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悪食は最強のスキルです!  作者: 紅葉 紅葉
第四章 名もなき竜編
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第69話


 その日、ジェリダたちは朝からギルドから使いの者が来て呼び出されていた。


 そして、いきなりギルド長室に呼び出されたかと思えば昨日ジェリダにぶつかってきた少女がラドックと共に座っているではないか。面食らいつつも話しを聞いていれば、その少女を預かれという。


「いきなり過ぎて話についていけないんですが。その子の村を救えとは?」


 流石のルベルもあまりの情報量の少なさに戸惑っている。ああそうかと、ラドックはつぶやくと色々と省いていた部分を説明しだした。


「すまない、色々と省いて話してしまったな。この子の名前はサウファ・シャノン。カラム国とアルカ国との国境にある村からきたらしい」


 らしいとラドックが言うということはラドックもその村を知らなかったのだろう。もしかしたら地図にも乗っていないのかもしれないとジェリダは考える。


 サウファはラドックの説明を引き継ぐように、この場で初めて口を開いた。


「私の村は少し特殊なんです。お二人は私を昨日助けてくれたのでおわかりかと思いますが、私は人以外の血が流れています。しかし、それは亜人と呼ばれる人々と違って獣に近い血ではなく、竜種の血を引いているのです」


 そう言ってジェリダたちをはっきりと見据えるサウファの瞳は金と赤が絶妙に合わさった爬虫類のような独特の色味と瞳の形をしていた。そして、よくよく見ると肌には鱗のようなものも部分適に見えていた。


「この赤い髪は先祖の血を濃く受け継いでいるからか、こんなにも赤いのだと教えられました。村には私のような者が多くいます。私以上に先祖返りをしている者は見た目は爬虫類のそれに近いです。そんな者たちが昔から身を寄せあい、作られたのが今の村ですが、最近私たちの村を飛竜(ワイバーン)が襲ってくるようになったのです。それによって、村の者たちの何人かが死亡し、怪我人もでています」


 飛竜(ワイバーン)とは竜種の中でも小柄ということで知られている。灰色や赤褐色の肌に薄く大きな翼を持っている。しかし、小柄といっても他の竜と比べてというだけであり、人の大きさからすれば大きな馬車4台分は高さや体長があるのだ。人など一口で平らげられてしまう。


「ギルド長、なぜこの案件を私たちだけに依頼するんですか? 飛竜(ワイバーン)という大型種の相手なら他の冒険者も含めて対処するべきでは?」


「本来ならそうしたいところだが、この子の村が特殊ということはわかっただろ? そして、その村はどこの地図にも名前が載っていない。つまりは隠れ里ということだ」


「ああ、なるほど。荒くれ者が多いただの冒険者では己の利益のために村を()()()に売る可能性があるということですね」


「情けない話だが、つまりはそういうことだ」


 恐らく、サウファを昨日追っていたのは奴隷商の者たちだろう。サウファはあの男たちに絡まれたとき、肌か角を見せてしまったのだろう。

 

「まあ、事情は大体分かりました。でも、Aランク以上の冒険者は私以外にもいるでしょう。あのおっさんとか」


「ブレイブの事か? 彼は今別件で遠くの方に行っている。ジェニオもまた王都に呼ばれていて不在だ」


(ッチ)


 内心でジェリダは舌打ちする。なぜこういう肝心なときにあの男はいないのかと。


「私は君たちにこの子の村の位置などを無闇に広めたり、悪用しないだろうと信用している。どうだ、この話を受けてくれないか」


「お願いします。報酬は私達の村でかき集めた銀貨70枚です。どうか、どうか助けてください!」


 サウファは深々と頭を下げた。ジェリダは正直、金額はどうでも良かった。それよりも、翼のある魔物を喰らえばどのような変化が起こるのか、その興味の方が勝っていた。ジェリダは頷く。


「分かりました。その話受けます」


「本当ですか!? あぁ、ありがとうございます!」


「ジェリダ様、あの……」


 ルベルが何か言いたそうに口を開く。その内容を察したジェリダは先に伝える。


「大丈夫、今回はちゃんとルベルを連れて行くから」


「――! よ、よかった………」


 ルベルは毎回ジェリダが大変なときに置いていかれるのを気にしていた。飛竜(ワイバーン)退治はジェリダには容易くとも、ルベルは足手まといになるかもしれない。また置いていかれるのではとルベルは内心ヒヤヒヤしていたのだった。


「出発は早いほうがいいでしょ。明日の朝、出発しよう。ギルド長、この子は私の家で預かればいい?」


「ああ、そうしてくれ。ここでは完全にこの子の身を守れる保証がないからな。その点、君の所には精鋭が沢山いるだろ」


 ラドックの言う精鋭とはホワイトウルフやトロイの事だろう。


「ええ、あの子達がいる限り、うちには容易く入れませんから。じゃあ、行こうか、サウファ」


「はい!」


 サウファは元気よく立ち上がり、ラドックとジェリダに再度礼を言ってジェリダたちと共にギルド長室から出た。



次は3月24日21時更新です。

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