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悪食は最強のスキルです!  作者: 紅葉 紅葉
第四章 名もなき竜編
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第74話


「まず、周辺の地理を教えてほしいんだけど」


 ジェリダが目覚めてからしばらく後、飛竜(ワイバーン)がどこに潜んでいるのか調査をすべく、行動を開始した。


「この周辺はほとんど森になっていて、特徴のあるものとしては北北西にリンカ山という大きな山があります。標高もかなりあるので山頂付近には雪が残っていることが多いです。

もう一つは北東に崖があるんですが、かなり大きな崖があります。崖下は森なんですが、かなりの高さがある崖なので落ちたら命はありません」


「いるならリンカ山でしょうか?」


「私たちもそうですが、竜族はあまり寒冷地を好みません。体を覆うのは鱗ですから、寒さにはあまり強くないんです。なので、リンカ山の可能性は低いのではないかと思います」


「じゃあ、崖の方? いつも飛竜が飛んでくる方角は北東?」


「それは私も思っていたのですが、飛竜は一定の方角から来るのではなく、様々な方角から飛んでくるんです」


 飛竜が一定の方角から飛来しているのであれば場所も絞りやすかったのだが、そう一筋縄ではいかないらしい。


「飛竜を統率してるのがいるのか、住処が分かれているのか……」


 ジェリダはふと統率者という点に脳裏をよぎるものがあった。


(まさかあの変な奴らがまた関わってるとか? そうだとしたらまた面倒な……)


 ジェリダはしばし黙り込む。もし、アオイをさらったドロテオやワ国での少年の仲間が動いているのであれば、戦闘は免れない。たった二人で対処できるかどうか、ジェリダは思案した。


「ジェリダ様?」


「…ごめん、なんでもない。私はとりあえずリンカ山から探そうかと思う」


「え? ですが竜種は寒さに弱いと……」


「だからこそよ。飛竜のこの異常な行動や統率の取れたような動き。もしも背後に操っている人物がいるとしたら、こっちの考えの裏を突いている可能性がある。探しものをするならまさかと思うところを探すべきでしょ?」


「なるほど…」


「リンカ山へ行くならお供します。あそこの地理には詳しいので」


「それは助かる。行くならどれぐらいかかる?」


「歩くなら1日は見たほうがいいですね」


「ならここはフルルで行きましょ」


◇◇◇


 村に到着してからフルルは、村の一角に場所を借りて待機してもらっている。餌はルベルが担当していた。


 フルルに跨りリンカ山へ向う三人。先頭には道案内を買って出てくれたサウファを。ジェリダとルベルはいつ何が襲ってきてもいいよう警戒しながら、フルルを走らせる。


 リンカ山に近づくにつれて徐々に気温が下がっていく。リンカ山の麓に到着した時には、やや肌寒さを感じるほどだった。


「サウファ、寒くない?」


「はい、大丈夫です。中に服を着込みましたし、上に羽織るものも持ってきました」


 サウファの防寒対策はできているようだ。ジェリダとルベルも今のうちから上にローブを羽織る。


「じゃ、探していこうか」


 まずはサウファが知っているという洞穴などを探していくことにした。洞穴は様々な生き物が住処にしているらしく、痕跡が残されていた。だが、肝心の飛竜(ワイバーン)はいない。


 少しずつ山を登りながらルベルがあることに気がついた。


「なんか、この辺の植物、元気がありません。それに今まで登ってきた道に同じ植物がありましたが高さがないというか、小さいというか……」


「土の栄養の関係じゃないでしょうか」


「いえ、土の栄養はさほど変わっていないように思います」


 ルベルには固有スキルがある。ルベルの目は植物の状態が大きく変わって映っているのだろう。ジェリダとサウファにはわからない変化をルベルは感じ取っている。


「あ! あそこに大きな足跡があります!」


 と、辺りを見回していたルベルが声を上げた。ジェリダとサウファはそちらを見る。確かにそこには足跡が山の奥に向かってついていた。


「この足跡はこの前セリオを助けた時見た飛竜と同じものね」


 前に四本後ろに一本の鳥のような足跡。大きさはジェリダの足が四つ分ほど入り、大きな爪がついている。


「この奥、ね……」


 ジェリダはいよいよ怪しいと感じていた。ルベルが植物の状態に気が付いて、足跡を見つけ、その足跡は誘うように山奥へと向かっている。偶然には思えない。


 それはルベルもサウファも感じているようで、難しい顔をしている。


「流石にこれはあからさまですね。サウファさん、この奥には何がありますか?」


「…………この奥には、黒竜が封じられていると聞いたことがあります」


「もしかして、その竜は魔王と関係がある?」


「どうして、それを……」


 ジェリダの質問にサウファは動揺を見せた。やはり、と思う他なかった。


「これは厄介な件になりそうね。ルベル、本等は応援でも呼びたい所だけどそんな時間はない。これから遭遇する奴らは油断できない相手だから、気を抜かないで。

 それからサウファ、あなたは村に帰って。このままついてくれば怪我をする」


「いいえ、ついていきます。足手まといには決してなりません。いざとなれば魔法を使って援護もできます。だからどうか…!」


 ジェリダとルベルは顔を見合わせる。サウファからは何か隠していることがあるのは感じてはいたが、何か決心しているような感じもあった。


 ただ、ここで駄目だと言ってもサウファは聞かない気がして、ジェリダはふぅと息をついた。


「分かった。でも、本当に危ないと思ったら逃げてね」


「はい!」


 サウファはパッと表情を明るくした。


 だが、サウファがついてくることは本当にいい事なのだろうか。その不安はジェリダの心の中に引っかかりを残した。



 そして、ジェリダ達も気が付かない場所でイアンは笑っていた。


次は10月29日21時更新です。

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