人事移動
事前打合せのつもりが、昼休憩を食いつぶしていまった。
売店に行き、売れ残ったパンと牛乳を受け取ると、椅子に座り息を着く間もなく・・お昼終了。
打合せがお昼に食い込んだので、部屋を出る時に『昼からの会議は、1時30分からお願いいたします。これから会議室、おさえてきます。』
こう言い残して、出て来た。
とりあえず、腹はおさまった。
向かっているのは、総務課。腐れ縁のあいつに頼みに・・行く。
昼休憩終了のチャイムに合わせて、総務課へ。椅子に戻ろうとしていた、あいつに遭遇。
「息を切らせてどうした?おれに用事?」
「会議室を借りにきた。委員会全員入るくらいの、今開いている?」
「今日は、月曜だから空いていると思うよ。ここに座ってな。見てくる。」
「あったぞ。ほれ・・これ(貸出書)に、書いてくれ。」
「これから、委員会で会議をやるのだけど、その間『留守番』お願いできないか?」
「長くなるか?」
「2時間から3時間?」
「長いな・・貸しだぞ。」
こいつの貸しは、高くつく・・おれのふところ、心配して欲しいんけど。
「分かった、それでいいからさ。そして、お前に聞きたい事があるんだ・・階段使っていいか?」
「ん、なにかあったか?・・・・課長、すみません。少し席を外します。教育委員会で、会議をやるので留守番を頼まれました。」
了解をもらうと、おれたちは階段にむかい歩き出す。
「なにかあった?」
「確か、前職は『教育委員会』だったよな?」
「そうだけど、なに?」
「市長が変わった時に、教育委員会の全員が移動になったんだよな。」
「臨時は、残ったけどな。まあ、そうだ。」
「なにかあったのか?」
「んーーと。何もなかったと思うぞ。」
「全員が移動なんて、前代未聞だぞ。おかしいと思わないのか。」
「まてまて、全員移動は他にもあったろう。」
「全部は、なかった・・はず?記憶してるは、部署の半分移動が、いつもより多かった。のは覚えている。」
「全部移動は、教育委員会と都市計画課だったよ。後は、半分移動が多かった。」
「都市計画もだっけ?最初の赴任が、都市計画だったんだ。そうだ、その時に知り合っただよな、おれ達。」
「腐れ縁だけどな。」
「おれは、いくつか部局の移動やったけど、おまえは都市計画のあと、教育委員会一筋だったよな。」
「んん?おまえ、今日なんか変だぞ。」
「なんで、『教育委員会』と『都市計画課』の人事が、総入れ替えなんだ、て考えた。」
「別に、人事異動がたまたまそうなったんじゃないか。」
「おまえ、何か知っているだろう?顔に書いてあるぞ。」
「いやいや、顔なんか読んだ事ないだろ。」
「なに慌ててるんだ?」
「おまえが、変な事言い出すからだろ。」
おれは、踊り場で立ち止まって、あいつの顔を見る。あいつもなにか感じたのか、立ち止まっておれの顔を見ている。
「『学園都市構想』」
「・・な!」
あきらかに動揺した。
「おまえ、どこから聞いて来た?」
「いや、言えん。口止めされている。」
「教えた相手が、ここ(市職員)ではない事を祈るよ。何処まで知っているか分からないけど、決して 他の人に話さないでくれよ。おまえを心配しているのだからな。」
「わかった。」