我慢のゆるみ
ルシアの胸に私の背中が当たり、後ろから包まれるような体勢だ。
え?え?
私が抱きつくことはあっても、ルシアがしてくれるなんて初めてだし、なんか思った以上に体格差ついてるし!
お腹の上に組んでいた手の上に、ルシアの両手が重なった。
左の肩にルシアの顎が乗っかってる。
み、身動き取れない。
「いっぱい魔力渡すなら、いっぱいくっついてた方がいいでしょ 昔はよくやってた」
「そ、そうですね 昔はねっ で、でも、ルシアが嫌がるからやめたのにっ」
自分の声が震えてるのが分かる。
戸惑いが大きすぎる。
「嫌だっていうか、我慢がきついっていうか、、まあ学園内では、きちんと従者として接しますので、今だけ許してもらえませんか、お嬢様?」
そんな言い方はずるいだろう、許すも何も私は一度も嫌だと言ったことはないのに。
「じゃ、じゃあ魔力貰いますネ」
さっきもしたやり取りなのに、心臓の音がうるさい。
重なったルシアの手のひらから流れてる魔力を感じ取り、そのまま自分の手の甲の方へ流していく。
あったかい。肩の力が抜け、手足が弛緩していくのが分かる。
「ごめん、もっと欲しい」
ぶわっと、ルシアから流れる量が増えたのが分かる。抱きしめられてくっついているから尚更だ。
早くカフスに移さないと、私の身体では容量オーバーになってしまう。
「あ、やばいかも」
カフスに触れるのを躊躇した私は、気を失った。




