オーサダハル大師匠に捧げたホームラン!と暴露大会
なんなんだ?このメタメタなタイトル……いーのかなぁ、まぁいいや。
……ヒトは邪悪な意思を愛くるしい外観に擬態して隠すと言う意味を……考えた事が一度でも有っただろうか?
「キャハハハハハハハハハ~ッ!!当たんないねぇ!!当たんないよぅ!!」
わざとらしく空振りを繰り返す、と言うのは判るとして、この後の罰ゲームのどちらかに激しい興味をもったから……だとしたら、それは○○茶か、【初出しの秘密暴露】のどちらかだろう。
「……なんだ、あの子達……コスプレか?」
「いや、そんなオフ会が有るなんて聞いてないぞ?」
「それにしてもさっきのメイド服の娘、すっごい格好だったな……」
「見た見た!もろ丸見えだったけど、そーゆー下着だったのか?」
【まほろば】からやって来た面々が陣取る順番待ちのベンチシートからやや離れた場所でスマホ片手に撮影する者、又は隣のバッティングコーナーから女性陣へ熱い視線を投げ掛ける連中、バッティングセンターは希に見る混雑振りを見せていた。
そんな俄に降って湧いたような盛況も何処吹く風な面々の元へ、打順を終えたモルフィスが戻ってきたのだが、当の本人はいつも通りのマイペース。
「さぁ~て!!そんじゃビスケットちゃん!例のお茶頂戴な!!」
そんな風にモルフィスは、まるでお茶菓子でもねだるように言い放つと、苦情を言い終えて戻って来たビスケットが近寄り、手にした封筒を胸元に押し込み代わりに水筒を胸元から取り出した。
「お待たせ致しました。こちらは私が十六時間掛けて煮出した薬膳茶……っぽく仕上げた何かです。お口に合わないと思いますよ?」
「ありゃ、ハッキリ断言しちゃうんだぁ……まぁいーや!!いっただっきまぁ~す!!」
……オーバーオール姿の美少女に擬態した生命体が、口に紙コップを押し付けて煽った瞬間、誰でも判る位、ブフッ!……とコップの内側に噴き出す音が……
「……くぅぅううう~ッ!!マズイ!実にマズイなぁコレッ!!」
ハッキリそう言いながら、しかし何故か嬉しそうにゴキュゴキュとイッキ飲みして、
「ぷふぁ……渋味は過剰で後味は最悪……よくもまぁここまで全味覚のいやぁ~な感じをキッチリカッチリ刺激出来るなオイこらっ!!全くぅ……」
と、悪態を吐きながらも爽やかな笑顔を作り、宣言する。
「……で、早速だけど、秘密を暴露しまぁ~す!!」
罰ゲーム、改め暴露大会の幕開けである……。
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ハルカはモルフィスの表情に不穏なモノをひしひしと感じてはいたが、誰にでもあるような失敗等の体験談ならばいいよなぁ……と思いつつ、(……でも相手は年令不詳の得体の知れない奴なんだよなぁ……)と恐怖に似た気持ちも感じていたが……
その対象は、いつの間にか手にしていたメロンクリームソーダの缶をプシッ!と開けて、
「……、……、…………、ケプッ。甘いね~これ……。さーて!そんじゃ一番!モルフィス!!語りまぁ~す!!」
手を挙げながら宣誓でもするかのようにベンチに腰掛ける面々を前に、
「ワタシが向こう側の世界で【古代帝国】って呼ばれてた国の礎を作りました~♪」
……サラッと言いながらモルフィスはメロンクリームソーダの缶を飲み干すと、両手で上下を掴んだかと思った瞬間、パシュッ!っと快音を立てながらプレスされたかのようにまっ平らに押し潰しフリスビーのように投げて、見事に離れた場所に置かれた空き缶ボックスへと飛び込んだ。
「……ワタシがただの粗野な野蛮人だった連中に、魔導のイロハを教えてやって、国を興す人材を気長に育ててね!だーから、【古代帝国】なんて今じゃあっさり呼ばれてるけど、元は《モルフィセア》って立派な名前があったんだけどね~♪……さ~て!次はどっちかなぁ~?ゼルダちん……それともノジャちゃん?」
足を組み腕組みをしながら二人を促すと、サッと潔く手を挙げたのは……
「妾は……その国に【通貨】の概念を教えて、国家間の流通を促してやったわ……」
……蜂蜜色の流れるような金髪と、真っ赤な唇……そして、よく見れば細い裂け目のような金色の瞳を持ったゼルダであった。
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……【古代帝国】、過去には《モルフィセア》と呼ばれていた統一国家は、隆盛を極めた最盛期には《竜紋大金貨》(金と名が付くが金とは別の貴金属を使っている)を筆頭に、金貨や銀貨、そして銅貨を製造し、国内外に広く流通させて交易に用いて、その価値は【モルフィセアが倒れる事は世界中から通貨が無くなる事と同義である】とまで謂わしめた、と伝わっている。
「ヒュ~♪やるじゃん!ワタシが暫く観察から離れてた時に、急に発展したから何かあったんだって思ってたけど、まさかゼルダちんの仕業だったのかぁ~♪」
モルフィスの称賛に、やや口許を綻ばせながらゼルダは応える。
「ええ!力で何でも解決しようとしていた帝国のサル共に、【交易に必要なのは武力ではなく信頼だ】と諭して、様々な信頼度を金額に置き換えて交渉する術を伝授したまで……」
……確かに、最高額の《竜紋大金貨》は通常の金貨の十倍以上の大きさであり、現存しているそれらは《国家間の交易》や《政治政略的な交渉》の際に用いられたと伝わり、現在でも多くの国で「一枚で屋敷が買える」「一枚で人一人の人生が買える」と話の尾鰭を引きながら使われている。
ちなみに、その《竜紋大金貨》は亦の名を《白金竜硬貨》とも呼ばれ、竜の紋様が描かれた表面、そして美しい女性の横顔が描かれた裏面もある。その肖像画のモデルが良く論議の的になっていたが、大半は「初代皇后の肖像」だと言われてきた……しかし、言われてみればゼルダの横顔が刻印されている、と言われればそう見えてしまうのだから不思議と納得出来るのだが、本人がそう言うなら……。
「ほらほらこちらをご覧くださいな私も一枚だけ持っていますがその出来映えは確かに素晴らしくて精巧に刻まれたゼルダ様の特徴を良く捉えた作品だと思いませんか?」
おもむろに取り出したソレを手にしたヴァリトラ(ハルカの私物の黄色いスウェット姿に身を包んで鎧姿ではない!)は、面々にそれを得意気に見せていたが、確かに舞うように広がる長髪と、特徴的な切れ長の目元はゼルダの美しさを端的に良く表現しているだろう。
「う~ん、中々の出来だねぇ……つーか、キミ、どっからそれ出したの?」
しげしげと眺めていたモルフィスだったが、やがて満足したのかクルリと身体を反転させてから、
「そんじゃ!最後は真打ちかな~?……ねぇ?ノジャちゃん?」
周囲の視線(とギャラリーの熱い視線)を浴びせられながら、やや俯き気味に立ち上がり、珍しくモジモジしつつ……ノジャが立ち上がり、
「……そ、その……わ、妾は……」
その発言は、先の二人の告白とは明らかに違う、異質且つ異様な物だった。
「……【古代帝国】を……滅亡……させたのじゃ……」
そんな訳で書き貯め残①!どこまで伸ばせるかな?




