表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/156

7.ギルドの冒険①

 ――馬車に揺られて三十分。

 やってきたるは蒼々とした森の中。

 王都周辺といえど、案外緑に囲まれたものです。



「ここには初めてきますねえ」


「冒険者にはあまり見所のある場所ではありませんから。薬草探しには悪くないんですが」


「ということは今回の目的は採集でしょうか?」


「いえ。この先に目的地があるんですが……。まあ、採取でもしながら行きましょうか」



 シルティさんの先導により、緑の中をずんずんと突き進みます。

 思えば最近、二人きりでの行動が続いております。冒険に関しては初のペア行動。

 改めて考えると、なんというかこう……いいですね! とても、その……いいですね! とても!!



「ふふふふ」


「ご機嫌ですねリリデス」


「いえいえ。ふふふ」



 小柄ながらも力強く、緑の世界をまっすぐ進むシルティさん。

 それに大柄の私がつつ、と付き従います。

 小さき背中、されど大きな背中が、否応なく私の視界を占領いたします。



「ふふふふ、ふふ」


「……本当にご機嫌ですねリリデス」


「い、いえいえ。お気にせふふふ」


「お気にせざるを得ないのですが……」


「そ、そんなことよりシルティさん、あれふふふ薬草じゃないですかねふふ」


「おや。よく見つけましたね、採っていきましょう」


「ふふふ」



 解熱作用のある薬草を二人で採集です。

 ぷちぷちと手折っていくシルティさん、危うく私の手が触れそうになります。こういうのはいけません、いけませんよ。

 心をしっかりと保ち、採集作業を続けます。


 ……ちらとシルティさんに視線を向けてみますと。

 木漏れ日を銀な御髪で反射させ、えも言われぬ麗しき光の束を作り出しております。

 アンニュイな御顔がまたそれに映えて、なんともなんともな。ああ、ああ。それはもう。



「お美しい……」


「え?」


「……え!? いえ……え!!?」


「そうですね。美しい光景だと思います。手つかずの自然というのは」


「そ、その通りですね! ふふ、ふ……!」



 ……シルティさんに救われてからというもの、様々な想いが募って仕方ありません。

 信仰の下に生きてきた私にとって、これ程まで他者に感情を抱いたことなどなかったのです。

 いつまでもこの方に付き従いたい、導かれたい、お守りしたい。今までにない感情の迸りを感じます。



 とはいえ、目下の願いはただ一つ。

 この「冒険」の時間が少しでも長く続けば良い。ただそれだけを願うのみです。

 ほんの少しでも長く。願わくばいつまでも、いつまでも。

 いつまでも……。



「……あれ? ……」


「? どうしましたシルティさん」


「……着きました」


「……え?」


「……」


「つ、着いたとは?」


「……目的地に」


「……え!?」



 早すぎる冒険終了の合図。

 まだ二十分程度しか経っておりません。馬車に揺られていた時間の方が長い冒険……。

 その終着点には……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ