1.スティキュラ、迷子になる
「どこだここ……」
俺は今、見知らぬ森にいる。
一人だ。
事の発端はこうだ。
ギルドの仕事として、コボルトの集団をぶっ殺しにきた。
森に住み着き、繁殖しているとか。
「スティキュラくん大丈夫かい? キミ一人で」
「楽勝楽勝!」
「デーモンには気をつけてねえ~」
「ははは、出ない出ない!」
実際楽勝だった。
二十匹は殴り殺した。
充分倒したんで帰ろうとした。
道がわからなくなった。
「くそう、理由がひたすらにシンプル過ぎる……」
単純明快なのは良いことだが、こういう場合はバツが悪い。
何より説明が恥ずかしい。だって絶対馬鹿にするんだアイツら。
特にマスターとアエラ。こういう時の二人ほんっと嫌い。
「なんか良い理由ねえかな……。考えなくちゃな……」
敵が多すぎて時間がかかったことにするか。
いや、証明用の尾の本数でバレる。駄目だ。
じゃあ物思いにふけっていたとか。
……ミナトやブレトンならまだしも、俺の場合絶対笑われる。
筋肉差別だ。ゆるせん。腹立ってきた。
「あ、そうだ! 迷子保護してたことにすっか!」
森に迷い込んだ子供の保護者を探していた、これでいこう。
素晴らしい理由だ、これなら馬鹿にされんだろ。
嘘をつくのは気が進まんが、俺のギルドは悪ノリの度が酷い。
己の身は己で護らねば。
「よし! 理由も考えた所で……」
考えた所で。
「どこだよここ……」
たすけてくれ。




