プロローグ:二人の少女
幽霊でも出そうな薄暗い路地裏
一人のフードをかぶった少女が怪しげな男と対峙していた。
少女は片手に拳銃を構え、男は媚びへつらうような汚い笑みをうかべながら命乞いをしている。
「お、落ちついてくれ。な、な?」
少女は侮蔑の色を綺麗な青色の瞳に宿していた。
「Helix to your arms , and your legs」
彼女がそう唱えると男の両手両足が螺旋状にねじれ始め、バキバキと腕や脚が悲鳴をあげだした。
「やめてくれ、やめてくれ、俺はなにもしてない、なにもしてないんだ。なんで俺なんだよ痛い、痛い、いたい、イタイ、イタイ、ヒッ」
少女の目にはもはや感情すらない
しばらくすると男は白目をむいてよだれを垂らしながら絶命した。
「Hide」
少女が唱えると遺体は消えた。すると少女は懐から無線機を取り出して喋り始めた。
「こっちは終わった」
「りょーかい。お疲れさま。こっちもおわったよ」
「了解、そっちもお疲れさま」
少女は無線機を懐にしまった。
ところ変わってとある川のほとり、二人の少女が仲良く話をしながら昼食をとっていた。しかしは話していることの内容は一般的な少女のそれとは異なるものだった。
「ここらへんに最近殺人鬼が出るらしくて、そいつを退治してほしいって依頼を街の掲示板で見たんだけど受ける?」
一人の少女―フードのついている服を着ている方は相方を綺麗な青い目で見つめて言った
「バンフィはやりたいんでしょ。顔がそう言ってる。それに私はやりたいよ…」
フードの顔に影がさした
バンフィは暗くなった空気をたてなおそうとした
「そんな顔しないの、あんたは可愛いんだから。」
ハッハッハと快活に笑いながらバンフィは励ますようにフードの背中を叩いて言った
「さあ、行こうか」
少しだが、フードの顔から影は消えた。
「うん」
二人は川を離れ街へと消えて行った。