9話 職業《ジョブ》
さっきの話から1時間後、レレと共にギルドへ向かっていた。
「前来た時にも思ったんだが、ギルドってほとんどはダンジョン用じゃないのか?てか、そもそもダンジョンとかこの世界にあんの?」
「もちろん、ダンジョンはありますよ。それに、ギルドはダンジョンに潜る人達のために作られたものです。リュウクくんがいまからつく職業だってギルドが魔法だけだと魔力が尽きた時にモンスターと戦うすべがないからという事で作られたものです。」
なんと、そんな理由で作られたとは。
「まぁ、でも大体の人はこの事をもう忘れてますし魔力を使わない攻撃手段としか考えてないでしょう。」
「魔力使わないのに魔法並みの威力なのか?」
「流石に魔法には多少劣りますが、そこそこの威力を持つ『技』が覚えられる職業もありますよ?」
まあまあの威力か。
1番攻撃の高い『技』が覚えれるジョブにつかなければ。
「1番強い職業ってなんなんだ?」
「うーん……基本的には『技』は魔法と組み合わせて使うものなのでどれが1番いいかは相性ですね。ちなみに私はスナイパーです。」
……組み合わせて、だと…
なるほど、魔法単体だと消費魔力が大きいから軽減するのが主な目的か。
あれ?俺、『技』覚えても戦力外じゃね?
魔法+『技』に『技』単体で通用するのか?
ならばいっそこのまま、守られる生活になっちまうか……
でも、リュウクには希望があった。
今も謎だが、もしかすると魔法がリュウクにも使えるかもしれないのだ。
どんな魔法か検討もつかない上に、可能性も低いが。
「そ、そうか……あ、レレはスナイパーなのかー。スナイパーってイメージ全然ないんだけど。」
そう言った直後、
【水弾】
俺の目の前を水の弾がいきよいよく通り過ぎた。と、思ったのだが、目の前で破裂した。
バーーーーーン!!!
いきなり過ぎて何が起きたかよく分かず、レレの方を向いた。すると、
「リュウクくん、誰か来るから、レレから離れないで!!」
「敵襲??」
そう呆けた声を出してると、すぐ横の路地から男が飛び出してきた。
「てめぇの命、貰ったァ!!」
《ファイヤー・ボール》
拳代の大きさの火の玉が俺に目がけて男の手から発射された。
《ウォーター・ビーム》
その直後後ろからホース6本分はありそうな量の水が火の玉目がけて飛んできた。
ダァァァァァーーーーーーーン!!!
爆風とかは無かったものの、周り一面はびちょ濡れだ。
目の前の俺もたまったもんじゃない。
全身びちょびちょだ。
「お、おい!俺が1番ダメージくらってんじゃん!」
「?目の前の男、気絶してますよ?」
よく見るとさっき俺の事を殺しに来た男は今は無様な形で地面にキスしてる状態だ。
この男はなんだったのだろうか。
「恐らくこの男、グレルーチ団ね。多分、リュウクくんが《ブラック・アロー》をかわしたのが原因かと。」
「矢、かわしただけで命狙われてたら夜もおちおち寝てられねぇよ。」
ギルドへ行くだけで殺されるなら、レミアとあんま境遇変わらないという事に今気づいた。
「いや、恐らく見つけたら殺すようにとか言われてる程度だと思うけどね。」
「いやいやいや、十分危険だってことには変わりねぇよ。」
一悶着あったが無事、ギルドについた。
ギルドに入ると前と変わらぬ笑顔で受付嬢が対応してくれた。
「どうなさいましたか?」
「職業に就きたいと思って。」
「了解しました。なりたい職業はありますか?なければこちらでおすすめの職業にして差し上げますよ。」
「いや、1番強い職業ってある?俺魔法使えないからできるだけ強いのが良くて……」
「一概には言えませんが暗殺者なんてどうでしょうか?相手に気づかれずに接近して間近で『戦技』を使えば結構魔法使い通用するのでは?」
「暗殺者……レレはどう思う?」
「いいんじゃないですか?暗殺者なら【戦技】も[スキル]も得られますし。一つ一つの威力が低めなのが弱点ですが。そこはお姉ちゃんに強い【戦技】を教えてもらいましょう。」
「その、[スキル]はよくわかんないけど暗殺者は強そうだな。じゃあ暗殺者にします。」
「了解しました。登録します。」
そう言って何やら受付にある機械的なものをいじり登録を済ませてもらった。
登録が終わったと同時にリュウクの中で何かが宿った気がした。
こうして俺は最低限の攻撃手段を手にしたのだった。