第二夜・プリン
第二回である。
今回挑んだのは『ぼくのおやつ』に出てきた『レンジでプリン』である。使うのは卵と牛乳と砂糖と水のみ。レンチンでプリンが出来るという、夢のようなレシピである。
結論から言おう。わりと失敗した。
まずカラメルから難ありだった。最初おためしのつもりで厚手のマグカップ(ここらへんがもう……)に砂糖と水を入れ、レンジで一分ほどチン。分量外の水を入れるとハネるらしいのだが、まったくハネない。うちで使っているてんさい糖を使ったので、色はまあそれらしくなったのだが……。
で、気を良くして小さなカップと湯のみ(計五個)を用意し、今度は製菓用に買いたしたグラニュー糖で挑戦。うわ! 色がまったく変わらん! これじゃ単なるあったかい砂糖水だ!
しばし悩んだ後、改めててんさい糖で作りなおす。今度は卵と牛乳と砂糖でプリン液を……ってけっこう量いるな! 作り足さなきゃ! ああもう合計で卵四個も使っちまったよ!
みたいなことを繰り広げた後、全部の容器を満たすのは断念。カラメル(という名の砂糖水)の入ったカップ一個を洗いにまわす。で、カップをレンジに入れてあっためたのだが、一向に良い感じにならない。いつまでも液状……。
『どうやらうちのレンジはぼくさん家のレンジより、あっためる力が弱いらしい……』
ということに、ここらへんでようやく気づく。とちゅうからなかばヤケになって三十秒ずつチンチンチンチン言わしてるうちに、ようやく固まってきてくれた。
というか、なんかぶわぶわになって『す』が入ったみたいになってる……一抹の不安を覚えながら、カップにラップをしてタオルでぐるぐる巻きにする。そのまま十五分放置して、タオル巻きから救出した後、冷蔵庫へ。
……固まらない。一向に固まらないのだ、下の部分が! 上のほうはかろうじて固まっているのだが、カップをかたむけるたびにぶわぶわと上の部分がフローティング。下から卵液があふれてくる。
しょうがないので一番危うげだった厚手のマグを取りだして、もう一度加熱&タオル巻き。15分経って取り出しても変化がないので、スープ皿にあけてみる。とたんにだだだっともれ出しあふれ出す卵液たち。
あーもう、これは家族には食わせられん……しょうがない、自分で処理するか。
ぱく。
うーん、これは……そこそこうまいが、なんか甘い卵焼きか茶碗蒸し食ってるみたいだな……。と思うわたしの頭に浮かんだ、この食べ物の料理名。
『ほっこり甘い茶碗蒸しのなめらか卵スープ仕立て~ほんのり香るカラメルソース~』
うん、こういうとなんかフレンチみたい! 素晴らしい! とか萎える気持ちを盛りたてながら完食する。うまいはうまいのだが、やっぱりプリン作ったつもりでプリンでないものを作ってしまうとなんとも悲しい。
ちなみに他三つ(湯のみに入れたやつ。形状が悪かったらしい)も『ほっこり甘い茶碗蒸し(以下略)』になり果てていて、それもげんなりしながら処理した。
あと二つはいちおう固まったっぽいのだが、果たして誰か口に入れてくれるだろうか……。
とか思っていたら、みんな「うまい!」と食べてくれた。カラメル部分は固まってなくて底が水っぽかったのだが、それでも二個ともみんなで回し食いして完食した。
わたしも一口分だけ食べたのだが(←失敗作でお腹いっぱい)、これはちゃんとプリンの味で美味しかった。
思うに、失敗の原因は入れものの形状と厚さにあるらしい。なので、次からは数を増やさず、今回成功したカップふたつ(薄手の円柱形のコーヒーカップ)で作れば良いのではないか。
そんな結論が出たところで、今回の挑戦は終わりを告げた。
さて、次回は何を作ろうか?(←すぐその気になるやつ)