7.クレインの光
「――ちょっと、なにぼんやりしてるんですの!」
「ん? ああ……ごめんごめん。考え事を……」
始まる会議。
いかん、身が入らん。
朝から妙なことに巻き込まれて、それどころじゃなくなってきた。
「なんだ、今日は覇気ねえなマスター……。いや、昨日のことなら謝るぜ、ちょっと悪ノリしすぎたな……すんませんっした」
「い、いやあ本当にすみませんクレインさん。僕から変な流れが、あはは……」
「うむ。今日こそ決めるぞクレイン」
「あー、うん……そうだねぇ。いい加減決めなきゃねえ」
幹部の面々を眺める。
しかしあのクソジジイ、「御一行」ときたもんだ。
よくよく考えたらこれ、人質みたいなもんかもしれない。
いや、流石に考えすぎかな。
……。
この四人は。
なんで冒険者になったんだったかな。いろんな理由だったな。
挫折、憧れ、復讐、反発。本当に色々だったな。
自分は言うまでもない。自由がほしかったはずだ。
強さを求めて、実際強くなって。調子にのって、堕落して。
たくさん後ろ指さされて、そこから解き放たれたくて。
冒険者になって、再起して。後ろ指は全て叩き折って。
そうして今や、真逆のものが手に入って。
自由って、なんだったっけな。
「本当に元気ありませんのね……。張り合いありませんわねんもうっ。しっかりしてくださいまし!」
「今日はマジで本気出して考えっからよ! いい名前にしようぜ!」
「直感でばんっと決めちゃいましょう!」
「活躍している主なギルド名をリストアップしてきた。これらを元に考えていけばいいかもしれん」
「……」
名前だけでこんなに苦労するというのはある意味平和だ。
のんきなメンバーだよ本当に。ちょっと救われるけれども。
そのうえ本日は随分真面目だ。いつもやれ。
いつもこんな調子なら、ずっとぼんやりし続けてもいいんだけどなあ。
ぼんやりと……。
…………。
「あ。あー……。んん……」
「ん? どうしたマスター」
「……『昼のランプ』」
「え?」
「だからさ、ギルド名……『昼のランプ』なんてどう?」
「? どういった意味ですの、それ?」
「ぼんやりといこうね、っていうこと」
「……? なんだか締まらない名前ですわね。あなたらしいですけども」
「うーん……? ま、俺はいいと思うぜ。最初の奴よりは何倍もな」
「あはは、僕は洒落てると思いますよ」
「……。ぼんやり、か。…………」
「うん。ぼんやり、ね」
ぼんやりやっていくしかないね。
受け流しながら、なんとか、なんとか息継ぎしていこう。
僕にとっての「導きの光」になってほしいもんだ。
ぼんやり灯る、昼のランプに。
3章 クレインの憂鬱 ~終~




