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「宗教勧誘しただけなのに追放されそうです……」  作者: 頭いたお
6章 アエラのたのしい魔法教室
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4.アエラのたのしい魔法教室 二日目②

「――では今度こそ気を取り直しまして。早速昨日の続き……」


「取り直せてない取り直せてない取り直せてないぃぃ……!」



 壁と床。拭ききれずに残る血痕。

 平気で自分の体を斬りつける、気が触れた人間とふたりきり。

 たすけてリリデスさん…………。シルティさん…………。



「あ、その前に。モジャさん、もしかして基本的な魔法についてもご存知なくって?」


「さ、さっぱり……」


「そうでしたか……。今日は魔法の超基本についてお話する程度にしましょうか。モジャさん、ちょっと緊張気味ですし……」


「誰のせいだと……!?」


「基本知識があれば、ご自身の技術の異質さも理解できるでしょう! できるだけわかりやすくお教え致しますわ!」


「優しく……優しく教えて……本当に……っ」


「お任せ下さいませ!」







「……さて、立派な魔術師になるには、三つの先天的要素が重要と言われておりますが……。その一つ目が『魔力量』です!」


「ああ、魔力……」


「魔力は全人類……いえ、全生命が持っていますが、当然その多寡には個人差があります。なんとなくお分かりでしょう?」


「はあ……」


「身近なところで言えばリリデスさん! あの方は桁違いの魔力量の保持者ですわ、ちょっと考えられないレベルの……。彼女のアホみてえな強さはそのアホみてえな魔力量を使った肉体強化によるものですわね」


「きょ、強化は私もちょっとだけ出来ますね……。あんまり長く続かないですけど……」


「ええ、誰しも自己強化や自己回復は可能ですわ。方法とコツさえ学べば必ず出来ます。この時点で誰もが魔術師みたいなものですわね!」


「え? 私も《治癒》とか使えるんですか?」


「ちょっと難しい魔法ですけど可能ですわよ! 練習あるのみですわね!」


「はへえ……。それならちょっと頑張りたいような気も……」


「とっても便利な魔法ですわよ! ほら御覧ください! さっき腕をざっくり切った傷、もうありませんでしょう? 多少の傷など恐れる必要などないという訳ですわね! いくらでも特攻できますわ!」


「痛みの観念欠落してんですか……?」


「ついでに《造血》まで使えるようになると結構な無茶も可能になりますわね! 動脈を数本切ってもなんのその……!」


「何故魔法講義で血の話題が頻出するんです……?」








「――さて、第二の要素は『放出力』です」


「放出……」


「魔力を外へ放出するパワーですわね! 高ければ高い程高威力の魔法をブッ放せますわ! 気持ちいいですわー!」


「そ、そうですか……」


「修練で鍛えることも可能ですが……先天的にお持ちでない方も結構おりまして。リリデスさんはこの放出力がゼロですわ。つまりどんなに頑張っても自己強化と自己回復しか使えない、という訳ですわね」


「はあ……。練習してもだめなんですねえ……」


「一番代表的な魔法は《球》ですわね。……魔力をそのまま放出すれば球状になる、というだけなんですけれども……」


「あ。それシルティさんも言ってたような……」


「本来、放出された魔力はすぐ霧散してしまうものですが。一極集中して質量を高めていけば……。ほらこのように! 人をブン殴れるぐらいに硬いボールになりますわ!」


「何故ボールで人を殴る発想が出てくるんですか……」


「こうして作った魔力塊を鋭く尖らせて放つ《矢》も代表的な基本魔法ですわね! 熟練者になるとこれだけで魔物を蜂の巣にできますわ! 最高でしてよ!」


「めっちゃいい笑顔してるぅ……」


「ですが問題がひとつ。魔力を魔力のまま放出するのは非常に効率が悪く……。《矢》ばかりを利用していてはすぐにガス欠になってしまうのです」


「そ、そうなんですか? えっと……じゃあ《障壁》とかも?」


「あれもかなり消費が激しいですわ。全方位に展開し続けて戦闘というのは非現実的ですし……。シールド程度の範囲で攻撃をいなしたり、衝撃軽減目的で使うのが基本ですわね」


「……え? そ、そうなんですか……?」


「強度を保ち続けるのが結構大変でして。本来は様々な下準備をしたうえで『場』を守るために使いますわね」


「…………」


「? どうかしまして?」


「あ、いえ…………。ははあ…………」


「?」







「――さて、消費が激しい魔法を低燃費に扱う……。これに必要なのが第三要素の『変換力』となります!」


「変換? これはちょっと、よく分からないというか……」


「魔力を放出する際、なんらかの属性に変換する力です。ほら、火や雷やら……」


「ああ、なるほど……?」


「例えば《矢》。わたくしであれば、これを一本放つ魔力で三十本以上の《氷矢》の初級魔法を放つ事が出来ます。どうです、全く効率が違いますでしょう?」


「あ、そんなに違うもんなんですかぁ……」


「この属性変換が可能な人間は非常に少なく……その上、先天的に変換可能な属性も限られております。大抵の魔術師が一つ、よくて二つ程度ですわね」


「シルティさんは確か三つ……ですよね?」


「ええ! 代表的な属性をバランスよく扱える万能な方でしてよ!」


「……あれ、もしかしてアエラさんって……」


「ふふふ、気づきまして……? そう、『七色のアエラ』たる所以……。わたくしは七つの属性変換が可能ですわ」


「はええ、七つも……! ど、どんな属性なんです……?」


「火、雷、氷、水、風、土、肉ですわね。全てバランスよく扱えましてよ」


「へええ、凄……。……肉ッ!!? 肉属性って何です!!?」


「この三つの要素の他に、訓練によって培われる『調整力』や『成形力』、『固定力』等々ありまして……。どうせですからかいつまんでお話しますと……」


「なんでスルーすんですか!? 肉属性を教えてもらいたいんですけども!!?」


「調整力は、いわゆるコントロール……」


「何故ここにきてガン無視を……ッ!?」



 ……その後もアエラさんの講義は続きました。

 色々と聞きはしましたが、なんかもうあまり頭に入らず。

 血肉ばかりが残る一日となりました。

 魔法とは……。

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