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淳于瓊☆伝  作者: けるべろす
賈郷篇
1/89

プロローグ

延熹八年(165年)正月 洛陽〜


後漢も最盛期を過ぎて数十年がたち、内にあっては宦官と外戚による権力争いが絶えず、

地方においては官吏が汚職にまみれ、辺境にいたっては異民族の侵寇が年々激しくなり、

人々の生活は苦しくなる一方であった時代のこと。


太学の冠である賈彪は顔見知り青年があわてて宮中より退出しょうとしているのを見かけ声をかけた。


「伯簡殿、随分と急いでおるようじゃが、何処へ行かれるのかな?」


「これは偉節さま、お久しぶりにございます。実はこの度、県令職に任じられまして…」


足を停め返事をした青年は、名を淳于沢、字を伯簡という。

偉節とは賈彪の字であり、2人は豫州潁川郡の同郷である。


「おお、それはよかった。その若さで県令を務められるとは流石は淳于家の嫡男である。

 亡き父上もお喜びであろう。それでどちらへ赴任されるのかな?」


「それが問題でして…、涼州漢陽郡の冀にございます」


「それはえらいところへ赴くことになったな。段校尉が活躍しておるようだが…」


賈彪は言葉を濁した。

通常は辺境の官吏、県令クラスであればその地方の人間が担当するものであり

内地からわざわざ派遣されたりはしない。

まして異民族の羌や氐の侵寇が盛んになってきている昨今、命の保障などどこにもない状況である。


「私も最初は耳を疑いましたよ。どうやら、郡城のある地には中央から人を派遣することになったようでして、誰も行きたがらない地だけに私のような若輩者にお鉢が廻ってきたのでしょう」


淳于沢は嘆いて天を見上げた。


「まあ、嘆いていても始まらないので準備に奔走しておる次第でして…

 この機会に洛陽の屋敷も処分してしまおうかと。家族といっても弟がいるだけですし」


確かに都に居を構え続けるとなると結構なモノ入りになる。


「なるほど、私にできることがあれば協力を惜しまないからなんでも言ってくれ。

 そういえば貴殿の弟はまだ幼いのではなかったかね?」


賈彪は淳于沢に弟がいたことを思い出したずねてみた。


「6歳になります。弟の奇妙(幼名)は斉南の淳于家にでも預けようかと思っておりますが少々問題のある子供でして…頭を痛めております」


「ふうむ、子供は腕白なくらいがちょうどよいと私は思うがね。

 どうだろう?奇妙殿は私のうちで預かってもよいのだが。

 潁川ならば斉南よりもずっと都に近いし都合がよかろうて。」


賈彪がそう言うと淳于沢はあからさまな狼狽の色を見せる。


「偉節さま、そうではないのです。問題があるというのは腕白だとかいうのではなく、

 その…逆に全く子供らしくないといいますか…大人びているというか…」


淳于沢がしどろもどろに答えているのを、賈彪は笑いながら続けた。


「ははは、それはそれで興味深い。ますます会ってみたくなったぞ。 

近々お宅におじゃまさせてもらって奇妙殿にあわせてもらうとしよう」


寒空の下にも関わらず汗をかいて頭を下げている淳于沢を見ながら、賈彪は心の中で考えていた。


"とはいえ凡庸な淳伯簡殿の弟じゃ。身びいきもあろうし、過剰な期待は禁物じゃな。

まぁ良い気晴らしにぐらいはなろう"


淳于瓊との出会いが賈彪の運命を大きくかえることになるなど知ろう筈もなく、

賈彪は淳于沢に3日後に訪問することを告げ、二人はそれぞれ別の方向へと歩き始めたのであった。

初投稿です。よみづらい等ご容赦ください。

ご都合主義はあり、ただし時代背景からは外れないということで

転生ものを書いてみます。

週一くらい目標にがんばります。

次で主人公が登場します…

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― 新着の感想 ―
主人公が淳于瓊とは斬新、三英傑よりも年嵩の彼がどんな物語になるのか面白いですね
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