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「宗教勧誘しただけなのに追放されそうです……」  作者: 頭いたお
6章 アエラのたのしい魔法教室
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9.アエラのたのしい魔法教室 最終日

「――こ、こんにちはー……。アエラさーん……?」


「はいはーい……まあモジャさん! よかった、ちょうどこちらから伺おうと……」


「うわっ、治ってる……」


「『うわっ』ってなんですの!? そりゃ全身全霊で治しましたわよ!!」



 昨日は悪夢でした……。

 連日が悪夢みたいなものでしたけど、特にひどかった……。

 皮膚がべろんべろんになったアエラさんが……。いや、思い出しますまい……。



「よくあの惨状から……。真っ赤なゾンビみたいになってましたけど……」


「流石に仲間の助けも借りましてよ……。それよりモジャさんから来てくださるなんて初めてですわね!」


「いや、一応お見舞いと様子見に……あ、これどうぞ」


「まあ! 何かしら!?」


「飴……」


「意趣返しかいッ!!」


「じゃ、帰りますね……」


「だから早いなッ!? いいからゆっくり茶でもしばいていきなさいな! ほらほらほらほら!」


「いや、ほんとに遠慮して……」


「ほらほらほらほらほらほらほらほらほら!」


「あああぁ……」



 なし崩し的に始まるティータイム。

 やっぱ来なきゃよかった……。

 ケーキ食べられるのは嬉しいですけども……。



「治癒で魔力も枯渇しましてね。どうも本調子じゃなくって……。本日はあなたとゆっくりお話しようと思ってましたのよ!」


「私を予定に組み込まないでいただけませんか……。ケーキ食べたら帰りますからぁ……」


「……んふふ」


「……?」



 やけにこっちを凝視してくるアエラさん。

 お茶にも手を付けず、ねっとりと見てくるだけ……。

 威圧感……。怖い……。



「……。《手》に、《消音》、ねぇ……」


「な、なんですか……? あ! も、もう使える奴とかないですからね!? 本当ですからね!?」


「……。モジャさん、親友っていらっしゃいます?」


「は?」


「親友」


「……? い、いや、特に……?」


「あらそうですか。……わたくしは幼い頃、とぉっても仲の良かった友人がおりまして。まさに相棒とも呼べる子が、一人」


「はあ……」


「馬が合う、っていうんでしょうねえ。何をするにも一緒で……。ふふふ、楽しかったですわね、あの時は……」


「は、はあ……。……え、なんの話で……」


「……その子、贅沢がしたかったんでしょうねえ。あるとき……」


「はあ」


「窃盗を働いたようで」


「え」




 え。





「……まだ子供だったので、牢に繋がれたりはしなかったみたいですが……。でも、その子とはそれっきり会えなくなってしまいましたわ。今じゃどこにいるかも分かりませんし……。二度と会うこともないでしょうね。彼女との関係性は、永遠に失われましたわ」


「……ッ!? そ、そ、そうっ……そうなん、ですねぇ~……っ!」


「あの時の悲嘆、喪失感は……。……思い出すと、やっぱりまだしんどいや。あたしの……。……わたくしの半身を失ったような……。ふふ……」


「……そ、そそ、そっ……それは、き、き、気の毒に……ッ。は、はは、ははっひひ……」


「……そういう過去もありまして。わたくし、身近な人間が窃盗を行おうものなら、マジでボッコボコのメッチャクチャに矯正してやるつもりでおりまして……ふふふふ」


「ぁヒっ……ッ!?」




 やばい。

 完全にこれは。もう。

 やばい。やばいがやばくてやばいが凄い。




「…………」


「…………ッ……!」


「……ま! こんな昔話、『冒険者』のモジャさんにしたところで、なぁんの意味も他意もないんですけどもぉ」


「そ、そ、そ、そうで、そうですねえぇ! ふふひ、わ、わた、私、冒険者ですし……。ひひっ……ひッ……」


「そうですわよねえ。冒険者ですしぃ……あららら。随分震えてますけども大丈夫ですのモジャさん? 顔色が優れませんわよ!」


「は、はひっひ……」


「……ふふっ。ま、そう身構えないでくださいまし。ちょっとしたイタズラみたいなものですから」


「ひ、ひひ……っ」


「……ねえモジャさん。わたくし、あなたのこと嫌いじゃなくってよ。むしろ、とっても良いお友達になれそうだと、そう感じておりますわ。直感っていうんでしょうねえ」


「はひ……ッ!?」


「……ふふふ。生い立ちにしろなんにしろ……。案外似た者同士かもしれませんわよ、わたくし達」


「あ、それは絶対違いますね」


「ここだけめっちゃ流暢に否定しないでくださる……?」







「――ま、いいですわ。はい、これ。お受け取りくださいませ」


「う……!? な、なんですこれ……?」


「贈り物ですわ。数日頑張ったご褒美でしてよ!」


「え……?」



 アエラさんから手渡されたのは、手のひらサイズの小箱。

 綺麗なラッピングが施されておりまして。中身は不明。

 不気味な……。



「こ、これ。中身は一体……。え。や、やばい奴入ってるとかじゃないですよね……?」


「やべえ奴が入っていますわ!」


「クーリングオフで……」


「訪問販売じゃねえわ! っつーか無料なんですから受け取りなさい! 飴よりは良い奴ですから!」


「も、もらえる物はもらう主義ですけどもお……う、うーん……」


「アエラの魔法教室、修了記念品と思ってくださいませ!」


「ここらへん質屋ってありましたっけ……」


「今から売る算段しないでくださる……!?」


「ううーん……ま、まあいいや。じゃ、とりあえずこれで……」


「ええ。またいらしてくださいまし! わたくしも暇があれば伺いますわ!」


「うへぇぇ……」


「なんてったって、『冒険者』同士ですしね! ふふ……!」


「……」




 ――かくして魔法教室は終了。本当に疲れた……。

 渡された不穏な小箱はひとまず忘れ、ギルドの事務所へと向かいます。

 我がオアシス……。天国へ……。癒しを……。

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