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恐怖の二刀流打法!!戦慄のスゥイングで血塗られたホームベース!

そんなこんなで遅れましたが投稿いたします。遅筆?そーかもねぇ。飛び飛び更新?はて?



 「……ちなみに一番多く当てた人は、一番少なかった……ってコラッ!!」


 ハルカが罰ゲームを追加しようとする最中、ノジャがビスケットから硬貨を受け取りながら()()()()()()()()()()()()、バッターボックスに入ってハルカの方を睨み付けながら、


 「ハルカよっ!!妾は絶対に負けるつもりはないのじゃ……だからこそ……ぜ《ガスッ!!》ふぐぁっ!?」

 「の、ノジャ~ッ!!」


 ……言葉の途中、バッターボックスの立ち位置が前過ぎたノジャのこめかみに時速120キロのボールが直撃して、彼女は勢い良くぶっ飛んでいった。


 「ノジャ!しっかりして……うん、脈はあるし、胸は無いけど鼓動はあるわね……」

 「不敬であろう!!妾は高さは無いが美陵と誉れ高き双峰であるぞっ!!」


 思わず駆け寄って呼吸脈拍鼓動を確かめたハルカにややピントのずれた答えを返すノジャだったが、


 「何のこれしき……ビスケットに頼まれてハルカの蔵書の【せんせいっ!貴方のバットが固すぎて僕のボールが……】を勝手に持ち出した事や、隠してあった《花だらけ牧場のホワイトチョコがけバナナチップ》を黙って食べたりした事を暴露されない為に……」

 「……ご心配なく、既にその蔵書は私が責任を持って模写複製しておきましたので、もう元の寝台のマットレスの下へと戻しておきました」



 「の~じゃ~ちゃ~あぁ~ん?こっちに……来なさい……ね?」

 「は、ハルカ!!話せば判る!話せば判るのじゃ!だから両手に鈍器を握り締めて迫り来るのは無しなのじゃ!?」


 ビスケットの【火にケロシンを噴霧する行為】により怒りの炎を倍加させ両手にバットを握るハルカから、ジリジリと退(しりぞ)くノジャだったが、


 「……まぁ、今はいいわ……でも、罰としてノジャは一回休み!!」

 「……助かったのじゃ……じゃが、一回休みとは何じゃ?」

 「他の人の順番が一巡するまでノジャの番は無しっ!!他の人が打ったらノジャは全員分打たなきゃ負けるってこと!!」

 「のおおおぉ~ッ!!?何でじゃ理不尽過ぎなのじゃ~ッ!!」


 ノジャの絶叫がバッティングセンターに木霊する中、余裕の微笑みを湛えながら次にバッターボックスへと立ったのは……




 「……まぁ、見ておるがよいぞ?このような稚戯……妾にとっては造作も無い事だと言う事をな……!」


 不敵に微笑みつつ、ちょっとふらつきながらやっぱりバットの太い方を握ったゼルダだった。



✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳



 「……あー、先に言っておきますが、魔導だか魔法だか使うのは無しですからねー?」

 「な、なんじゃと!?左様な理不尽な事がまかり通ると……(バシィンッ!!)……こ、こら!!まだ投げるでない!!(バシィンッ!!)待てと言うておるにぃ!?(バシィンッ)……」


 ハルカの容赦ないチート封じに動じた瞬間に、タイミングを合わせたかのように飛来するボール。慌ててバットを振ろうとするものの、握り締められていないバットがボールを捉える事は一度もなく空を切るばかり……


 「ゼルダさん、アウトーッ!!」

 「……認めんぞっ!!こ、こんな屈辱的な扱い……ハ、ハルカよ……せめてもうちっとばかり背丈を増す位は認めてくれぬかのぅ?」

 「ゼルダよ!……往生際が悪いぞ?妾と同じ一敗は一敗じゃ!」


 怒りながらも素直にバッターボックスから離れて観覧席に戻るゼルダを、生温かい眼差しで迎えるノジャ。



 「……まぁ、こんな連中と私がまともにやり合って勝負だって言うのは……どうかと思うけどねぇ……」


 すらりとした長身に、男性的なスーツスタイルのデフネが肩にバットを載せながらバッターボックスへと向かい、ハルカとは異なる右側へと立つ。


 右手に持ったバットを立てに構えながら、左手の平は右手首に添えて握り締めず、やや引き付けるように前方の投球口を睨み、


 (……先の三人、いやハルカの様子でだいたいの事は判ったけれど……)


 放たれた白球が飛来して彼女の前を通過し、バシンと鈍い音を上げながら後方のマットへと吸い込まれる。


 「……別に目で追えない速さでも…………ないのよねぇ?」


 ……ビシュン!と空を切りながら次のボールが彼女の顔の前を通過しようとした瞬間、あろうことか左手を離して真上から叩き付けるようにしてボールを掴み取り、


 「あら?これ結構固いんじゃん!よっく頭にぶつかって平気だなぁ……流石は妖怪……って事かしらね?」


 やや感心しながらグニグニと握りつつ、後ろにポイと投げ捨ててから改めて構え直し、


 「……ま、(クロスボウ)の矢よりは遅い訳だし……ってね!!」


 左手を添えた右腕を振り抜いた瞬間、キイィンッ!!と快音を立てながら白球が真っ直ぐ夜空へと飛び、ホームランプレートを僅かに逸れてネットへと吸い込まれた。


 「……つまらん、あ奴はそもそも妾と同じ【血族】であるぞ?しかも剣を振るいて幾百年も生き抜いてきた部類の剣客よ……」


 事も無げに告げるゼルダの言葉を背に、悠々と戻るデフネはどっかりと席に座り、お約束と言わんばかりの自然さで煙草入れから煙管と詰め草を取り出して、


 「…………ま、こんなもんよ?どーせだったらギルで真っ二つにした方が面白かったんだけど……ねぇ?」

 「私は普通に手で叩いて的に当てた方が面白かったと思うが?」

 「あっ!!その手があったか~?」


 煙管から煙を燻らせながら、ギルガメッシュの言葉に膝を打ち同意するデフネ。周囲のギャラリー(そりゃ集まってくるだろう)のどよめきを他所に、そんな話をしていた。



 「ハルカ様、私もこのレクリエーションに参加した方が宜しいですか?」

 「ビスちゃんはいいわよ……どうせ手に仕込んだカッターみたいな奴で真っ二つにするつもりなんでしょ?」

 「…………、そんなことはしません」

 「その沈黙が肯定の証でしょっ!!」


 残念そうに手首をグルグルと回しながら、それでも名残惜しそうにバッターボックスを見つめているビスケットの後ろ姿に、仕方なくハルカは声を掛ける。


 「……判ったわよ、やってみたいんでしょ?ビスちゃん……」

 「……べ、別に貴重な経験をみすみす逃す事を……いえ、気が変わらぬうちに早速弾道計算及び重力下影響試験を済ませて参ります」

 「ツンデレっぽく言おうとしたの?それと語尾が何となくキナ臭いんだけど……」


 ハルカの心配を他所に、少しだけ口許を綻ばせながらビスケットは胸元から硬貨を数枚取り出して投入口に差し込むと、一応バットを型通り握り締めながら、何故かマウンドとは反対側の膝を上げながら投球を待ち構え、それを眺めたハルカは無言で膝から崩れ落ちた。






書きながら思ったことは、「こんな連中と一緒にバッティングセンターに行きたくない!」でした。それでは次回もお楽しみに!

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― 新着の感想 ―
[良い点]  飲んだ後にみんなでバッティングセンター!!  いやー、良いシチュエーションですな。夜の歓楽街って感じがして好きですよ。  各キャラクターのフォームとか、よく分かってない感じとかも出てて、…
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