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「宗教勧誘しただけなのに追放されそうです……」  作者: 頭いたお
6章 アエラのたのしい魔法教室
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2.アエラのたのしい魔法教室 一日目

 ――崩れゆく初心者ダンジョンから生還して一週間ぐらい。

 なんか調査員? ……っぽい人がたくさん来たりで、とにかく慌ただしい日々でした。

 他のギルドからも情報交換目的でたくさんの訪問者が……。

 そんな人見知りには面倒くさい日々もようやく落ち着いた、そんな矢先。



「あ、あの……!? す、すみません、ちょっと……状況がよく分からないんですけども……!?」


「? 先日、快く承諾してくれたではないですか。あなたの魔法技術を解明すべく、アエラの助けを借りると」


「な、なんの話ですか……!? 魔法って、そんなの使えませんけど……!?」


「ですから。あなたの《手》の話ですよ」


「《手》……? あ、あぁ、そういえば話したような……。っていうかそれ、魔法なんて大層なもんじゃ……!?」


「……私は魔術をある程度勉強してきましたが。あなたの扱うものに関してはさっぱりわかりません。もしかすると体系外の新技術の可能性があります」


「い、いやいやいやいやいや!? 本当にそんな立派な奴じゃ……」


「ああ、安心してください。アエラは信頼できる人物ですよ。決してあなたの技術を口外したりはしないでしょう。これは約束します」


「ええ、ご安心下さいモジャさん! このアエラ、決してあなたの損になるようなことは致しませんわ!」


「う、うえぇ……!? い、いや、ですからそういうことではなくて……っ」


「モジャ、あなたはあなたで魔法について教えてもらうと良いでしょう。きっとためになりますよ」


「い、いやいやいや! 私、魔法の才能は全然……っていうかシルティさんが教えてくれれば……」


「彼女の方が扱える魔法の幅が遥かに広いですから。あなたの特性にあわせた指導ができるでしょう。……ではそういうことで。頑張ってくださいねモジャ」


「ああ!? い、行かないでくださいよシルティさん!? 待ってくださ……! あああ……!」




 ……取り残された。

 いきなり過ぎて、まだちょっと状況が……。



 ……眼の前には、明らかに貴族家のお嬢様みたいな人。

 盗賊的には大変に好みのタイプですけども……。




「……うふふ、緊張しておりますわねモジャさん。とりあえずケーキでも食べながら、楽しくお話しませんこと? 」


「あひっ!? あ、は、はい……い、いただきます……」


「まずは自己紹介から初めましょうか。わたくしはアエラ・ローゼリス。この界隈では『七色のアエラ』で通っておりましてよ」


「は、はあ……よ、よろしくです……。え、えっと……その、シルティさんとは、ど、どういう……?」


「学生時代からのお付き合いでして……私はひとつ後輩ですの。最近まで同じギルドにいたんですのよ」


「あ、ああ、そういうことでしたか……」


「シルティさんとはどうです? うまくやれていらっしゃいますこと?」


「は、はい。親切にしてもらってましてぇ……」


「そうでしょうそうでしょう! 一見クールですが、博愛精神に満ちたお方ですからね! 私は彼女に憧れて冒険者になったんですのよ! それは凄い方で……」


「はあ……。あ、同じギルドにいたってことは……。リリデスさんとも?」


「ええ、ええ! 元は女性三幹部として大変仲良くしておりましたのよ! ……まあ、ちょっと色々ありまして。疎遠になっておりますが……」


「ああ……」



 とある覇権ギルドの凋落、そして分裂については、酒場でも大変に話題でした。

 仲違いしただの、幹部が洗脳されただの、新人が生贄にされただの……。


 そうした噂を聞きつけ、たった二人だけとなったギルドに侵入した訳ですが。

 それが巡り巡ってこんな状況になった訳ですが……。



「……リリデスさんはどうです? 元気にしてらっしゃいますかしら?」


「は、はい。とっても優しくって、朗らかな方で……。たまに不気味ではありますけど……」


「不気味……。瞑想してる時とか、ちょっとそんな時ありますわよね……」


「あ! あれやっぱり怖いですよね!? 終わった直後の顔とか特に……。すぐ戻るんですけども……」


「目据わってて超怖いですわよね!? 全員に瞑想を勧め始めた時なんか、もう恐ろしくって……!」



 まさかのリリデスさんトークで盛り上がりを見せます。

 ……実はあの人の信仰、未だによく分かりません。

 本人に聞いてみても、ものすんっごい渋い顔をして答えてくれず……。

 シルティさんも絶対に教えてくれませんでしたし。どうもタブーのような……。



「あのぉ、リリデスさんの宗教って一体……」


「…………今日はいいお天気ですわね! ッああーあいいお天気! ああーッすっごいッ!!」


「話題逸らしが下手すぎる……」




 やはりタブーのようで……。




「ところでモジャさんは一体どういったお方なんですの? 今までの経歴と言いますか……」


「……え!? あ、ええっと……!? あの……」


「……うふふ。答えたくないならそれでも結構ですわ。シルティさんから聞いております、少し特殊な環境で育った人だと。構いませんわ」


「す、すみません……」


「……では早速ですけど。あなたの魔法技術の一端、見せてくださいませんこと? 詳しいことはあまり聞いていなくって」


「うう……。あの、ちょっと……。ううーん……」


「ああ! 決して口外は致しませんわ! あとで『誓約書』も用意しておきますからご安心下さい!」


(うーん……)



 みっつめの《手》。

 スリや逃走時の「奥の手」としてがんばって習得した技ではありますが。

 正直、たいした技術でもないですし、バレた所で使い道はたくさんありますし。

 いいっちゃいいんですけども……。



「いや、その……。むしろ呆れられないか心配で……」


「なにを仰ってるんです! シルティさんが驚く技術ですわ、是非ともお見せくださいまし!」


「そ、そうですかねえ……。じゃ、じゃあ……」


「緊張する必要はありませんから、普段通りに……ふふふ。一緒にたのしくお勉強いたしましょうね、モジャさん」


「は、はい……!」



 ああ。親切そうな人でよかった。

 アエラさんの優しく、柔らかな笑みに促され、《手》を出します――。




























「――ッッッなんじゃそれァッ!!?!?」


「ッひあ゛ああ゛ああ゛あッ!!??!??」


「ぐにゃぐにゃのそれ何!!? 手に成形!!? 透明ッ!!? 何ソレ!!? もう一回お見せなさいッ!!!」


「ッひっ……ッ!? ひ、ひ、ひいぃッ……!? あ、あぁ……ッ!?」


「もう一回ッッッ!!!! 早くおしッ!!!!!!!11」


「ッあ゛あ゛ぁ゛ああ゛あ゛ぁぁあ゛ああぁ゛ああああ゛あ!!?」






 たしゅけてえええええ……。

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