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問おう。貴方は猫派か?犬派か?

 その猫は甘い言葉を囁いた。


「ねえ、僕と一緒に世界を救う英雄にならないかい?」


 ニタリと嗤うその姿はまるで悪魔の様だった。

 少なくとも天使には見えない。

 死に瀕した矮小な人間に、救いの手を差し出すのは何時だって天使ではなく悪魔だ。

 だとすれば、この猫はやはり悪魔なのかもしれない。



「このまま死ぬのが君の望みかい? 無為に死ぬのが望みかい? 何も残せず、何も出来ず、ただここで朽ちていくのが君の本望だっていうのかい?」



 黙っている私に痺れを切らせたのか、猫は煽るように歌う。

 ギリッと自分の奥歯が鳴る音がした。



「……わけ……ない」



 猫の瞳を睨みつける。

 金色に妖しく輝く瞳の中に浮かぶ瞳孔が細められた。

 この猫は悪魔だ。

 だけど……。



「こんなところで……終われないっ……! だから……!」



 少女は吠える。

 それは生への執着。悪魔の手を取ってでも生き延びてやると言う決意の現れ。



「英雄にでもなんでもなってやろうじゃない……っ!!」



 そして猫はその少女の猛る感情を一身に受けて、最初と同じようにニタリと嗤った。



「それじゃあ契約成立だ」



 こうして少女は悪魔の様な猫と契約して英雄となる道を歩む。




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