荒波の太平洋
モンタナが・・。
「ヤマトよ、モンタナが貴様を海底に案内してヤル!!」
ルーズベルトは最大出力の短波放送で皇国艦隊に挑発を繰り返していた。
モンタナクラス五隻が完成した合衆国海軍はパールハーバーに全艦艇を集結。
ミッドウエー沖で盛大な演習を行ってた。
巨大な艦が集結し、巨砲を咆哮させる光景にルーズベルトはモンタナの艦上で満足そうに見てた。
史上最強の艦だ・・。
恐らく人類が作り得る最大の戦艦。
それがモンタナ。
皇国海軍はモチロン察知済み。
海底では伊号500クラスが数隻監視。
宇宙の衛星からも監視。
(皇国は既に多くの衛星を打ち上げています。)
余談だが皇国海軍の戦闘機は全てGPSナビを備えてて、積乱雲に飛び込んでも迷う事は一切無かった。
機体も強化してあるのである程度の嵐に遭遇しても機体は壊れない。
偵察する必要も無いので、無駄な死者も出なくなり、安全に作戦を組めるのだ。
「伊藤大尉、このじーぴーえすって凄いな・・。」
「西村長官、こんなのはもう常識以前なのです。我々の世界では。」
「ウム・・。戦闘機乗りの連中なんか大喜びだったと聞く。」
「彼等こそがこのナビが必須でしたからね?」
前史では嵐や積乱雲に進路を阻まれ、多くの戦士が涙を飲んで波間に消えたと聞く。
艦艇や大型機なら天側も可能だが単座機では不可能。
それがナビを搭載する事で解消されたのだ。
モチロン天側訓練は欠かさない。
機械は万能では無いのだ。
万一、故障した場合のために、天側訓練は欠かさず行うのが航空機パイロットの仕事だ。
だがそれでも安心して飛べるのは大きい。
西村は多くの勇士が助かるこのナビやGPSを頼もしく見てた。
衛星からはミッドウエー海域で行われてる米軍の演習模様が詳細に写し出されてた。
もちろん皇居の司令部でも・・・。
「山本よ、敵の侵攻をドコで止めるつもりだ?」
「陛下、彼等には長い時間出血を続けて貰わないといけません。
モンタナを仕留めるのは愚策ですので・・。」
「ウム・・。前史同様・・。」
「ハイ、餓島を取る様に見せかけます。」
数日後、合衆国海軍偵察機はガダルカナル沖に日本軍の機動部隊、
並びに戦艦部隊が侵攻して来るのを発見。
モンタナを含む合衆国海軍は新鋭空母エセックスクラスを含む機動部隊を出動。
ココに第一次鉄底沖(後に亜米利加命名)海戦が勃発。
「大統領閣下、ジャップが遂に出て来ました。」
「ウム、準備は万端だ。キッチリとキンメルの仇を取って来い!!」
「ラジャー!!」
ハルゼー提督率いる第一機動部隊はモンタナを旗艦とし、ガダルカナル沖を目指す。
壮大な戦艦を筆頭に海原を海の猛獣が疾走する光景はドコの世界の人間でも痺れる。
「キンメル長官、貴方もこの艦を指揮したかったでしょうね!!」
巨砲を備える世界一の戦艦モンタナの艦橋でハルゼーは海原に吠えていた。
その海域深度500mの海底では・・。
「フム・・。敵は罠に掛ったな・・。」
海底に潜んでた伊501潜水艦艦長、伊藤大佐は早速ハッチから誘導機雷を浮上させ、モンタナクラスのみの舵を狙う。
機雷はゆっくりと浮上しモンタナが通るタイミングで艦尾に接近。
突如モンタナの艦尾で爆発が起きたのはその時だ・・。
ズガーーン!!
「な・・何事だ!!」
ハルゼーはモンタナの艦橋で有得ない衝撃を受け、転倒してたのだ。
応急隊員が被害箇所を調べるため、巨艦の艦尾に疾走してると・・。
僚艦のオハイオ、ニューハンプシャー、ルイジアナ 、メイン。
全ての遼艦が艦尾より噴煙を噴き、同じ場所をグルグルと回ってた。
機雷は見事に舵を破壊し、艦には影響は無いが舵が破壊され、
修理も不可能と診断されモンタナクラスはパールに引き返すしかなくなった。
モンタナの成功を確信してた合衆国海軍はモンタナ被弾、舵修理不能の知らせに頭を抱えた。
ルーズベルトは期待してたモンタナが被弾、損傷し、ドックに里帰りの報を聞くと・・。
卒倒し泡を噴いて倒れてしまった。
皇国軍はモンタナが引き返したのを確認すると、上陸した敷設部隊を展開。
餓島のジャングルを切り開き、広大な航空基地を設置。
対空砲も多数備え、敵の進撃を待ち構えていた。
モンタナが居なくとも、米軍の進撃は止められず・・。
多くの艦艇は無傷であり空母の周囲をガッチリと固め、護衛艦は潜水艦の接近を警戒。
威嚇の爆雷を投機し周囲を警戒。
安全を確認し空母から多数のグラマンF6Fが発進し餓島を襲撃。
ラバウルの米軍基地からも陸軍機が襲撃。
ココに餓島を巡る餓島航空戦が始まったのである。
日本側は餓島を防衛する以上の攻撃はせず、ただ防衛に徹するのみ。
対する米軍はポートモレスビー、並びにオーストラリア進撃のためにも
餓島は目の上のタンコブ。
是が非でも取らないといけなかった。
「陛下、敵は罠にハマりました。」
「ウム・・。前世の我が軍の過ちを敵が行う。
ラバウルやポートモレスビーはかなりの距離があろう。」
可部は多くの戦史を取り上げ、陛下に説明をしてた。
「陛下、我が軍は敵兵の消耗こそが米軍に対する最大の攻撃と思ってます。
ましてやパイロットは普通の兵士と違い、いかなアメリカでも補充には苦労します。」
前史では島「だけ」を拘り、兵士を無視した。
おかげで戦地の兵士は地獄の餓鬼と化し、餓島は多くの躯の島となった。
だが今回は違う。
豊富な武器装備。
潤沢な食糧と支援。
危なくなったら撤退も認める柔軟な指揮系統。
全てが整っているのだ。
「兵士や士官あっての軍です。
彼等の苦労を少しでも取り除くのが我々政治や官僚の仕事です。」
「ウム・・。朕もそう思う。
民あってこその皇国。民をないがしろにする愚策は二度と・・。」
「あってはならないのです。陛下・・。」
餓島の上空では毎日の如く決戦が行われていた。
だが日本軍は迎撃のみに徹し、決して米軍の本拠地、
ラバウルやニューギニアに攻め入る事は無かったのである。
珊瑚海沿岸では多くの米軍空母が目の上のタンコブ。
ガダルカナルを攻めあぐねて、毎日の様に攻撃部隊が出撃してた。
ガダルカナルには戦闘機しか駐屯してないらしく、敵から機動部隊を
攻撃する事は無かった。
米軍も敵の戦力が劣ってるから攻めて来ないのだろう?と安心してた。
モンタナの舵損塊はかなり惨く東側沿岸のドックに入渠し艦尾の大工事となってた。
「モンタナの修理は時間がかかるのか?」
ルーズベルトは頭に氷嚢を乗せ、海軍に説明を求めてた。
そして膨大な国費を一気に投入し、完成させたモンタナクラスが
全て使えない状況に苛立っていた。
いくら国民を秘密警察で抑えようとしても、合衆国は膨大な国土を誇る国。
抜け道はいくらでもある。
あまりに抑えると暴動も起こるのだ。
何とかモンタナを使える状態にし、少しでも戦果をあげないといけない。
海軍上層部もルーズベルトに説明し、何とか2週間で舵の損傷を修理。
艦隊への復活を確約した。
だが航空機と違い、艦艇の前線復活は簡単では無い。
下ろした燃料、弾薬の搭載。
艦艇乗組員の訓練。
そして武器の整備。
全てに時間と国費が必要なのだ。
だが全てを無視し横暴な方法を取ってでもモンタナは前線に復帰を目指し、
餓島を目指していた。
遅くなり申し訳ありませんでした。
ようやく書く意欲復活です。




