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「宗教勧誘しただけなのに追放されそうです……」  作者: 頭いたお
9章 それぞれのロール、ひとつの物語
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7.アンスの調査報告「令嬢」

「少々遅くなってしまいましたね……」



 ……突如始まった幹部会議により、クレイン殿追放が決定しまして。

 その後も会議は盛り上がり、酒盛りまで始まる始末。

 ……とんでもないことが決まった気がするのですが、一旦忘れましょう。

 目下、私の目標は……。




「ここが、あのリリデスの……」




 ――冒険者ギルド「導きの光 ~シルティ同胞団~」

 人員2名のみ。一見すれば、大した実績もない零細ギルド。

 ……なのですが、かのリリデスが在籍している要注意団体。



 主な活動は敵性生物の処理と対処。

 その実体は、単なる害虫駆除を請け負っているとの事で。

 何が冒険者ギルドか。



 ……リリデスという存在、そして先日の「デーモン」騒動にて無視できぬギルドとなった今。

 彼女たちをどう扱うか、上層部は判断を迷っております。

 「勇者」パーティーへ組み込むことも考えているようですが……。



 本ギルドに対しての私の任務は二点。

 「デーモン」に関するいくつかの確認、そしてリリデスら自身の調査。

 覚悟を決め、いざ中へ入らんとしますと。

 事務所から出て来たるは……。




「……おや? もしや使者の方でしょうか?」


「! ……その銀の御髪。もしや……」


「シルティと申します。はじめまして」


「……」




 ――シルティ・フォン・ギーゼル。

 魔術に秀でし名門ギーゼル家が「令嬢」。

 貴族でありながら冒険者へ身を投じる、常軌を逸した人物。



 リリデスが危険であることは言うまでもありませんが。

 ある意味、それ以上に注意を払うべき危険人物。

 ……恐らく、彼女こそ実質的なギルドマスターと見ていいでしょう。



 ギルド名からもそれは伺えます。

 「シルティ同胞団」……。己が名を恥ずかしげもなくつけるとは。

 冒険者としては正しいのでしょうが、いささか厚顔無恥。野心を隠す気が見られません。



 なにより、追放されしリリデスを一人で抱え込み、手懐けているという事実が問題です。

 今やリリデスは彼女の忠実なるしもべと化しているとの噂まで。

 ……冒険者にまで転身し、何を成さんとしているのかまでは分かりませんが。

 腹に一物あることは間違いありますまい。



 同業者からの評判は悪くないのですが、評価が不安定な点は気になる所。

 相当な凄腕という評もあれば、まあまあの腕前と評する者も。

 振れ幅が見て取れます。



 内容を紐解いてみますと、彼女の評価はほぼサポーターとしてのもの。

 なんでも出来る器用さから、パーティーの足りない部分を的確に補う役割が主のよう。

 彼女の活躍は仲間次第、といった事なのでしょう。事実、単身での功績はほとんど無く。

 ……故に強力なリリデスを囲った、とも言えます。



 通り名。

 銀の令嬢。

 実力より、身分と容姿がもたらす印象の方が強いようですね。




「……やや、これは失礼、アンスと申します。いささか来るのが遅くなってしまいまして……。早速中でお話を……」


「申し訳ありません。実は他ギルドとの情報交換の予定がありまして。もう行かねばならず……」


「おや……。ではシルティ殿は同席されぬので?」


「ええ。あとのことはリリデスにまかせておりますので。では失礼します」


「……そうでしたか、残念。ではいずれまた……」




 一礼して去っていく御令嬢。

 ……引き出したいことはあったのですが、まあいいでしょう。




(……ここからが本番ですね)





 意を決し、「邪教徒」との対峙へ――。



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