学園都市構想
「後は、君に任せるよ。」
会長室から出ると、ひと言。これは、丸投げして一目散のようです。
それでも、部長に。
「わしは、副会長と県庁に行ってくるから。その後、この間の検診で引っ掛かっていた検査だがね、暫く入院が必要らしい。それと、同じ検査で引っ掛かっていた副会長も、一緒に入院するようなんだ。入院となると、色々心細いからね、それならご一緒します。と言われて断れなかったよ。引継ぎは、彼にしてあるからね。よろしく頼むよ。」
そんな引継ぎは、ありませんでした。(やっかいな指示はうけましたが)面倒な事が終わるまで、ふたりでのんびり病院?あぁ・・やってら・・・
この教育委員会、かなり変わっていると思う。本来、会長や副会長は、天下りで部屋はあれどもで、・・会長の部屋は、応接室として使われるのだろうが。志願して会長になったとかで、常時在籍されている。(副会長は不在だが)そのため、実質、会の最終決定者のはずの部長が浮いている。(単にハンコを押すだけの『ハンコ部長』と揶揄されている)
会長と副会長は議会からの推薦、部長は市長から選任と、立場も違うのだろうが、何となく対立している?
部長の下に、課長が2名。こちらは、他の町の退職した人を再雇用している。職務を覚えさせて遂行できるようになったら退職。おれ達が課長、課長補佐となる・・そうだ?
課長の下に自分達がいる。
課長の一人。教務課長の下に、教職員担当。要は人事担当(年度末が近づくと胃に穴が開くそうな)、平時は、代替者(出産、病気、けがなどの欠員)を補充する。教育実習生の割り振りなども、頭や胃の痛そうな仕事である。もう一人の教務担当は、学校行事(他行と合同時)、教科書や教育全般に関わる業務全般を行う。さらに生徒と学校のトラブルやイジメなども業務に入っており・・別名『苦情受付担当』。女子職員は、苦情の電話を察知できるらしく。なる数分前に、席を離れて消えてしまう。
もう一人の課長。業務課長の下には、施設担当の職員がいて、校舎や付帯施設・プレハブの維持を行う。日々、学校から何らかの報告書が届き、業者との打ち合わせで忙しい。(ここの中で、常時気の休まらない職務らしい)。あと、おれがやっている、業務担当(要は雑用係)、三人の業務以外の全部となる。・・学区割りは、3人の業務に入らないので、おれの担当となっている。
これ以外に、担当と同じ業務内容の女子職員(全員が正式採用で4人)がいる。
それと臨時女性職員が4名(各担当の補佐という事で、席もそうなっているが、よく消える・・ちょいちょい給湯室で笑っている声が聞こえるが、とても、サボっていないで仕事を・・などとは後が恐ろしくて言えない)、こちらは毎日やる日常業務と学校から集まってくる報告書などの整理保存など補助業務を行っている。
彼女らは、忙しい部署へのヘルパー的要素が大きく、常には、暇そうに見えるのだが?(言えば倍返しされるので・・)最近忙しいおれの業務を手伝ってもらっているので、学区割り作業は最近まで6人でやっていた。
男女比、男7名に女8名と、下手な事言えば、数で押し切られてしまう。最もそれが分かってから、男はもめ事に近づかない。結論、一人で8人の口撃に対抗できない現状がある。
と、これが、我が教育委員会の人事の内訳のだが、昼前に逃げるように出て行った会長に色々と吹き込まれたおれは、同僚(3名)と課長(2名)を会議室に誘う。
「先ほど会長が言われていた件で、会議を午後から行うようにとの事でした。その前に、情報が間違って伝わっていないか、事前打合せをするように言われていますので、これから会議室でお願いします。」
そう言って、同僚3名に目でサインを送り。
「課長も、同席お願いします。」
呼ばれると思っていた部長は、声が掛からない。顔に出ていますよ。
会議室は、大部屋の隅をパーティションで区切った簡単な部屋。パネルは、下がアルミ板で上がガラス。その上は無いので、少し大きな声だと、事務所に筒抜けになる。
チラチラと女性陣がこちらを見ている。どこでも大同小異だと思うのだが、彼女らは常に噂話を欲している。関心を引く行動や言動があれば、その情報伝達能力は異常だ。朝小耳にはさんだ事は、退社迄の間に、尾ひれを付けながらほぼ全員が知っている事も珍しくない。(特に不倫や誰と誰が、と言う内容が好きなようであるが)
そんな彼女らが、会議室に入っていく俺たちをジィーと見ている。どうも興味を引いたようだ。
「すみません、昼まで時間も無いのでお茶はいりません。」
パーティションのガラスには、遮蔽用のブラインドが付いているのだが・・(あえて)中が見えるように閉めない。(閉めたら理由をつけて近づくだろう)
そして、隅にあるテーブルだが、その中に半丸のテーブルが2個ある。いつもは短辺に置き議長用に使っているが、これを2個繋げて円形にする。6人で座るのは、狭いが仕方がない。もちろん小声で聞こえるようにである。
そろったところで、普通の声で
「先ほど市民の方が持ってきた(書類をテーブル中央に)この嘆願書の取り扱いですが。」
みんなの目が嘆願書に行く。担当の業務課長が手に取ってパラパラと内容がさっき見た通りなのか大雑把に見ると。
「これは、前回拒否された嘆願書と同じ内容なのです。しかし、来ていた彼らは、実現可能な、誰もが納得する学区割りだと言っていたようですが?」
やはり、課長は彼らの言っていた理由を知らないようです。
見終わって、隣に渡す。順にパラパラと見て隣に渡していく。一巡したところで、
「書いてある内容は、前回とほぼ同じでした。ただ、前回と違う事も会長に教えてもらいました。」
みんなの目が、おれを見ている。
「ここで問題になっていた地図です。(別に準備していた学区割り図を、テーブルに載せる。)」
「これは、今公示されている学区割りの地図だね。」
「そうです。こちらも見てください。会長より渡されました。」
先程、会長から渡された、文教委員会からの書類を出す。
「これは、承認の取り消し・・なぜ今頃?」
「文教委員会から取り消された、原因の場所がここです。」
地図の東中央、市境の橋を指さす。
「ここが?、特に問題は無いようだが?」
「橋の隣に『転落防止柵』が不完全に取り付けられた場所をご存知ですか?」
教務課長が小さな声で、
「わたしの通勤道路だからね、もちろん見ているよ。そこは、土地の所有でもめていなかったかな。」
「そうです。時間が無いので、詳しくは省略します。少し前、犬が川に落ちて騒ぎになりました。そんな場所を、2校の管理に置くのは駄目だと言うのが、取り消しの原因となっています。」
「だったら、道の中央にしたらどうかな。」
「この道は、元々農家作業用の細い農道と橋です。その幅は狭く、車が1台通れる程しかありません。そこで、事故が起きたない様にするため指導が必要になります。それを単一校とする為に、道の脇に線が入っています。」
「その道だが、君は実際に見ているのかい?」
「いえ、農地の測量図面と航空写真で作成しました。」
「なら、作った当時の図面と写真だね。現状は、道は車が2台すれ違える幅があるよ。橋は、前のままだから、交互に譲って通っているがね。
聞いた話だと、この道路は4車線化されるようだね。それが理由だろうだと思うのだが。各々の農主が、自主的に自分で使うあぜ道を広げたようだ。畑で評価されるより道として評価される方が高いからね。」
「・・それは知りませんでした。だとすれば・・こんな具合にすれば、どうでしょうか。」
端にあった線の隣、道の中央に赤線を書き入れる。さらに、川の中央にあった線の隣、川の外側に赤線を引く。
「実質、2車線なら中央を境界にしても問題は無くなります。それに、川半分が市の管理範囲(市の境界)ですが、それに固執する必要も無いので、川を除外します。『転落防止柵』も除外となるわけです。こちらは、4車線になれば、橋の中となって今もめている問題が無くなります。それまで、こちらの学校で注意と指導をしてもらいましょう。」
「それで、承認取り消しは無くなるのだね。」
「おそらく取り消しは、そのままだと思います。会長も同じ意見でした。」
「なぜ?原因が無くなればいいのじゃないかね。」
「それについては、・・・・(おれが、あたまを前に出し、小声になると、事情を察したのか耳を立ててくれる。)
それぞれの学校予定地の隣を、県(実際動いているのは、地域開発協会)が買収していて、契約が成立する頃だと会長に先ほど聞きました。」
「県?建てる学校は市立なのに?」
「会長から聞いた話を要約すると。近い将来、手狭になった小中学校一体型校は、小学校となり。県の用地を買い上げて中学校とする。となる様に動いていると言われました。」
「それは・・いやにこちらに有利な話ですね。県には、地価の差益しかない。なにか、裏があるのはないですか?」
「それなんですが、会長より『業務課長が説明してくれる。』と言われましたが。課長ご存知なのですか?」
みんな、一斉に教務課長を見る、声を掛けられてなのか、皆の視線に驚いたのか?小さな声で話し始めた。
「困りました。会長の言っているのは、おそらく・・、私は知っています。いや、当時は当事者でした。」
意味が解らず向かいの顔同士で、『この人、何言っている?』の顔になっている。
「わたしの前職は、県の教育委員会でした。そこを定年退職して、今ここにお世話になっています。その当時の話になります。
話をする前に、誓約して欲しい事があります。『聞いた事を口外しない』、これを約束してください。無理と思うなら、すみません、退出してください。私も『退職後も口外しない』と誓約書を出しています。『口外した事によって発生した損害賠償請求を負う』と書いてあるのです。」
一同、今度は周りの顔を見渡す・・誰も席を立とうとしない。
「同意いただけたと、解釈します。もし、口外した場合の損害賠償は共に負ってもらいます。」
一人が、首を縦に振る。見ていた皆も、振ると。
「少し古い話からになります。廃藩置県で最も人口の多い町が県都(藩の力が強くて人口で負けていても県都の例もある)になっていました。人が自由に、住んでいる場所を変える事が出来るようになると、県都や大きな町に集まるようになりました。それは、今も続いています。
それにより市の教育委員会で問題になってきたのが、矯激な人口増加に伴う学校不足です。郊外に作っても、しばらくすると対応できなくなるのでした。また、町の中心の学校は、過疎化?によってクラスを減らす事になるという、矛盾も起きています。
県立についても問題がおき始めました。人口増加に伴い、県内の町に県立高校を設立していったのですが、次第に学力差がおきてきて学力差別による越境入学が始まったのです。当時、中学から高校への進学率がそれ程高くなかったですが、年度毎に進学率が上がり、県都や大きな町の高学力校、いわゆる進学校へ希望する生徒が増えていきました。今現在、県都に進学校と呼ばれるの高校は、3つ。ただ、全県から集まってくる生徒の数が多いのです。あぶれた生徒は、私立へ入学するか他県へ行くという流出も起きています。優秀な生徒は、県の高校に進ませたいと知事は考えています。
実は、前の知事から、この問題は検討されてきました。その時に出るのが、周囲の高校の学力を底上げできないか?と検討もされましたが。いくらやっても近くの市や町にある普通科は、有名大に合格するだけの学力が付かないのです。あとは、進学に興味のない工業系や商業系の高校です。
県としては、今の進学校に準じる学校が欲しいのです。最近、よく県庁に呼ばれます。こちらの市の学校がどうなるか、知事は注視してきました。
知事の気になるところが、この町の中心にある小中学校の跡地利用です。まだ、再開発の話も出ていません。知事が裏から手を回している・・という噂が県庁内でささやかれています。
いまの小学校と中学校敷地。ここって、進学校にするのに最適だと思うのですが。」
一同声が出ない・・教務課長が話はじめる。
「言わてみれば、学校用地を前に取得しておいて、それをバーター取引すれば、双方にメリットになると思います。」
「ここだけの話という事で、お願いいたしますよ。」
うちの業務課長が、話に入って来た。ちなみに、業務課長は、市(県都)の都市計画課と教育委員会を渡り歩いて、定年退職後ここに再就職している。
「今の話は、わたしが知っている事とほぼ合っています。
それ以前の話になるのですが、ここの乱開発が議題に上がり始めると、県と市の間で問題になりました。
その当時、ここは急激な人口増加になっていました。ここを直接管理する行政は無く、県都で行っています。ところが、人口増加は県都も同じで、周辺も同じありさまでした。都市計画は、県都で手一杯です。この町(人口増加で行政機関が無いが町までの規模になっていた)は、無計画な土地開発が乱立し、安い土地を求める住民の需要と相まって、酷いありさまでした。
そこで、県主導となって、この町の開発都市計画が練られました。中央に、役所と関連施設、小中学校と関連施設。取り囲むように商業用地とそこからはなして工業団地。そして、計画の要となる、中央から四方に伸びる主要道路。東道路は、4車線として、県都との交通の利便性を上げる。その当時の街並みから離れた東西に、県都とのバイパス道路を作る。今、住民が通勤用としているバイパス道です。
今、この市にある都市計画は、当時の県庁主導で作られていたのです。
当時、交通の重要性が論議されていて、鉄道も話に入っていました。」
「鉄道?ですか。もしかして、(県都の)駅から北に伸びている。単線の汽車用の線路ですか?あれは、行き止まりで、将来廃線になるだろうと噂になっていますが。」
「そうです、県ではあれを有効活用しようとしていました。廃線がささやかれていましたので、活用して地域活性に役立てたいと計画していました。
当時の計画になりますが、この町の中央。ここに駅を造ります。線路は、北上してバイパスと交差する所に駅を造り、更に北上しながら、県都の北(住宅の途切れた場所)に駅を新設して鉄道をつないでいきます。」
「それって、この町の北を開発させようという事ですか?」
「待ってください。町の中心に駅ですか?どこに線路を通すのですか。道路に設置するなら、路面電車になってしまいますよ。」
「あの時の計画でも、この今の状況は想定しています。線路は、地上だけではないのです。」
「それで、中央からの南北線が4車線の指定だけ(現状は、舗装に車線のみ)になっているのですか。」
「この計画が進めば、県都と通勤できる電車が走るようなります。合わせて全線電化工事も考えているようでしたよ。」
「県立高校に、そこまでするのですか?」
「高校だけだと、思いですか?」
「?え・・?まさか、公立大学ですか?」
「場所未定で、この町の北に想定していたようです。」
「(一同)・・・・」
「県庁の用地確保の話は、有名なので皆さんご存知ですね?」
「まあ・・・。県庁と国立大学の用地選定が、それぞれ別々に動いていたため、地主だけが儲けた。という話ですか?」
「そうです。途中で気づいて、双方で協議したそうですが、敷地として最適と双方評価したようで。物別れになってしまいました。両方が満足する敷地面積を確保できないので、大学は、農学部と工学部を違う町へ設置せざるを得なくなり、文学部と最初に単位取得させる教育学部を設置した。同様に県庁も、県庁ビルと駐車場、付属する施設で敷地が埋まったので、警察本部、消防本部など実際に行政を行う機関を市内の離れた場所に建てざるえなくなり不便になった。という話です。」
「それは、ここいらでは有名な話ですが。」
「この大学の話です。市の友達からなのですが、大学で用地を探している話があるのです。どうも、分割して運営すると、途轍もなく経費がかさむそうで、今の敷地を処分して、一括の大学運営に変えたい・・との話があるのです。」
「それって・・この鉄道と関係が?」
「駅を造れば、通学に利用できるようになります。それと別に、県でも県立大学設置計画があるとか?」
「たしかに、市の中心に駅があり。県都と直通の電車が通れば、利便は格段にあがりますね。」
「さっき言い淀んでいた。守秘義務って・・これも含んでいます?」
「ええ、実際は、かなり踏み込んだ話になっています。それも含んで、他言無用でお願いいたします。」
「はなしが、大事になってきた・・・。」
「そうだとして、これが週刊誌や新聞に載れば、かなりの騒動になりませんか?」
「会長は、『学区割り』がもめれば、住民側はこの情報をマスコミに流しかねない。と心配していました。」
「でも、住民側がどこまで知っているのでしょうか?県が用地を買った程度だと思うのですが。」
「地主から、マスコミには流れないだろうね。『県にも売れました。』なんて公開されたら、遠い親戚や顔も覚えていない親友が、急に増えますからね。」
「ぷっ・・失礼。」
「それ以外に、もっと問題があるのです。分かりやすく簡単な図解にします。これを見てください。」
意見書の取り下げが3枚。
「承認取り消しに、添付されていたのですが。日付を見てください。」
3枚とも、金曜日の日付になっている。
「この承認取り消しの日付が、今日(月曜)です。実際は、10時頃、事務所に持ってきました。それと同時刻に『学区割り嘆願書』も持って来ています。通常、時間的に重なることは、あり得ないことじゃないですか。」
「住民側が、情報を事前に知っている?もしかして、スパイがいる?」
「会長も、同意見です。この教育委員会にもいるかもしれないと。」
「だれ?・・・怖いのですが。」
「もしかして、部長?だから、この会議に入れなかった?」
「不確かな憶測は、不信を呼ぶだけ・・と、会長に言われています。憶測で動かないで、確実な事をやってください。とも言われています。」
「たしかに。」
「話が重くなったので、別の話いいですか?」
隣の同僚が、手を小さくあげる。みんなそう思ったのか、軽くあたまを下げる。
「皆さん、まだ覚えているでしょう。ここの市長が県都の建設会社の元社長で、派手な選挙活動をやったのを。
当選後しばらくして、県知事選挙がありました。最近の選挙活動批判や行政の腐敗排除を、選挙公約とした新人が人気を得ている事に刺激されたのか、現職がきれいな選挙活動をやり始めたら、徐々に支持率が下がっていったのを。・・その後挽回策として、うちの市長を抱き込んだのでしょうか。選挙活動が一辺して、建設会社主体の活動に変わって、結果僅差で当選しました。
当然、世論はかなり批判しましたが、勝てば官軍ですから。
いくら近い将来必要になると、分かっていても、無い袖はふれないのですから、県に便宜を図ってもらったのでは、ないでしょうか。」
「そうだったね、選挙の姿勢が、急に変わったものだから、選挙後にマスコミからいい様に叩かれていましたね。そうみれば、ある程度納得もできるのでは、ないでしょうか。」
「次期市長選挙も、今回計画の小中学では収容できなくなる時期だろうから、いい選挙公約に(実施されていれば、実績として)なるのだろうね。」
「県の方針とも合致しているようですしね。」
「ただ、会長が『今これをリークされると、知事の首が飛ぶ。』と言っていました。」
「そうだろうね。この現状だと。県に何のメリットも無い。近い将来と言っても、市長が変わって政策を勝手にやり出したら、県の面目は丸つぶれになるのだろうね。もしかして、これを住民側は知っている?」
「会長は、その恐れが大きいと言っていました。だから、区割りの公示取り消しは時間の問題だろうと、いわれました。」
「文教委員会が承認取り消しを、出して来た以上。教育委員会は、市議会で学区区割りの公示取り消しをせざるを得ない・・のか。」
「また、会長はこうも言っていました。『わしが入院している間に、上手くやりなさい。』と。」
「・・えーと。それって、『会長・副会長不在の為、議事の一時差し止めをお願いする』でした?でも、会長は書類を見ているわけですから、部長代行で押し切られてしまいませんか。」
「そこで、時間的な流れです。『文教委員会から書類を受け取ったが、会長は検査の為不在になっていました。部長決済しましたが、会長決済が出来ないので、短期となっている検査入院が終わってから決済してもらいます。それまで、こちらの議題は保留とさせていただきます。』」
「それでも、定期健診の再検査ですよ。入院は、3日?長くて4日じゃないですか?週末前に戻ってくるのでは?」
「検査結果が出る頃、別の検査で異常が見つかるそうです。」
聞いたみんなは、苦笑い・・。
「それでも、来週早々には結論がでるのじゃないかな?」
「話の終わり頃に、会長から『ところで君、映画は好きかい?』と言われました。その、会長から受けた秘策ですが・・・」