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悪食は最強のスキルです!  作者: 紅葉 紅葉
第三章 ダンジョン編
55/88

第55話


 ジェリダは本来の目的を誤魔化すために多少の薬草を摘んでから戻った。


「あ、ジェリダ様! 丁度いい所に!」


 帰ってみるとルベルは一通の手紙を持っていた。ジェリダは首を傾げる。


「どうしたの、その手紙」


「冒険者ギルドの方からジェリダ様宛てに来たみたいです」


 受け取ってみると確かに冒険者ギルドの紋が封蝋されていた。中身をジェリダはその場で確認する。その手紙はラドックが差し出したものだった。


『Aランク昇格を果たした君に新たな依頼がある。以前、君の昇格にあたり調査してもらったダンジョンの再調査が決まった。そこで、今回も君に同行を願いたい。これは以前のようなテストではなく、純粋に君の実力を評価しての依頼だ。

 報酬は金貨十枚。調査隊はアイザックが再び率いる予定だ。出発は一週間後。この依頼を受けるならば冒険者ギルドにて正式に受諾してくれ」


 内容はこのようなものだった。ルベルは大人しくジェリダが読み終わるのを待って問いかける。


「どんな内容でした?」


「冒険者ギルド長直々の依頼。一週間後にまたあのダンジョンの探索が行われるんだって」


「え!? また調査に呼ばれたんですか!? でも一週間後だったらポーションの件は大丈夫なんじゃ……」


「うーん、またポーションの件を進めようとしてる時にこんな依頼が来たから、ちょっと悩んでる。素材集めはいいとしても、生産が追いつくか……」


 ジェリダとしてはポーションを作り、利益を得られればと考えていたのだが、再びダンジョンでの調査に同行して欲しいとなると経験を積むにはいい機会だ。ジェリダはどちらを優先させるべきか考える。


「ジェリダ様、そんなに深く考えないでもいいじゃないですか。俺は今回の調査に呼ばれてないみたいですし、レントさんとピオさんの手伝いを俺がします! 素材集めもしておきますから! なので、ジェリダ様は心置きなくダンジョンの調査に同行してください」


 ルベルは何やら張り切った様子でそう言った。いつもなら置いて行かれる事を嘆いていたのだが、どうした事だろうか。


「ルベル、何かあった?」


「いえ? ただ、俺がまだまだ力不足なのは理解しています。だから、俺はジェリダ様が留守の間に少しでも強くなれるように頑張らなくてはと思いまして。なので、ダンジョン調査から帰って来たら少しでも成長した所をジェリダ様にお見せしたいと思いまして!」


 ジェリダの実力に比べるとルベルはかなり劣っているように見えるが、同じランクの者達の中では実力、技術はかなり突出している方だ。ただ、周りにいる者達がすごすぎて、己の力を正確に評価できていないのだ。


 ルベルのキラキラした瞳に少しジェリダは圧されてしまう。ここはルベルが成長した場を披露するためにも、ジェリダはダンジョンの調査に向かった方がいいようだ。


「……じゃあ、私はこの依頼を正式に受けて来るからルベルはその間の事、よろしくね」


「はい!」


 ルベルは元気に返事をし、やる気に満ちていた。




 そして、ジェリダが正式にダンジョン調査の依頼を受諾した次の日。ポーションを実演する日がついにやって来た。元々早起きするのが得意な二人はさっさと準備と朝食を済ませて北区に向かう。


 先に着いたのはやはりジェリダとルベルだったが、すぐにレントとピオと合流した。レントはまだ眠いのか、目を擦って欠伸をしている。だが、しっかりと荷台にはポーションを積んで来ていた。


「おはよう……。お前ら何でこんな朝早いのに元気に動けるんだよ…ふぁあ……」


「遅刻しなかっただけ偉いと思うけど、シャキッとしてよ。これからお客さんを呼び込んで、ポーションの流れを変えなきゃいけないんだから」


「へいへい、分かってますよ。で、今日はホントに無料でポーションを使うのか?」


「ある程度はそうやって効果を実証しなきゃ信頼してもらえないでしょ。ただでさえ、錬金術ギルドは避けられているのに」


 確執は深い。だが、それを今回、払拭する事が出来れば様々な流れが変わるだろう。それをこの四日間で成し遂げなくてはならない。


 まずは店を構える場所に荷台を置き、荷台を小さな店舗に変化させる。少し周りを飾り付け、看板を出せば完成だ。


 周囲にはちらちらと人が増え始めて来ていた。近くに店を構える商人も多くなり、新参者のジェリダ達を無遠慮に見てくる。そして、こう噂するのだ。


「嫌われ者の錬金術師が何をしだすのやら」


「何か良からぬことをしなければいいがな」


 商人同士でひそひそと嫌味や陰口を言い合う。だが、こんな事でめげてはいられない。四人は堂々とポーションを並べ、設営をしていく。


 午前七時頃になれば冒険者達の数が増えてきた。ここからが本番だ。


「よし、それじゃ始めようか。これが成功すれば大きな流れができるはず。これに錬金術ギルドの二人の生活も懸かってるんだから、死でやりなよ」


「分かってる。俺だって勘当が掛かってるんだ。必死にもなるさ」


「僕は商売敵が邪魔をしに来ないか、それぞれの顔をしっかり記憶しておくよ」


「なら、雑用は俺がしますね。販売は任せてください」


 それぞれの役割を決め、この日ついに計画は始動したのだ。この計画は徐々に波紋を広げる事になる。


次は7月21日21時に更新です。

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