07 妖精さん
私はポカーンと口を開ける。
こんなところに屋敷があるとか、そもそもなんで子供はここを知ってたのかとか、色々疑問は湧くはずなのに、そんなことを考えられないほど私は驚いていた。
まさに中世ヨーロッパを思わせるレンガ造りの屋敷と手入れの行き届いた庭。
多種多様な木や花や草なんかがバランス良く植えられている。
その草花の間を元気に走り回るソレ…
『……妖精?』
透き通るような半透明な羽根、人の手のひらほどしかない背丈…それらがちょこまか動く姿を見ていると、何だか私の中に秘められた猫の狩人魂に火がつきそうだ。
…現に、私の目は目の前でくるくる飛んでいる一匹の妖精をロックオンしている。
尻尾もゆらゆら揺れる。
妖精がこちらに好奇心を刺激されたのかかなり近くまでよってくる。
ウズウズウズウズ…シュバッ
繰り出した猫パンチを華麗によけられた。
ぐぬぬ…としていると、妖精はくるくる回りながら面白そうに私を見ていた。
流石にまた猫パンチを喰らいたくないのかかなり離れた距離に行ってしまったけど。
「ふはっ」
突然上から降ってきた笑い声にビクッとなる。
逆だった毛をなでながら、驚かせてごめんね、と子供が言った。
…まぁ、良いんだけどね。
眉を下げ申し訳なさそうにしている顔をしているが、笑みが隠しきれてない。
何が面白かったんだ。
……私が妖精に弄ばれたからか。
ちょっと面白くないのでツーンとしてやった。