しちゃったな。
「てめぇ馬鹿だな。オラァ!」
お前には言われたくないと思った。
蹴られた男が手を伸ばしてきた。
俺は一応空手をやっていた身なんだが、こうも馬鹿みたいに手を伸ばしてきてくれるとなかなか反応しやすい。
バァン______床に体が打ちつけられる音が響いた。
「てめぇっ!やんのかオラ!」
そういう言ってもう1人の男はナイフを取り出した。
フッ、ナイフか。そんなもん…は?ナイフ?いや勝てるわけないやん。
「ひっ、ひぃ!ごめんなさい〜!!」
そういう言って俺は走り出した。が、
「おい、あいつのせいで見失ったぞあの女。」
「まじかよ…責任とってもらわねぇとなぁ!」
そう言って追いかけてきた。
は?あの人逃げたの?俺の善意を踏みいじりやがって。
「そこまでだ。お前達!」
突然かっこいい声が街中に響き渡った。
現れたのは白いマントを付けた騎士だ。
その騎士を見た瞬間、
「おい、やべーぞ、ヘルターだ!」
「あいつがヘルターか?まじかよ、逃げるぞ!」
そういう言って男達は去っていった。
「お怪我はありませんか?」
「はい、何とも…。あ、あの助けていただきありがとうございます!」
怪我の心配までしてくれるなんてさっきの女とは多ちがいだ…ん?
「あっ!さっきの!」
「はい、先程は助けていただきありがとうございます。」
そういう言って頭を下げてきたのはさっきの助けようとした女性だった。
その女性はよく見たらすごく美しくて思わず目を逸らしてしまった。青い髪の青い瞳のロングで整った顔立ちをしている。綺麗だが、若干の幼さが残っていてそれがまたかわいさを出している。
なるほど、俺が柄にもなく助けようとした理由がわかった。
「あの、もし良けれは屋敷でお礼をしたいのですが…」
「いやいや、結局騎士さんに助けて貰ったし俺は何も…」
「いや、あなた様がいらっしゃなければ今頃姫様は…」
ん?姫様?