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虹色の飴  作者: 薄桜
1/6

『Smile Japan.』参加作品です。


これも、元は携帯でポチポチ打ってたものです。

えーと、色々と・・・信じちゃ駄目ですよ?(笑)

これはフィクションです。

笑って下さいね?

やっと手に入れた!

私は嬉しくて、手にした途端に飛び跳ねた。

子供の頃大好きだった虹色の飴!


記憶通りの姿そのままに、今私の手の中にある。

ちょっと不思議な独特の味で、爽やかな甘さで・・・他に似たものが無いから、味の説明は出来ないんだけど、まぁいいよね?


あーっ、もう、本当に嬉しい!

何年振りかなー? 大好きだったのに、いつの間にかお菓子売り場から消えちゃってて、ショックだったのよね。

牛乳パックみたいな形をしたカラフルな紙の箱に、個包装の飴が12個入っていた。

あの飴食べたいって、よく愚図って世話役に怒られたっけ・・・。

でもその飴が、期間限定だけど復刻したの!


その話を聞いた時は、もうすっごいテンション上がって、職場の食堂で大騒ぎしちゃって、実はちょっと顰蹙(ひんしゅく)かっちゃったんだけど・・・いいの、その話は。


だけど、本当はまだ手に入った訳じゃない。

ここはスーパーマーケットで、私はそこの特設売り場にいる。

私みたいに再販を待ち望んでた者はかなりの数いたみたいで、すごく長い行列待ちで、おまけに1箱限りの数量制限がかかっていた。


子供の頃は普通にあって知らなかったけど、この飴ってこんなに人気があったんだ・・・と、新聞記事での扱いで知り、今日この行列に並んで思い知らされた。


心の底から湧き出る喜びをそのまま(おもて)に出して、その貴重な1個をレジに渡し、お金を払った。

よーし、これでやっと私の物よ!

新聞を見て普通に買えそうにない気がしたから、有給取ってみたけど、大正解だったわ。

今すぐにでも食べてしまいたいけど・・・ここは我慢。

家に帰ってから、ジックリ堪能するの。



・・・そう、それが失敗だった。

私はそう考えた事を、この後すぐに後悔する事になったのだ。

どうしてすぐに食べてしまわなかったんだろう?

もし1つでも口にしていたら、こんな事にはならなかったかもしれないのに・・・。



浮かれきっていた私は、前から来たスクーターとぶつかりそうになって・・・何でスクーターが歩道を走って来るのよ!?

けど、それは運良く避けられて怪我もなかった。

・・・けれど、持っていた飴は私の手を離れ、すぐそばで工事をしていた穴に袋ごと落っこちてしまった。

慌てて駆け寄って覗き込んだけど、

「あぶねーぞねーちゃん。もう下の世界に落ちちまってるから、諦めな。」

って、作業をしていたオジサンに止められてしまった。

それでも私は、落ちてしまった場所をしっかりと確認した。

そして駄目もとで、もう一度スーパーに引き返した。


やはり、長かった行列は既に無く。

特設売り場には『完売』と、大きく手書きで書かれたダンボール片が立て掛けられていただけだった。

お店の人に聞いてみても、次の入荷の予定は決まって無くて、

「本当によく売れたね、うちも次はいつか知りたいよ。」

って、ホクホク顔で返されてしまった。


・・・諦めきれない。

一度は手にした飴を・・・また、いつとも知れない時間を待つなんて、そんな事出来る訳ないじゃないっ!!

私は・・・えーっと、幼等部くらいだったから、たぶん・・・200年くらい待ったのよ?

下に降りる事は禁止されてるけど、バレなきゃいいのよ、バレなきゃ。


だから夜中にコッソリ行動を起こした。

誰もいないのを確認して、スルリと穴に飛び込んだ。

落ちた場所は分かってる。

拾った人間も見た。

生態情報から、彼の現在地も、行動パターンも、経歴も、現住所もちゃんと把握してる。

役所の観察課に勤めてて良かったって、今日ほど思った事はないわ。

職権乱用?

・・・いいのよ。

私は私の物を取り返すだけですもの。

それ以上どうこうしようって気は、まったく無いんだから。


狭く暗い穴を抜け、やはり暗く・・・しかし広い空に出た所で、私は薄いピンクの翼を広げた。風を受け止めた翼はさらに大きく広がり、落下の速度を急激に弱めた。

そして、緩く羽ばたき空に浮く。


私はホバーリング状態で腕に嵌めた端末を操作し、飴を拾った人間の情報を呼び出した。

その住所から地図を表示し、実際に目にしている光景に重ねた。

「よし、あそこね。」

私は一人ほくそ笑み、再び翼を大きく羽ばたかせて、赤いマーカーの場所を目指した。


絶対に取り返してやるんだから!!

さて、この女性は何者でしょう?

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