7.アエラのたのしい魔法教室 四日目①
「――うへぁあぁぁリリデスさぁん……リリデスさんだあ……! あぁ、リリデスさぁぁあん……!」
「ど、どうしたんですモジャさん……!?」
早朝。私はギルドの事務所へと急ぎました。
リリデスさんを確認すると、一目散に抱き着きにいきます。
おおきなおおきなリリデスさん。少し怖かったその大きさが、今では温かい包容力となって私を癒してくれます。
慈母……。聖母…………地母神………………。あまりにも温かい……光……。
「んああっぁあああぁあ、落ち着くううぅ……。今日はリリデスさんの子供になりゅうぅ……」
「こ、子供……!?」
「頭を……頭をなでてリリデスさん……優しくなでて……それでいて強めに……激しく…………」
「よ、よしよし……?」
「んッああぁああぁああ……! 最高ぉおおぉお……んおおおおぉおお……! 入信しちゃうううぅぅ……」
「ッ!!??!! 入信!!??!?!? えっ……にゅ……入信ッ!!??!?!?!? あぁ、ああ、あぁあぁあぁぁぁああ……ッ!?」
「うわっ、やっぱ嫌……」
「い、いきなり正気に戻らないでください……!!」
「んああああああでも最高ッおおおぉぉぉ……! リリデスさんのお腹最っ高おおおぉおおおおんおおんおんおおぉ……。ここに住むう……」
「シ、シルティさん……。モジャさんの様子が……」
「……どうしたんですモジャ。アエラとは……」
「んあああああシルティさぁん! ……シルティさんもぉ甘やかしてえぇ……! シルティさんptちょうだいいぃ……いっぱいちょうだいいぃぃ……!」
「……? よく分かりませんが……では10万シルティptをさしあげましょう」
「ッッあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛うれっし゛い゛ぃ゛ぃ゛……! シルティさんptうれッッし゛いい゛ぃ゛ぃ゛い゛……!!」
「……随分錯乱していますね。こんなモンを本心から喜ぶとは……」
「ッ!? あ、あの!? 私は本心からシルティさんpt欲しいんですが!?」
「クッキーをどうぞ」
「シルティさんpt……」
んあああああああこれですよこれこのやりとり。
お二人の全てが私を癒してくれます.。天国はここにあります。
ここが私の居場所……。終の住処……パラダイス………………。
「――モジャさんッ! モジャさァーんッ!? いらっしゃいますんでしょう!? 全てお見通しですわーッ!!」
「ッあ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ああ゛ああ゛゛ああ゛あ゛あ!!!??!?」
扉を叩きし音。
悪魔の声。
邪悪の権化が、やってきた。
「助けてッ!! 助けてぇええッッ!」
「モ、モジャさん!?」
「随分怯えていますね。何かあったんでしょうか」
「お、追い払って……! 追い払って……ッ! 助けてえぇ……!」
「入りますわよーッ!! ……アッ! やっぱりここにいましたわね! 家にいないから心配しましてよ!!」
「い゛や゛あ゛あ゛゛ああ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ああああ゛ッッ!!??!?」
入りし凶悪。
世界の厄災。
全人類の敵……。
「うえええぇぇええたしゅけてえええぇぇリリデスさぁあぁあん……ッ」!
「あら、お久しぶりですわリリデスさん。お元気そうでなによりですわ!」
「お、お久しぶりです……! あ、すみません、その……えっと……」
「積もる話はありますが今はモジャさんです! さあ行きますわよ! あなたの魔法解析はこれからですわ!」
「ッあ゛ああ゛ぁ゛ぁ゛あああ゛!!!! ああ゛ぁ゛ぁ゛ああ゛あ゛助け゛てッ!! 助゛けてシル゛テ゛ィ゛さぁあぁ゛あ゛あん゛ッ!!」
「……アエラ。モジャが怖がっているようですが……。一体何を?」
「……誤解がありまして!!」
「そうですか」
「そうですわ!」
「では頑張ってきてくださいモジャ」
「ッッ!?!??! シルティさんッ!!??!? シルティさんッ!!??!?!?!?」
「がんばりましてよーッ!! さあ、私の家にいきますわーッ!!」
「ッッッ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ああ゛ああ゛ああう゛う゛うああ゛あ゛うう゛うあ゛ああ゛ああああ゛ああ゛゛゛ああぁ゛ぁぁ゛ぁ……ッッ」
拉致。
遠ざかる楽園。
屠られゆく家畜
それは私……。
「……。い、いいんですかシルティさん。怯え方が半端じゃありませんでしたが……」
「アエラが気に入っているようですから、まあ、大丈夫でしょう。多分」
「多分……」
「おおよそ多分」
「ううーん……」
「クッキー美味しいですよ」
「……おいひい」
「美味しいですよね」
「……」
「……」
「……シルティさんpt…………」
「二枚目をどうぞ」
「おいひい…………」




