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魔法菓子職人ティハのアイシングクッキー屋さん【BL】  作者: 古森きり@書き下ろし『もふもふ第五王子』


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16/37

休日(3)


「それじゃあ、クッキー、作ってみますね〜」

 

 結局、三袋に全部魔力を流し込むのは大変なので、一袋だけに集中して魔力を流し込んだ。

 意外にもしっかりと魔力は小麦粉全体に行き渡ったらしく、エイリーは「これはこれで興味深い結果だ! 私が魔力を注いでもこうはならないのに。やはりゆっくりと馴染ませるように注ぐのがコツなのだろうか!?」となにやらまた興奮しながらメモを取り始めるので、放っておくことにして。

 その小麦でさっそくクッキーを作り始めた。

 しかし――

 

「えーと……見られてるとちょっと作りづらいですね〜」

「だ、ダメか?」

「いや〜、なんか普通に威圧感を感じるっていうか〜……」

 

 キッチンを覗き込むホリーとエイリー。

 別にダイニングの椅子から見られている分には問題ないのだが、180センチのエイリーと二メートル越えのホリーに覗き込まれると圧がすごい。

 座っててくださいね〜、と二人をリビングのソファーに追いやってからクッキー作りに戻る。

 

(あー、形……どうしますかねぇ〜? アイシングクッキーと同じにするとラッピングする時間違えそうですから〜……あ、そうだ)

 

 ふんふん〜、と鼻歌を歌いながら数日前に魔力を込めたニンジンを持ってきて、皿の中に擦り下ろす。

 クッキーのタネに擦り下ろしたニンジンを入れる。

 しっかり練り込み、クッキーの形にカットしてオーブンへ入れて焼き始めた。

 魔石道具は擬似魔門でも起動できるので、ティハにも問題なく使えるので助かる。

 まあ、やはり起動までに時間はかかるけれど。

 次は普通のアイシングクッキー用のクッキー作り。

 ただ、今日からは同じく魔力を込めた小麦粉を使用する。

 わかりやすくソワソワしているホリーとエイリーが見えるが、完全に無視を決め込むことにして生地作りを再開した。

 小麦粉を溶けたバター、卵、砂糖と混ぜ合わせる。

 量はいつも通り。

 手のひらサイズの大きさで、少し分厚め。

 準備をしてから先に焼いているクッキーの仕上がりを待つ。

 待つ間の時間が惜しいので、昼ご飯を作ることにする。

 パンのタネを作り、寝かせておく。

 これは夕飯と明日の朝用。

 野菜炒めとほうれん草のパスタ、蒸しジャガイモのバター魚醤炒め、ジャガイモのポタージュ、コールスロー、ピーマンのベーコン巻き。

 

「……結婚してほしい」

「呟くんじゃなく、直接伝えなよ」

「伝えているんだが、本気で受け取ってもらえない……!」

「ああ、さっきみたいな感じにか。うーん……でもやっぱり鬼人国の事情をしっかり話して、お嫁さんに来てくださいってお願いする方がいいんじゃないかな?」

「国話を……か。なるほど、そうか、そうしてみるか」

「あと――彼は……多分自分が長生きするのが難しいのだと……無意識に気づいているのかもしれない」

「――――」

「あ、お二人とも甘いお野菜は大丈夫ですか〜? ニンジンのグラッセを作ろうと思うんですけど〜」

「私は大丈夫だよ」

「お、俺も大丈夫だ」

「了解です〜。じゃあパパッと作っちゃいますね〜」

 

 ニンジンのグラッセは超簡単。

 水に大量の砂糖とカットしたニンジンを入れて火にかける。

 焦げつかないように気をつけながら、水分が飛ぶまで煮込み続けて水分が完全に飛んだら完成。

 気を使うが、シンプルでおいしくできる。

 ハンバーグの添え物としてフライドポテトとともに王道の一品だろう。

 それならいっそハンバーグも作っちゃおうか、と冷蔵魔法庫からビーフ肉とポーク肉を取り出し、細切れになるまで包丁で叩き切り続ける。

 肉と一緒に玉ネギも微塵切りにして、ある程度細かくなったらボウルに移して卵とパン粉を混ぜて粘り気が出るまで混ぜ合わせていく。

 楕円形に形を作ってフライパンに並べ、オリーブオイルを入れて最初は強火で少しだけ焦げ目を入れる。

 そのあとは弱火で中までじっくり。

 真ん中まで色が変わったのを確認したら裏返して同じように焼く。

 蒸したジャガイモの残りをポテトサラダにして、焼き上がったハンバーグとニンジンのグラッセと盛りつければ完成。

 

「あ、クッキー焼き上がった」

 

 エイリーに[鑑定]してもらうためにお皿に並べてテーブルに持って行く。

 次にアイシングクッキー用のクッキーをオーブンに入れて焼き始めた。

 作ったものをテーブルに置いて「お昼ご飯できました〜」と声をかけるとエイリーはすでにクッキーに釘づけ。

 早速[鑑定]し始めた。

 

「いただきます!」

 

 からの即試食。

 判断が早い。

 

「美味しいし、魔力が増えた感覚がする……!」

「つまり本当に食べるだけで魔力器(マジックべセルズ)の未使用部分が拡張された、ということか?」

「かなり微妙な拡張だが、訓練と違って苦痛もない。魔法師以外の冒険者や兵士や騎士にとっては毎日少しずつ拡張ができて、これは本当に革命だ!」

「んぇ……? 魔力器(マジックべセルズ)の拡張訓練って痛いんですか……?」

「無理やり魔力を取り込むんだ。普通、起きている時は魔力を回復することはできない。それを無理やり自然魔力を取り込み、未使用部分へ流し込むので激痛が伴う。こう、爪が剥がされるかのような」

「「うえええええ……」」

 

 せっかくテーブルに美味しいご飯が並んでいるのに、エイリーの話で血の気が引くホリーとティハ。

 もう話を聞くだけで痛い痛い痛い。

 

「だが、クッキーに込められている魔力は微々たるもの。魔力回復のためにもまあ、使えなくもないが全快の時に食べれば魔力器(マジックべセルズ)が拡張されるだろう。大量に食べればその分、拡張のスピードも上がるのだろうか? もう一枚食べさせてもらっても?」

「ど、どうぞどうぞ〜」

 

 パクパク食べるエイリーに紅茶を差し出す。

 ホリーは普通に席につき、食事を始める。

 クッキーだけでなく、この昼食に使っている野菜にも魔力を込めてあるのだが。

 

「あ。痛」

「え、大丈夫ですか〜!?」

「大丈夫だ。普段の訓練による拡張痛に比べたら、マッドマウスの尻尾による攻撃程度の痛みだ」

 

 ダメージの例が具体的すぎる。

 

「これだけ食べなければ痛みを感じないとは。そもそも朝食を食べた時も痛みを感じなかったからな。昼食にも魔力を込めた野菜を使っているのだよな?」

「はい〜。いっぱい使いましたよ〜」

「ではいただこう!」

 

 クッキーには効果あり。

 エイリーは昼食を食べながら、早くも「味も申し分ないし、拡張痛もないなんてやはり魔法師にとって革命。一枚千マリー払う……」と謎に感極まっている。

 なんか価格も上がっているし。





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