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悪食は最強のスキルです!  作者: 紅葉 紅葉
第三章 ダンジョン編
53/88

第53話

 大変お待たせしました! ダンジョン編はもう少し続きます!


 噂は広がるのが早いもので、ジェリダがAランクとなったその日の夕方には冒険者の大半がジェリダのAランク昇格の話しを耳にしていた。そして、昇格から一日たった今日、まだ噂は広まっている。


 ジェリダが冒険者になった時から散々いろんな事を噂されていたお陰で、ホロルの町の冒険者でジェリダの顔を知らない者はいない。そのため、町をジェリダが歩けばあれが最年少でAランク冒険者になったジェリダか、と噂をされる。


「噂、かなり広まったみたいですね」


「かなり大きな尾ひれも付いたみたいだけど」


 そう、ジェリダの噂の中には実際には倒していないような魔物の話しや、大金を使ってどれを沢山買っている等々、根も葉もないものも多い。が、今更そんな噂を気にする質でもない二人だった。


 二人は今、錬金術ギルドへと向かっていた。二人は冒険者ギルドの後に昨日も訪れていたが、どうやらポーション作りがかなり進んだらしく、疲れ果てて寝ていた。ジェリダがレントを起こしたが、また明日にしてくれと夢現で言われたのだ。そんな経緯もあってまた錬金術ギルドを訪れているのだ。


「レントーいるー?」


 ジェリダはドアを開けて早々大きな声でレントを読んでみるが、反応がない。まだ寝ているのかと、ジェリダは昨日レントが寝ていた部屋へ向かう。


「ジェリダ様、もう少し躊躇いましょうよ……。一応レントさんの家兼仕事場なんですから」


「今日会いに来いって言ってたのはレントなんだからいいの」


 ジェリダはルベルの言い分をさらりと躱し、昨日レントが寝ていた部屋のドアを開けた。


「ぐぅー、ぐぅー」


 レントは適当に敷かれた布の上で大の字になって寝ている。その隣ではレントの友人だと言っていた青年が寝ている。名前をピオというらしい。藍色に近い珍しいピオの髪は癖毛の影響でくるんくるんと跳ねている。


「レント! 起きて! ポーションの件で来たんだけど!!」


「んーーー!」


 ジェリダは大きな声で呼ぶが、レントは起こされたくないとでも言うようにごろりと転がり、敷布を掴んで耳を塞ぐ。だが、一方のピオの方はジェリダの声で目を覚ます。ジェリダが開け放ったドアから見える光が眩しいのか、目を思いっきり細めている。


「あ、ピオさんおはようございます。昨日お会いしましたけど、覚えてますか?」


 ルベルがピオに声を掛ける。ピオは無言でこくりと頷く。そして、目を何度か瞬くと目が覚めて来たのか、横のレントの体を揺する。


「レント、お客さん。昨日来てた人たちが来てるよ」


「待って…あと十分、いや三十分……」


「いいから起きてってば」


 ピオが体を麺類でもこねるように揺らすが、レントは中々起きない。ジェリダはため息を吐く。


「すみません。いつもこいつ寝起きが悪いんです」


「気にしないで。こいつがいなくてもポーションの話しはあなたとでも出来るんだし」


「ああ、ポーションなら目標分の二千個を大きく超えて一万個出来てますよ」


「え!? 一万個も!」


 流石にジェリダもその数字には驚いた。たった二人で作ったにしても一万個も作れるとは思っていなかったのだ。だが、これだけあれば一気に客が来ても持ちこたえれるだろう。


「素材がバンバン入って来るんですもん。レントなんか調子こいて三徹してポーション作ってたんですよ。それだけこいつも必死だったんでしょうけど」


「おい、余計な事喋るなよ…」


 先ほどまで頑なに起きようとしなかったレントが、ムスッとした表情でピオの腕を掴んでいた。のそのそと体を起こし、その場に胡坐をかく。


「おはようレント。あの話してなかったの?」


「いいから黙ってろ。ポーションなら出来てるし、荷台も用意してある。売りに行くならいつでも行けるぞ」


 ピオはひそひそとレントに話すが、レントは眉をひそめてピオの口を塞いだ。それから話しを逸らしたレントだが、ジェリダの耳にはしっかりと聴こえている。


「あの話って何?」


「お前には関係ない」


「そうはいかないでしょ。話さないならポーション全部叩き割るから」


「おまっ! あれを作るのにどれだけ――ああもう! 分かったよ。だが、本当にお前は関係ない! いや、ちょっとは関係あるのか…? まあいい。俺はな、錬金術ギルドの創設者の子孫で、古くからあるラーウェンっていう錬金術の名家みたいなもんなんだよ!」


「名家みたいなもんじゃなくて、名家でしょ、実際」


「お前も名家出身だろ!」


「レントの家には遠く及ばないよ」


 レントは半ばやけ気味に話す。そんなレントを茶化すようにピオが言葉を補足する。だが、そんなピオも名家出身なのだという。


「で、そのラーウェン家のしきたりで、俺は次期当主だから十三の時に修行だ! って親父に言われて家を追い出さたんだよ。で、十八になるまでに何か大きな功績を残さないと勘当だって言われてるんだ。だから、俺はお前の提案してきたこの話に乗ったんだよ!」


「あっそ。別にそんな事情があったからって私はレントとこの計画をなかったことにはしないけど?」


「え……」


「何を意地になってるか知らないけど、別にいいじゃない。そんな事。これが成功すればあなたのお父さんにも認めてもらえるかもしれないんだから」


 レントはジェリダに自分の裏事情を話せばこの計画をなかった事にされるのではないかと恐れて口にしていなかったのだが、ジェリダのあっさりとした反応に呆気に取られている。そんなレントを見てピオは堪えきれずに吹き出してしまう。


「っはは! レントのその顔、最高! はははっ!」


「お、お前! 笑うな!」


 笑っているピオを黙らせようと、顔を赤くしたレントは手を伸ばすが、ひらりとピオは躱す。


「心配し過ぎなんだよ、レントは。あーあ、はしゃいだらお腹空いて来たし、ご飯でも食べながらこれからの計画でも話し合おうよ」


 ピオは立ち上がり、奥にある小さな台所に朝食を作るために向かった。残されてしまったレントは何やら気まずそうな表情をしていたが、だーー! といきなり叫んで再び敷布に包まってしまった。


「なに照れてるんだか」


「ま、レントさんも色々複雑だったんじゃないですか?」


 ジェリダは小さな子供かと言ってピオの料理を手伝いに向かった。ルベルもその後について行く。


 しばらくして簡単なスープとサンドイッチが出来上がった。さっきまで布に包まっていたレントは素知らぬ顔で、出された朝食を口にする。そして、さっきの名家出身などの話しには触れず、ポーションの話しをレントは切り出した。


「もうポーションは出来てるし、あとはいつ売るか、どう売るかを決めればいいんだろ」


「あと場所ですね。ジェリダ様はどこか場所は決めているんですか?」


「最初は北区の方で売ってみようかなって思ってる。あそこなら冒険者も多いから。場所は北区の入り口前でどう?」


「あの場所は誰でも店を開いてもいいから、ポーションの店を開くのは問題ないだろ」


 北区は鍛冶職人などが多い関係上、冒険者もよく訪れる。まずはそこからスタートし、東区、南区、西区と時計回りにポーションのデモンストレーションを行う。


「北区でポーションの紹介をするのは二日後。その期間に二人は休息を取って置くこと。準備と場所取りも兼ねて集合は朝の五時。遅刻しようものならその場で燃やすから」


ジェリダはレントの方を見てニコりと笑う。


「ちゃ、ちゃんと睡眠を取れば寝起きはまだいいんだよ! き、今日は偶々徹夜明けだったから……」


 ジェリダの気迫にしどろもどろになるレント。隣ではピオが必死に笑うのを堪えて、肩が震えている。


「じゃ、二日後。計画開始ね」



 もう少し更新が遅くなります。

 次は7月12日21時です。


直前で申し訳ないです! 今立て込んでいますので、7月13日21時に更新します。度々、このような事が続き申し訳ないです。


すみません、まだ忙しい最中で更新できません。あと数日忙しくなりますので、次の更新日を7月17日21時へ変更します!

だいぶお待たせすることになり、申し訳ありませんが、もうしばらくお待ち下さい。

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