第24話
ジェリダは北区を歩きながら、自身のパラメーターを確認し、今日の自分の目的を定める。
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名前 ジェリダ
職業 魔法使い・魔物使い(イビルテイマー)
種族 人間
年齢 13歳
称号 なし
LV 32
HP 804
MP 848
筋力 254
知力 153
体力 165
魔力 740
運 50
《パッシブスキル》
回避 LV 1
威圧 LV 2
剛腕 LV 2
手加減 LV 1
足音遮断 LV 1
索敵 LV 3
夜目 LV 2
聴覚強化 LV 3
無詠唱 LV 3
自己回復 LV 2
使役語 LV 1 new
《アクティブスキル》
鑑定 LV 9
魔法基礎 LV 10
回復魔法 LV 9
死霊魔法 LV 8
付与魔法 LV 9
格闘術 LV 1
拳術 LV 2
護身術 LV 1
体術 LV 1
柔術 LV 1
投擲 LV 1
暗殺術 LV 1
短剣術 LV 2
回復詠唱 LV 1
神聖魔法 LV 1
白魔法 LV 1
黒魔法 LV 1
調教 LV 1
支配 LV 1
洗脳 LV 1
魔術基礎 LV 1
魔力感知 LV 1
隠蔽 LV 1
解析 LV 1
《固有スキル》
悪食 LV 10
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ジェリダはようやくレベルが30になったため、新たな職業を選んでいた。次に選んだのは魔物使い(イビルテイマー)。これは魔物を言葉を使って使役する事のできるスキルだ。本来は虫使い(バグテイマー)か獣使い(ビーストテイマー)になり、調教スキルを得てからなれるのだが、ジェリダはドロテオの腕を喰らう事で調教スキルを得ていた。そのため、石板に魔物使い(ビーストテイマー)が表示されたのだ。
冒険者ギルドのリリィはジェリダがスキルを購入したのだと勘違いし、特に深く聞いて来ることはなかった。ジェリダは冒険者になりたてと言っても、ボア亜種を倒し、発見した事で得た大金がある。その金で買ったとリリィが考えてもおかしくはない。
ジェリダは二つ目の職業にはこの魔物使い(ビーストテイマー)を選ぶと決めていた。それは魔物を使役し、やってみたい事があったからだ。
北区をそのまま突き抜け、北区にある門を抜ける。北門を抜けると、そこはフィルム大国からカラル国の領地となる。そこで三人は新たに受けたクエストに挑もうとしていた。
カラル国は養蚕が有名で、経済を回しているのは養蚕業といっても過言ではない。カラル国は年中を通して気温の変化があまりない。その為、養蚕に向いた気候なのだ。カラル国で作られる布はなめらかで、他にはない光沢があると、多くの国で重宝されている。
そんなカラル国で何のクエストを受けたかというと、カラル国にいるポイズンラーヴァの討伐クエストを受けていた。ポイズンラーヴァはネトルという木の葉を好む、体長一メートルほどの大きな芋虫だ。ポイズンラーヴァが好むそのネトルの葉は、養蚕にも用いるため、ネトルの木が豊かなカラル国にポイズンラーヴァは多く生息している。
ポイズンラーヴァはその体にある小さな突起物がポーションの素材として需要がある。その突起の中には毒のある小さな棘が隠されていて、近づいてきた敵にその毒針を刺せば、たちまち相手は痺れて動けなくなる。そこをポイズンラーヴァの大きな顎で攻撃し、餌とするのだ。
危険ではあるが冒険者ギルドに毎日クエストが張られるほど、錬金術ギルドから依頼が来ている。だが、ホロルではあまり錬金術ギルドの事は好ましく思われていない。いや、錬金術ギルドはどこの町でもあまり好かれない傾向にある。
理由は簡単だ。三大ギルドである冒険者ギルド、錬金術ギルドは協力体制を取っているにも拘らず、錬金術ギルドは技術、知識の秘匿を一番としている。冒険者達がいる事で恩恵を受けている市民からすれば、錬金術ギルドは和を乱している邪魔者のように思えるのだ。
以前、ジェリダがホロルに唯一ある錬金術ギルドで出会った、だらしのない青年はたった数個の魔石に食いつくほど金に困っているようだった。それは、冒険者ギルドに依頼を出しても中々こなしてきてくれる冒険者がいない事もあるのだろう。
そんな錬金術ギルドの依頼を受けたのは三人のレベルでもこなせるという点と、ジェリダの目的があって受ける事にした。
「じゃあ各自、ポイズンラーヴァを見つけ次第、討伐、素材回収で。くれぐれも毒針には気を付けるように。私はここで魔物使い(ビーストテイマー)の力を使って色々実験してるから」
「分かりました」
「ジェリダも気を付けて」
「ありがとう」
ルベルとアオイはポイズンラーヴァの討伐を。ジェリダは今日の目的、最低五体は魔物を使役するため、それぞれ、ポイズンラーヴァがいる森の手前で解散した。今の場所に三時間後集合とした。
ジェリダは森から少し離れ、森から東へと歩く。何故そちらに行くのかというと、クエストを受ける際に、リリィからある場所の事を聞いていたからだった。
カラル国はかつての大戦で甚大な被害を受けた事がある。その爪痕は今でも残っており、北門を抜けて東に少し進めばすぐに廃村を見つける事ができる。そこは大戦の折、敗走した兵たちによって略奪を受けた村なのだ。
ジェリダの村もあの術者によって村人を殺されていなくても、同じ道を辿っていただろう。その廃村には最近、ゴブリンが住み着くようになったらしかった。ゴブリンはあまり気候に左右されない。森や廃屋があれば勝手に住み着く。そんなゴブリンにとって大戦の負の遺産である廃村は、格好の住処となる。
ジェリダは廃村が見えると、立ち止まって木の陰に隠れる。そこから様子を窺ってみる。
(ゴブリンの数は二十ぐらい…かな。)
ジェリダは索敵を使ってゴブリンのおおよその数を感知する。まだレベルが高いわけではないため、正確性には欠けるのだ。だが、ジェリダが思っていたよりも数は少なかった。
しばらくそこでゴブリンがどの様な動きをしているのか観察していると、中々人間のような動きをしている事が分かった。
ゴブリンはよく集団で行動する魔物だと言われているが、その中でも人間のように社会が構成されているようだった。ゴブリン同士で何やら話しているような声を出したり、それぞれの武器を使って鍛錬らしき行動をしている者もいた。
「ゴブリンって意外と人間に近かったりして」
そんな事を思っていると、一匹のゴブリンが先ほどジェリダが来た方向へと歩いて行く。ジェリダの事には一切気が付かづ、テクテクと歩いて行く。そのゴブリンに狙いを定め、ジェリダは気付かれないように足音を消してついて行く。
そのゴブリンについて行くと、ゴブリンは喉が渇いていたのか、小さな池に向かい、水を飲みだした。その隙を狙い、ジェリダは言葉を発した。
「【従え】」
その言葉は魔術使い(ビーストテイマー)だけが使う事のできる、使役語。それの使役語を使う事で魔物に言葉が届くのだ。ピクリとその声に反応したゴブリンの目は、どこか虚ろだった。
「【従え】」
更に言葉を重ねる。ゴブリンはこくりと頷いた。すると、ゴブリンの首に赤い線が入った。
「よし、上手くいった!」
その首に付いた赤い線は使役される魔物となった証だった。その赤い線が首に記されると、ゴブリンの目は再び光を取り戻した。
「ギィギィ」
「うん、この調子でどんどんいこう」
ジェリダは初めて使役に加えたゴブリンに微笑んだ。
次は4月29日21時に更新です。




