3章おまけ「リリデスパワー」
「クレインの新ギルド、ようやく立ち上がったようですね。結構な話題になっているようです」
「ああ、安心しました! 良かった、本当に良かった……!」
「ギルド名は『昼のランプ』だとか。彼のセンスとは思えませんね」
「昼のランプ! どういった意味でしょう?」
「わかりませんが、悪くない名前だと思いますよ」
「昼のランプ……。120リリデスパワー、といったところですかね?」
「そうですね」
「……あ! せっかくですからお祝いのお花でも贈りましょう! 早速手配してきます!」
「ええ。お願いします」
「~♪」
「…………」
「――リリデス。ちょっと」
「はい! なんでしょう?」
「昨日の発言についてなんですけれども」
「え? 昨日?」
「120パワー、とかいうの」
「……? ……なんでしたっけ?」
「……!? ですから、クレインのギルドについて話していた時のことですよ。昼のランプが120パワーとかいうの」
「ああ、そういえば言ったような?」
「……どういう意味です?」
「どう、と言われましても……。お馴染みのリリデスパワーですけれども」
「全然お馴染みではないのですが……?」
「あ、あれ? ご存知ありませんでしたっけ」
「早急に説明をお願いします」
「え、ええと、リリデスパワーというのはですね……」
リリデスパワー【lilidespower】
リリデスが面白いと感じた造語、それに対する評価点。
「この単語の━は720点ほどだ。」
「という意味です」
「広辞苑みたいな説明してきおった」
「要は探索中の暇つぶしですね。おもしろワードをみんなで作るという……」
「……私はその暇つぶし、知らなかったんですが」
「ああ……。シルティさんとパーティー組むこと自体少なかったですからね……」
「私だけ仲間外れとは。そういう人だとは知りませんでしたよリリデス。ああ傷ついた。もう知りません。ふんっ」
「ち、違っ……!? というか興味津々ですね……!?」
「別に興味なんてありません。少し気になっただけです。あとはどうでもいいです。ふんっ」
「そ、そうですか……」
「早速私も高得点を目指したいのですが」
「興味ありまくりじゃないですか……!?」
「――で、どういうワードが高得点なんですか」
「頭にこびりつくようなナンセンスワードですね」
「ナンセンス、ですか」
「しかし意味不明な言葉の羅列では駄目です。妙な単語と単語を組み合わせることで高得点が叩き出せます」
「『ペギォッァンォァッア』みたいなのは駄目ということですね」
「ムッ! なんだか発音が面白いので90パワー! いいセンスですよシルティさん!」
「基準が分からん……。もう少し例が欲しいですね」
「上半期の優勝作品ですと……ミナトさん作 『ところてん調教師TAKUMI』 が22000リリデスパワーを獲得しております」
「ところてん調教師TAKUMI」
「ところてんを調教する謎の人物TAKUMI……。どうです、想像力が掻き立てられるでしょう?」
「まあ……。ううん……?」
「この言葉を作り上げたミナトさんにはなんと商品券5万円分が贈られました! わお!」
「その費用は一体どこから」
「自腹で……」
「難儀なことしてますねアナタも……」
「――では、シルティさんも年間優勝を目指して頑張ってください!」
「うーん。いざ考えてみると難しいですね」
「まずは100リリデスパワー超えを目指しましょう! 100パワーを超えればミナトさんは大爆笑です!」
「『昼のランプ』が爆笑射程圏内になるんですが……」
「一つの単語を設定し、そこから発想を飛ばすのがコツです! 韻を踏むのも高ポイントですね!」
「ふむ……。じゃあ……例えば……」
「はい!」
「 『株式会社おしるこシルティ』 とかどうです?」
「…………6億7000万リリデスパワー……ッ!」
「もう優勝じゃないですか私」
「か、かわいい……っ!? おしるこシルティ……!? おしるこを嗜むシルティさんの会社……ッ!? きゅんが過ぎます……ッ! ああ、あああ……っ」
「そこまでなんですかこれ……」
「い、いけません……。これはいけませんよ……!? もう頭から離れない……ッ。しあわせ……」
「……。…… 『もちもち第三帝国おしるこシルティ』 」
「ッ!!? さ、32億9000万パワーッ……!! ああ、あああぁ……ッ!!?」
「 『過激派おしるこ法務大臣シルティ』 」
「ウ、ウワアーッ!!? 780億2800万パワー……! も、もうやめ……ッ」
「 『おしるこ魔法少女しるしるシルティ ~暗黒舞踏編~』 」
「アアアァァーッ!!? 6500億……ッ! あぁあぁーっ……!!」
(まずい面白くなってきた……)
「――『おしるこシャークVSおしるこ伝道師シルティ2』……『おしるこ解体師シルティ最後の二十日間』……」
「アァァアアーッ! 72京2900兆570億パワー……ッ! はぁっ、はぁっ、あああぁ……ッ! や、やめてくださいシルティさん、もう……っ。もう限界……っ! あああぁあ……っ!!」
「……日も暮れてきました。今日はこれぐらいまでにしておきましょうか」
「て、天才……! シルティさんは天才です……! 言葉だけでこんなに人を幸福にさせるだなんて……! ああ、最高……っ」
「なんでしょう、そこまで褒められると謎の自信が湧いてきますね……」
「ええ、存分に自信をもってください! あなたは天才です! リリデスパワーを極めし者です! こんな才能見たことありません……!」
「そうですか。ふふ……まるで無敵のパワーを得た気分ですね……! そうですか、私にこんな才が……ふふふ……!」
「今日は本当に最高の一日でした……! シルティさんに満たされた……最高の……ッ!」
「それはよかった。いやあ、それにしてもリリデス。こんなに満たされた一日を過ごせるだなんて、私達……」
「はい!」
「本当に暇人ですね!」
「おっしゃるとおりで!!」
「……………………」
「……………………」
~Fin~




