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「宗教勧誘しただけなのに追放されそうです……」  作者: 頭いたお
9章 それぞれのロール、ひとつの物語
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4.アンスの調査報告「魔術師」

「お次はアエラ殿。よろしくお願い致します」


「よろしくお願い致しますわ!」




 ――アエラ・ローゼリス。「魔術師」。

 貧民出身ながら、奨学制度を用い王立学校へ入学を果たした才女。

 周囲との身分差から一時かなり荒れたようですが、無事好成績で卒業しております。

 成績表を拝見しましたが、実技に関しては首席。なんともはや。



 口を揃えて誰もが言及するは、その禍々しき魔法の数々。

 多数の属性を組み合わせた独自の攻撃、その苛烈さは大変な評判で。

 時に周囲に甚大な被害をもたらし、仲間まで巻き込むとの噂……。



 通り名。

 七色。狂虹。狂える貴人、狂血の刀剣等々。

 「狂」ばかりなのが気がかりに過ぎます……。



 まあ、それも分かるといいますか。

 少々、同業者からの評判がよろしくないといいますか……。

 というか、問題点だらけといいますか……。



「ええと。まずですね……」


「はい! なんでもお聞きくださいまし!」


「あなた、先日酒場で傷害事件をおこしておりませんか……? 早急に重要参考人として出頭し、状況説明をお願いしたく……」


「…………」


「……こと酒場での評判が著しく悪いご様子で……。ぜひとも素行の方を改めていただかねば、その……」


「チッ……」



 隠す気のない舌打ち。

 傷付きますねこれは……。



「は、話を変えましょう。……アエラ殿は、何故冒険者になられたので?」


「それは勿論、優秀なる先達……シルティさんの後を追ってですわ!」


「……シルティ殿への憧れから冒険者に、ということでしょうか?」


「ええ、ええ! あの麗しく、力強きお姿……。在学時、誰もが憧れを抱いたものでしたわ! わたくしもう大ファンでして……!」


「……」



 シルティ。

 アエラ殿からの評価は相当に高い様子。

 近しい者ほど、彼女を高く評価しているようですが……。




「王立学校を出て冒険者、というのは……シルティ殿も含め大変珍しい経歴ですね。公職への斡旋も多々あったはずですが……」


「ふふふ。安定よりロマンを求めた、ということですわね!」


「あなたのその無茶苦茶な進路のため、奨学制度の枠が激減したことに関しましてはどういうお気持ちで……」


「……チッ」



 二度目。

 傷付きます……。

 なんというか、すっごい苦手です……。

 早々に切り上げましょう……。



「で、では最後に。冒険を通して何か変わった事などは……。どんな些細なことでも構わないのですが……」


「そうですわねえ。冒険中という訳ではないんですけれど……数日前に死体が歩いているのを見ましたわ」


「……え!? 死体!? ど、どこでです……?」


「夜に大通りを普通に歩いてましたわ。ねえミナトさん?」


「いやあ、びっくりしましたねぇ……。すれ違った途端、死臭がするんですから……」


「わたくし、言われるまで気づきませんでしたわ。ずいぶん堂々としているものですから……」


「ちょ、ちょっとお二方……!? 死霊術は重罪ですよ!? すぐに通報していただかなくては……!」


「? それこそ御公務中かと思って放置したんですけれども……。噂になっておりますわよ? 国で死霊術師を抱えていらっしゃるとか」


「追跡したらお城へ向かっていったものですから、僕もてっきり……」


「……っ」



 人の口に戸は立てられぬといいますが、噂にまで……。

 「死霊術師」……。……いやしかし。人間の死体を往来で動かすなど……。

 確実に「公務」ではない。一体何を……。



「……ま、まあいいでしょう。その件に関してはこちらでお引き受けします……。ええと、他に変わった事などは……」


「あとは特にありませんわねえ。平和ですわ」


「そうですか……」


「平和すぎて色々と持て余しまくってまして。スティキュラでも虐めましょうかしら」


「たすけてアンスさん」


「……」



 ……問題だらけの彼女ではありますが、腕に関しては疑う余地なし。

 いや正直不適格な気もしますが……。手綱をひく人間さえいれば問題はない……のでしょうか?

 判断に困りますが、ひとまず保留で……。




「たすけてアンスさん」


「…………」




 ひとまず保留で……。



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