表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「宗教勧誘しただけなのに追放されそうです……」  作者: 頭いたお
9章 それぞれのロール、ひとつの物語
94/156

2.アンスの調査報告「勇者」②

「――久しぶりアンス君。元気してた?」



 己の吐瀉物を掃除しながら、普通に会話を始めだす兎耳の怪人。

 率直に言いますと、すぐにも記憶を消して帰りたい次第。

 しかしこれは我が任務。「勇者」殿の報告を聞くは責務でありますが故……。

 これが「勇者」……。




「正気に戻りましたかクレイン殿……」


「すまなったねアンス君。僕は月に一度ウサギさんと化す体質で……」


「頭を診てもらった方がよいかと思うのですが……」


「診てもらったらさあ、随分白髪が増えてますね~だって。困っちゃうよねぇ、しょんぼり」


「はあ……。…………」




 ――ウサイン改め、クレイン・マツリア。

 「昼のランプ」ギルドマスターにして、「勇者」が末裔。

 陛下のご信頼厚く、「勇者」候補として白羽の矢が立った人物。

 剣術により名を広め、一時期は陛下の近衛兵まで務めたとか。

 血筋、才能、名声。輝かしき未来が約束されていたはずの人生。



 しかしながら。

 腕はさておき、当時を知る人々からの評判は著しく悪く……。

 なんでも調子に乗りすぎたとのこと。信頼を失い、職を失い、富を失い、零落し……。

 その後再起をかけ、冒険者稼業へ。

 酸いも甘いも経験したようで。



 冒険者としての評判はまずまず。

 腕はもちろん悪くないようですが、対魔物はあまり得意ではない模様。

 とはいえ、一流ともいえるギルドを作り上げた手腕は中々のものかと。



 通り名。

 勇将、口髭、糞髭、糞、マンボ騎士等々。

 近頃、彼に対する意味不明の呼称が流行っているようで。

 なんですかマンボ騎士って。



「それで、ええとなんだっけ? 君に借金してた覚えはないんだけども」


「事前にお伝えしておりました通り……。状況報告を聞かんとこうして参った次第なのですが」


「無いんだなぁそれが。参ったか!」


「参りましたねぇ……」


「強いていうならそうだなあ。ボクの帰りが遅いってんで、カミさんが魔物と化してね。討伐しようか迷っちゃったよ。そんぐらいかな」


「……はあ」


「不思議だよねえ。僕、結婚なんてしてないのにねえ。誰だったんだろあの女の人……」


「…………」



 終始このような調子でございまして。

 以前お会いした時と大分ご様子が違っているのが気がかりです。

 まだまともだった記憶があるのですが……。



「っていうかさ、最近とびっきりのニュースがあったじゃないの。デーモンとかいうの出たんでしょ? それ調べた方がいいんでないの?」


「もちろん調査しておりますよ。これから接触者達とも面会する予定でして」


「あ、そうなの? ふーん。じゃあリリデス君たちと会っちゃうのかぁ」


「……その前に。お伝えしていた通り、『昼のランプ』幹部の皆さんとのお話が先となります。今後、公務を受けていただくための……」


「オッケーオッケー。ナイスガイが来るって言ってるからさ、みんな集まってると思……あれ、君女の子だっけ」


「男ですが……」


「っはぁー奇遇だね、ボクも男なんだ。気が合うなあ」


「……。……では、早速事務所へと参りましょうか」


「いってらっしゃい。お達者でぇ」


「? クレイン殿は来られぬのですか?」


「まだ今月のウサインタイムが残ってるから……。ノルマがあるんだよこれ、参っちゃうよねえ。参ったか!」


「……頑張ってください」


「そっちも頑張って存分に品定めするといいよぉ。『勇者』様の御一行はみんな優秀だからねぇ~」


「……」


「ぴょん、ぴょんっ! がぁっふぁがっふあっげァ!!」





 どうも歓迎されていないようで……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ