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05 暖かさ
気が付けば空が暗くなってきていて、子供はフラフラしながら、また歩き出した。
その後をトコトコついて行くと、子供は時折こちらを伺って、複雑そうな顔をした。
子供らしくないその表情が悲しい。
この子はどれほどの苦労を重ねてきたのだろうか、と。
気になって気になってしょうがなくて…私はこの子供から離れられないでいた。
だんだんと人気がなくなって、町からも離れていっている気がする。
ようやく子供が立ち止まったと思ったら、ちょうど川に行き当たっていた。
子供は適当な木の下に座り込むと目を閉じた。
寝るつもりだろうか。
ならばと思って、私は迷わず子供の胸の中に飛び込んだ。
わぁっと驚いた声が聞こえたかと思うと、私を恐る恐る包み込む暖かさが感じられた。
今は暖かい季節だけど、やっぱり夜は肌寒い。
少しでも湯たんぽ替わりになればいいな、そう思いながら私も眠りについた。