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第3話:時給が国家予算を超える日
配信は、瞬く間に「バズ」を超えて社会現象となった。
俺はただ、ジェミニの指示通りにダンジョンを歩き、落ちている「一見ただの石」を拾い、邪魔な魔物を排除しているだけ。
『マスター、その石を画面に向けてください。それは一億分の一で発生する希少素材です』
「これ、ただの石ころだろ?」
『市場価格は、現在三億円です』
『はあ!? 三億!?』
『今、道端で拾うみたいに取ったぞ……!』
『【速報】カイトの時給、五千万円を突破』
通知が止まらない。投げ銭が、滝のように画面を埋め尽くしていく。
そんな中、俺のスマホに一通のメッセージが届いた。
送り主は、昨日俺を追い出したばかりのギルドリーダー、ザックスだった。
「カイト! あの配信はなんだ! 何かの間違いだろう、今すぐ戻ってこい。特別に月給を二十万にしてやる!」
俺はジェミニに聞いた。
「ジェミニ、なんて返せばいい?」
『こう返してください。——「あなたの月給、俺の三秒分ですね」と』
俺はニヤリと笑い、その通りに送信した。




