6.ギルド仕切り直し②
「――リリデス、やはり昨日のも間違っていたな、と……」
陽光は最早降り注がず、今にも降り出さんばかりの曇天。
銀なるシルティさんの御髪も、今や光を完全に失っているような……。
「……実は私も、これは間違ったな、といいますか……」
「自覚はあったんですかリリデス……」
「日中よりも夜間駆除の方が安全だったな、と……」
「自覚ないみたいですねリリデス……」
「……。……もしや駆除作業も冒険では……?」
「ないですね……」
「危険を伴うのに……?」
「違いますね……」
「すっごく痛いのに……?」
「残念ながら……」
「そ、そうですか……」
昆虫型の魔物も多数おりましたが、スズメバチはちょっと違ったようです……。
正直ほぼ魔物だと思ってたんですが、定義がよくわかりません。
殴ればすぐ絶命してゆくゴブリンやらオークやらより余程厄介な気がするんですが……。
「申し訳ありませんシルティさん。私には冒険なるものがいまいち分からず……」
「今までも散々冒険してきたではないですか……」
「正直、言われるがままに同行していたようなものですから……。『これぞ冒険!』というものが……」
「……そうでしたか。ふむ……」
前ギルドではたくさんの魔物をお救いしてまいりました。
充実した日々ではありましたが、改めて「冒険」と問われると……。
やはり私には魔物の討伐とハチの駆除の違いが、いまいち掴めません。
シルティさんも失望していらっしゃることでしょう。本当に申し訳なく……。
「……それでは、今回は私の希望で『冒険』してみましょうか。よろしければお付き合い頂ければ」
「! こ、こちらからもお願いします。是非とも冒険をご教授いただければ……」
「……。いや、どうでしょう。冒険……冒険? ……まあ、冒険……。ううん……?」
「え? ど、どうしましたシルティさん。心配事でも?」
「いえ……。では早速準備しましょうか。近場ではありますが、一応一泊分ぐらいの物資は持っていきましょう」
「……?」
なんだかシルティさんらしくなく、煮えきらないご様子。
しかし盲人たる私は信じて付き従うのみ。なにも心配はしておりません。
この方が導いてくれる場所であれば、光差さぬ奈落の底だろうと構わないのです。
浮世の果てなき生き地獄。カルランの教えとシルティさんなる銀光さえあれば、どこでも暖はとれましょうから……。




